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テシーが亡くなり新しいメイドが来た。
「あの、湯浴みを」
「勝手に入りなさいよ。娼婦なんだから一人で入れるでしょ」
「はい」
「あ、そうそう、湯船には浸からないでね!殿下の為に綺麗に掃除したばかりだから」
「分かりました」
体を洗い部屋に戻る。
部屋の中の花瓶の花はテシーが亡くなってから替えられていない。もうとうに枯れて部屋のゴミ箱の中にある。
ガチャガチャ
「おい、花を」
「はい」
「飾ってくれ」
「はい、ありがとうございます殿下」
扉を開けながら貴方はメイドと話をする。
「殿下、上着を」
「頼む」
「はい」
メイドの頬が赤らむ。貴方の上着を大事に抱え、まるで恋人の上着を預かる女性のよう…。
パタン
扉が閉まる前、メイドの顔が勝ち誇ったような顔をした。
「どうした」
「いえ」
「少し横になる」
「はい」
貴方は私の膝の上に頭を置いた。
貴方はこうしてただ横になる為だけに来るようになった。私を抱かずただ横になり仮眠をする。
そうかと思えば、私が気を失うまで抱き潰す。
貴方の心にもテシーの存在は大きかった。
テシーの死が貴方に暗い影を落とした。
いつもの様に貴方と部屋で朝食を取る。貴方を見送り、
ゴクン…
ガダン…
「ゔぅ…ゔぅ……ゔぅぅ…………」
私は苦しみだした。
目の端に映るメイドの顔……
遂に毒を盛られてようやく私は殺されるのね…
ようやく私を殺してくれるのね…
貴方の愛しい婚約者を兄上様が奪い子を作った。
貴方の乳兄妹のテシーも私を庇い死なせた。
私は貴方の憎むべき相手…
両親を殺され兄上様を殺され、乳兄妹のお兄様も殺された。国は滅亡し貴方に国を乗っ取られた。
貴方は私の憎むべき相手…
憎むべき相手なのに貴方の側で過ごした年月で貴方を愛してしまった私の罰。
ごめんなさい…
ごめんなさい…
ごめんなさい父上様…
ごめんなさい母上様…
ごめんなさい兄上様…
ごめんなさいお兄様…
ごめんなさい………
「おい!どうした!」
ルー、貴方を愛してしまって
ごめんなさい…
そんな顔をしないで…
私は………
貴方の………
憎むべき相手………
「どうしてだ!なぜだ!誰が毒を盛った!お願いだ死なないでくれ!お願いだ目を開けてくれ!」
どうして貴方が悲しい顔をするの?
どうして貴方が泣きそうな顔をするの?
どうして貴方が必死になるの?
どうして貴方が………
「シア!しっかりしろ!」
シア、ようやく私に呼んでくれたわね。
貴方はこの娼婦が、お前、と私を呼んでいた。
薄れゆく意識のなかで貴方が私を見つめる目は愛しい人を見る目だった。
あぁ、私の願望かもしれない。
貴方を愛した私の最期の願望かもしれない。
「愛してる」
貴方に言われた事のない言葉…
「愛してる。俺は愛してしまったんだ。俺はシアを愛してしまったんだ。
なぁ、俺を残して死ぬな。俺を一人にしないでくれ。お前は俺のだろ?
なぁ、なぁ、シア、俺を残して死ぬな、シア、死ぬな…、お前が死んだら俺はどうすればいい……」
俺は貴方が気を許した時に言う言い方ね。
どうして貴方が泣いてるの?
「シア、来世も必ずお前を愛す。だから来世はお前も俺を愛してくれ。シア愛してる、シア愛してる、シア…シア………」
私は貴方を愛してるわ。
来世で必ず、
来世では必ず、
貴方を憎むべき相手として出会うのではなく愛する人として出会いたい。
そして、堂々と貴方を愛したい。
神様が本当にいるのなら、
お願い、
お願いします、
ルー愛してるわ……………………
「……ルー………………………………」
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