私と貴方の宿命

アズやっこ

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父上に婚約者を決めろと言われた。

一人の令嬢と会い、


「婚約者になりたいなら勝手になれば良い。婚姻に感情は必要ない。私の婚約者など誰でも良い。

だが!私の部屋に入るな、私の事に口出すな。それが守れるなら勝手に婚約者にでもなれ」


こうして婚約者が決まった。


それから私はお前の部屋に行き、


「すまないが少し横にならせてくれないか」

「どうぞ」


私はお前の膝の上に頭を乗せて目を瞑る。

この時間が

お前と過ごす

この時間だけが

私の心が休まる時間なんだ。


父上には抱いて情が移ったか、と言われたが違う。今思えばあれは私の初恋だった。お前の姿に笑顔に一目惚れした私の初恋だ。

婚約者も愛していた。とても穏やかな愛だった。

それでも胸を焦がす様な、胸が高鳴る様な、胸が苦しい様な、私ではない男へ向ける笑顔を、それを向けられた男に嫉妬し妬む、そんな恋。

だが、

お前を庇い護る「お兄様」を見た時、お前が「お兄様」に庇い護られる姿を見た時、私の奥底に閉じ込めた思いが一気に蘇った。


憎しみ

憎悪


「お兄様」が息絶えた時、私の本心はようやくお前が手に入ると歓喜した。


お前の笑顔は私のもの

お前は

私だけのものだ


だがお前は怯えた目で私を見た。その時に私の中で変わった。

初恋、恋い焦がれるあわい初恋から、


嫉妬

独占欲

執着

狂気の愛


きっと私は初めて見たあの時からこの気持ちだった。


お前を囲い

私の跡を残し

私の子種を残し


私のものだと

お前の全て

私のものだと


お前に

皆に

知らしめるように


お前にとっては残酷かもしれない。


それでも

それでも

私が

死ぬまで

死んでも

お前を離す事は出来ない

すまない

すまない

それでも

お前を離す事だけは

もう

絶対に

出来ない

お前を一人にはさせない

私達はいつも一緒だ

お前だけを

お前だけを一人にはさせない


お前が私の頭を撫でる手に、

私は、


狂喜した


誰を思い撫でていようが

今この時だけは

お前の手は

私の頭を撫でている


優しく撫でるお前の手に、お前の温もりに自然と眠りについた。




いつものように朝食を一緒にとる。

黙って食べてるお前をこっそり覗く。


「美味しいか」

「はい」

「そうか」

「はい」


これだけの会話を毎日繰り返す。それさえも私には喜びだ。

私の目の前で一緒に食事をする、それだけで私は幸せだ。


 

以前、


「殿下」

「何だ、テシー」

「殿下も男なら食事に誘ったらどうです」

「俺となんて食べたくないだろう」

「なら殿下はずっとあの部屋からエティーシア様を出さないおつもりですか」

「それは、」

「あの部屋で、一人で、毎食食事を食べているエティーシア様が可哀想とは思いませんか」

「それは、思うが…」

「なら、殿下も一緒この部屋で食事を召しあがればいいじゃないですか」

「俺と一緒に食べてくれるだろうか」

「殿下、何事も少しづつですよ。少しづつ近寄りましょう」

「ああ」


テシーのおかげで毎食一緒に食事をする事になった。

それだけで私は満足だった。

だが、テシーは違った。


「殿下」

「何だ」

「黙って食べていて何が楽しいのですか」

「だが、何を話して良いのか、」

「何でも良いんです。美味しいかでも、何か会話に繋がる言葉で良いんです」

「そうか分かった」

「本当に分かってます?何だったらキャルロット様もお誘いしましょうか」

「キャルだけは止めてくれ」

「なら会話です、会話。少しづつ殿下の事もエティーシア様に分かってもらいましょう」

「ああ」

「私は殿下の幸せもエティーシア様の幸せも、そして二人で幸せになるのを応援しますから」

「テシーいつもありがとう」





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