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「半獣?」
私はボソッとつぶやいた。
「おい!人族!」
私はビクッと身体が強張った。
グルルルルル、グルルルルル
ガイの唸る声が大きくなった。私を抱き抱えてる手に力が入り、ギュッとより包まれた。
「ジン、すまないが」
「ああ、分かってる」
「アイリス、目を瞑れるか?絶対に目を開けるな、いいな」
私はコクコクと頷いた。
グルルルルル
ガルルルル
争ってる?ジン様? 私はギュッと目を瞑り、身体が震えてる。
グルルルルル
ガルルルル
「アイリス、愛しい俺の番」
ガイは私の頭に口付けを落としてる。
「アイリス、怖かったな?もう目を開けてもいいぞ?」
私は目を開けガイを見つめる。いつの間にか出ていた涙をガイは舐めてる。
「涙も甘い」
ガイは流れる涙を全て舐め尽くそうとペロペロと舐めている。
「アイリス、愛してる」
ガイの唇が私の唇に重ねられた。
「おい!ガイ!覚えてろよ!」
横目で見るとジン様が虎?の獣人の方を捕らえていた。
「そんなに人族の番が大事かよ!自分の匂いをプンプンと纏わせて!人族はお前の仇だろ!お前は人族に寝返るのか!お前はそれでも狼か!」
私を隠す様にガイが抱きしめた。
「ガオ、お前も番が出来れば分かる。獣人とか人族とか関係ない。匂いに誘われ囚われ、俺はもう番以外いらない。番を愛し護り包み込む、それが俺の役目だ。番を害する奴は例え身内でも許さない。俺にとって唯一無二の存在だ。魂も身体も番を求め離さない。抱きしめると安心して心が埋まる感覚だ。安らぎ心地いい感覚だ」
「腑抜けになりやがって」
「何とでも言え」
「お前、その人族に裏切られ捨てられるぞ」
「捨てられたら喜んでこの身を捧げるさ。番を思いながら死ねるなんて本望だろ?」
「狂うんだぞ!」
「ああ、もう俺は番の匂いを感じ取った時から狂ってる」
「そんなにその番が良いのか!」
「ああ。もし番が牙と爪が怖いと言ったら俺は直ぐにでも牙を抜いて爪を剥ぎ取る」
「どうしてそこまで」
「そこまでしてでももう離せないからだ。笑った顔も怒った顔も怯える顔も睨む目も全てが愛しく美しい。匂いだけじゃない、コロコロ変わる表情も、恥ずかしがり屋で少し頑固な所も、優しい所も全てが愛しい。番だからじゃない、人としても俺はアイリスを愛してる」
「ッ」
「なあガオ、俺の姉さんは人族の番に裏切られ捨てられた。俺も姉さんの番を恨んだし憎んだ。人族は正直嫌いだ。 だけどな今だから分かる。 姉さんは最後まで番を愛し思いながら死んだ。
俺達獣人は人族の番を失うと狂うと言われてるが、人族の番と出会った時に俺達獣人は狂ってるんだよ」
「そこまでだ!」
一瞬ピリっといた空気が漂った。
「隊長!」
「話は聞こえていた。ガオは一週間独房で謹慎だ。そこで人族に対する態度を改めろ」
「…はい」
「ジン連れて行け」
「はい」
「ガイ、番を下ろすんだ」
「ですが」
「ガイの番を害する者は居ない」
「はい」
私はガイから下ろされ、隊長さんと呼ばれる方は私の前に居た。獅子?
