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しおりを挟むここへ来て3年が過ぎようとしている。
2年目が過ぎてから殿下の部屋の方で一緒に食事を取るようになった。
一言二言話すだけ、
それでもお互い向かい合い食事を取る。
「美味しいか」
「はい」
「そうか」
「はい」
いつもそれだけの会話。
貴方は食事が終わると王太子として政務へ向かう。
「殿下ももう少し気の利いた言葉をかけられないのでしょうか」
「ふふっ、でも殿下らしいわ」
「エティーシア様も毎日「美味しいか」「そうか」だけでつまらないですよね」
「ふふっ、テシーはものまねが上手いのね」
「殿下とは幼い頃からの付き合いですので」
「そうだったわね」
メイドのテシーとも打ち解け、
「こちらを」
「いつもありがとう」
避妊薬を貰い飲んだ。毎朝一回、液状の避妊薬を飲む。
「こんなの毎日飲んでいたらエティーシア様の体に影響が出てしまいます」
「それでも子が出来ては困るもの」
「そうですが」
突然部屋の扉が開いて、
「貴女ね!殿下に囲われてる娼婦は!」
「あの…」
「娼婦ごときがわたくしに口が聞けるとお思いで?身の程をわきまえなさい!」
「お止め下さい。殿下はこの事をご存知なのですか!」
「メイドごときが口答えするんじゃないわよ!」
パシン
「テシー」
「大丈夫です」
「でも、」
「エティーシア様はお下がり下さい」
私はテシーの背に隠された。
「殿下にご用でしたら政務に向かわれました」
「私はこの売女に用事があるのよ!」
「こちらにはありません」
「わたくしはルーベン殿下の婚約者なの。この売女にいつまでも殿下の側にいられてはわたくしの気が収まらないわ!わたくし側妃も愛妾も認めないわ。娼婦なんてもってのほかよ!早くここから出て行きなさい!速やかに出て行くと言うなら娼館へ口をきいてあげるわ」
「殿下がお許しになりません」
「殿下が許さなくてもわたくしにとって目障りなの。殿下がこの売女に触れているかと思うと虫酸が走るわ。それでも殿下も殿方、婚約者がいない間の性の捌け口が必要だっただけの事よ。でももう貴女は必要ないの、わたくしがいるから。用済みはとっとと出て行きなさい!」
腕を掴まれ無理矢理引っ張られる。
「お止め下さい!」
テシーが間に入って私を掴んでる手をはらった。
「邪魔をしないで!邪魔をするなら貴女も覚悟をなさい!」
テシーが殿下の婚約者を睨んでいる。
「何その目は!わたくしにそんな態度取って良いと思ってるの!」
「私はルーベン殿下に雇われたメイドであって貴女に雇われたメイドではありません。私の役目はエティーシア様を護る事。ルーベン殿下から頼まれています」
「なんですって!ティム!」
「はいお嬢様」
「この者達を殺しなさい。わたくしに、殿下の婚約者のわたくしに歯向かい不敬を犯した罪人よ」
「ですが」
「さっさと始末して!」
「承知致しました」
騎士が剣を振り下ろす。
私は目をギュッと瞑った。
お兄様、お兄様、お兄様……
あのときもそうだった。
一切の躊躇いもなく剣を振り下ろす騎士の姿が目の前の騎士と重なる。
「嫌ーーーーー!お兄様ーーーーー!」
私はガタガタと震え出した。
剣を振り下ろす音が鮮明に聞こえる。
「キャーーーーー!」
叫び声に目を開けると…
「テシー?」
目の前でテシーが倒れていた。テシーの周りには血が飛び散り………
「ねぇ、テシー?ねぇ、テシー目を開けて!テシー!目を開けなさい!」
「エ…ティー……シ……ア…さ…ま……、ご…ぶ……じ………で……す…か………」
「私は何ともないわ。どうして私なんか庇ったの!」
「で…ん……か……の………で……ん…か………の………だ……い…じ……な………ひ……と………で……す…か………ら……」
「テシー、しっかりして!テシー!しっかりしなさい!誰か!誰か早く来てーーー!」
「…………こ……………ろ………を………ゆ……………せ………る………と………も…………に…………な………………た…………か…………た……………な……………」
「テシー!私は友と思っていたわ!私はテシーに助けられてきたの!ずっと、ずっとよ!私が今生きてるのはテシーが側にいてくれたからなのよ!
ねぇ、テシー、お願い、私を一人にしないで!もう置いていかれるのは嫌なの!お願い!一人はもう嫌よ……」
「エ……ティー………………ま……………………………」
「テシー?ねぇテシー?目を開けて!返事をして!テシー!テシーーーーー!
嫌よ、嫌よ、嫌ーーーーー!テシーーーーー!!」
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