私と貴方の宿命

アズやっこ

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あの女を囲い一年が過ぎた頃、


「殿下、いつまでそうするおつもりですか」

「テシー」

「殿下が婚約者様を愛してらしたのは知っています。それでももう一年です」

「まだ一年だ」

「ならあと何年エティーシア様を乱暴にしたら気が済むのです」

「あれは俺のだ」

「その気持ちは何ですか」

「気持ちだと」

「はい。殿下の気持ちは、婚約者様を奪われた腹いせですか?」

「当たり前だ」

「なら、一年で十分ですね」

「なに、」

「そうでしょう。隣国の王太子と婚約者様の恋は貴方様が王太子の首を落とした時に終わりました。お二人が恋仲になったのはせいぜい半年。なら腹いせでエティーシア様に乱暴が許されるのも長くて一年です。それに貴方様はご両親も国も民も彼女から奪いました。それなのにまだ復讐をなさるおつもりですか」

「当たり前だ」

「彼女にまだ復讐をしたいと言うのなら、陛下がおっしゃるように騎士達の慰み者になされば済む事です」

「あれは俺のだ。誰にも触れさせない」

「だからその思いは?」

「あれは、俺のだ、他の者には、渡さない、あれは、俺のだ」

「なら、言い方を変えます。エティーシア様にごめんなさい、ごめんなさいと謝り続けてほしいのですか?」

「違う!俺はただ、俺は、ただ、」

「ただ、なんです」

「ただ、俺にも、笑って、ほしい、だけだ…」

「今の貴方様のやり方で彼女の笑った顔が見れると思いますか?」

「それは、」

「良いですか!先ずは貴方様の気持ちを心にある本当の気持ちを見つめて下さい。全てはそこからです。分かりましたね!」

「ああ」



テシーに言われ私は己の心にある気持ちを考えた。


愛する婚約者を奪われ子まで作った憎き王太子。

だが、

王太子の首は落とした。

戦になり国を奪った。

王太子の責任、戦の責任として国王、王妃には毒杯を飲ませた。

お兄様と呼ばれる護衛騎士も死んだ。

王女のあの女をどうして殺さなかった?

王族としてどうして毒杯を飲ませなかった?

父上にも殺せと言われた。

それでも、

それでも、

あの女だけは、

エティーシアだけは、

殺せなかった…。

何故だ!

憎き王太子の妹だろ?

だが、

だが、

何年も前に一度だけ見た笑顔、


私にもその笑顔を向けてほしい

私もその笑顔が見たい


心の奥底にある気持ち、


怯えた目が見たい訳ではない

私もお前の笑顔が見たい

私にも笑ってほしい

一度でいい

私にも笑いかけてくれ


エティーシアを殺せなかったのは、

あの笑顔を見たかったからだ。

ようやく

ようやく

私だけの

私だけのものになった

ようやく

手に入れた

私だけの………





「テシー、すまないが、これを」

「はい。お部屋に飾りますね。殺風景の部屋が明るくなります」

「そう、思うか?」

「ええ。花があるだけで部屋の雰囲気は変わります」

「そうか」

「ようやく心が決まったようですね」

「ああ、すまなかった」


それから毎日部屋に飾る花を贈った。






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