「お嬢さん、私の部下が心無い言葉を言ってすまなかった」
「いえ、」
「怖い思いもさせた」
「いえ、」
「アイリスと言ったか?」
「…はい」
「そうか…」
とても優しい声だった。そしてどこか悲しげな声だった。 そして私を見る目が優しくとても温かい目をしている。
グルルル
「ガイ、心配するな。友を懐かしく思っただけだ」
私は無意識に聞いていた。
「友?」
「そうだよ。その髪の色、目の色、友と同じだ、懐かしい」
「髪の色?目の色?」
「ああ、クロードと同じだ」
「クロードお兄様を知っているのですか?」
「ああ、俺の友だ」
「お兄様に獣人の友がいたのですね」
「ああ。クロードだけは我等獣人を一人の人として接してくれた。俺達は同じ騎士として切磋琢磨してきた。一緒に剣の稽古をし、俺相手に獣人相手にどう戦えば傷を付けずに押さえれるか毎日挑んできた。夜遅くまで付き合わされ、その度に君の話を聞かされたよ」
「私の話ですか…」
「ああ。少しお転婆で人見知りする所もあるけど、優しく可愛い自慢の妹だとね。そして嫁には絶対に出さないと言っていたよ。口を開けばアイリスアイリスと君の話ばかりだったよ」
「お兄様がすみません」
「嫌、こちらこそすまない。俺は友を護れなかった」
「いえ…」
「知らせを聞いて直ぐに駆けつけたが間に合わなかった」
「………そうですか」
「あの時、我等獣人は発情期の最中で獣人側の騎士が手薄だった。言い訳にしかならないが」
「…………いえ」
「発情期の期間が違う獣人が街を警邏してたが、街から境界線まで行く獣人がいるとは思わなかった」
私は首を傾けた。
「どうした?」
「街から境界線まで行く者がいないとはどういう意味でしょうか」
「我々獣人の街はこの境界線から離れていて遠くにある。多くの獣人はその街で暮らしている。クロードの事件があり街と境界線までの間に騎士達の住居を作った。休暇中の者でも直ぐに動けるように。あの日俺が境界線の近くにいたらクロードの匂いで気が付けた。クロードがこちら側に入り争っていると…。そしたら俺は直ぐに助けに行ったのに…」
隊長さんはとても悔しそうで苦しそうで、そして悲しそうな顔をしていた。
お兄様を亡くし悲しみに暮れるのは私達家族だけだと思っていた。同じ人族でもお兄様の行動に「自業自得だ」「馬鹿な男だ」「騎士が聞いて呆れる」「ヒーローきどりか」と散々言われた。
「ありがとうございます。お兄様にこんな素敵なお友達がいて本当に良かった」
私は涙を流した…。
私はボソッとつぶやいた。
「おい!人族!」
私はビクッと身体が強張った。
グルルルルル、グルルルルル
ガイの唸る声が大きくなった。私を抱き抱えてる手に力が入り、ギュッとより包まれた。
「ジン、すまないが」
「ああ、分かってる」
「アイリス、目を瞑れるか?絶対に目を開けるな、いいな」
私はコクコクと頷いた。
グルルルルル
ガルルルル
争ってる?ジン様? 私はギュッと目を瞑り、身体が震えてる。
グルルルルル
ガルルルル
「アイリス、愛しい俺の番」
ガイは私の頭に口付けを落としてる。
「アイリス、怖かったな?もう目を開けてもいいぞ?」
私は目を開けガイを見つめる。いつの間にか出ていた涙をガイは舐めてる。
「涙も甘い」
ガイは流れる涙を全て舐め尽くそうとペロペロと舐めている。
「アイリス、愛してる」
ガイの唇が私の唇に重ねられた。
「おい!ガイ!覚えてろよ!」
横目で見るとジン様が虎?の獣人の方を捕らえていた。
「そんなに人族の番が大事かよ!自分の匂いをプンプンと纏わせて!人族はお前の仇だろ!お前は人族に寝返るのか!お前はそれでも狼か!」
私を隠す様にガイが抱きしめた。
「ガオ、お前も番が出来れば分かる。獣人とか人族とか関係ない。匂いに誘われ囚われ、俺はもう番以外いらない。番を愛し護り包み込む、それが俺の役目だ。番を害する奴は例え身内でも許さない。俺にとって唯一無二の存在だ。魂も身体も番を求め離さない。抱きしめると安心して心が埋まる感覚だ。安らぎ心地いい感覚だ」
「腑抜けになりやがって」
「何とでも言え」
「お前、その人族に裏切られ捨てられるぞ」
「捨てられたら喜んでこの身を捧げるさ。番を思いながら死ねるなんて本望だろ?」
「狂うんだぞ!」
「ああ、もう俺は番の匂いを感じ取った時から狂ってる」
「そんなにその番が良いのか!」
「ああ。もし番が牙と爪が怖いと言ったら俺は直ぐにでも牙を抜いて爪を剥ぎ取る」
「どうしてそこまで」
「そこまでしてでももう離せないからだ。笑った顔も怒った顔も怯える顔も睨む目も全てが愛しく美しい。匂いだけじゃない、コロコロ変わる表情も、恥ずかしがり屋で少し頑固な所も、優しい所も全てが愛しい。番だからじゃない、人としても俺はアイリスを愛してる」
「ッ」
「なあガオ、俺の姉さんは人族の番に裏切られ捨てられた。俺も姉さんの番を恨んだし憎んだ。人族は正直嫌いだ。 だけどな今だから分かる。 姉さんは最後まで番を愛し思いながら死んだ。
俺達獣人は人族の番を失うと狂うと言われてるが、人族の番と出会った時に俺達獣人は狂ってるんだよ」
「そこまでだ!」
一瞬ピリっといた空気が漂った。
「隊長!」
「話は聞こえていた。ガオは一週間独房で謹慎だ。そこで人族に対する態度を改めろ」
「…はい」
「ジン連れて行け」
「はい」
「ガイ、番を下ろすんだ」
「ですが」
「ガイの番を害する者は居ない」
「はい」
私はガイから下ろされ、隊長さんと呼ばれる方は私の前に居た。獅子?
「お嬢さん、私の部下が心無い言葉を言ってすまなかった」
「いえ、」
「怖い思いもさせた」
「いえ、」
「アイリスと言ったか?」
「…はい」
「そうか…」
とても優しい声だった。そしてどこか悲しげな声だった。 そして私を見る目が優しくとても温かい目をしている。
グルルル
「ガイ、心配するな。友を懐かしく思っただけだ」
私は無意識に聞いていた。
「友?」
「そうだよ。その髪の色、目の色、友と同じだ、懐かしい」
「髪の色?目の色?」
「ああ、クロードと同じだ」
「クロードお兄様を知っているのですか?」
「ああ、俺の友だ」
「お兄様に獣人の友がいたのですね」
「ああ。クロードだけは我等獣人を一人の人として接してくれた。俺達は同じ騎士として切磋琢磨してきた。一緒に剣の稽古をし、俺相手に獣人相手にどう戦えば傷を付けずに押さえれるか毎日挑んできた。夜遅くまで付き合わされ、その度に君の話を聞かされたよ」
「私の話ですか…」
「ああ。少しお転婆で人見知りする所もあるけど、優しく可愛い自慢の妹だとね。そして嫁には絶対に出さないと言っていたよ。口を開けばアイリスアイリスと君の話ばかりだったよ」
「お兄様がすみません」
「嫌、こちらこそすまない。俺は友を護れなかった」
「いえ…」
「知らせを聞いて直ぐに駆けつけたが間に合わなかった」
「………そうですか」
「あの時、我等獣人は発情期の最中で獣人側の騎士が手薄だった。言い訳にしかならないが」
「…………いえ」
「発情期の期間が違う獣人が街を警邏してたが、街から境界線まで行く獣人がいるとは思わなかった」
私は首を傾けた。
「どうした?」
「街から境界線まで行く者がいないとはどういう意味でしょうか」
「我々獣人の街はこの境界線から離れていて遠くにある。多くの獣人はその街で暮らしている。クロードの事件があり街と境界線までの間に騎士達の住居を作った。休暇中の者でも直ぐに動けるように。あの日俺が境界線の近くにいたらクロードの匂いで気が付けた。クロードがこちら側に入り争っていると…。そしたら俺は直ぐに助けに行ったのに…」
隊長さんはとても悔しそうで苦しそうで、そして悲しそうな顔をしていた。
お兄様を亡くし悲しみに暮れるのは私達家族だけだと思っていた。同じ人族でもお兄様の行動に「自業自得だ」「馬鹿な男だ」「騎士が聞いて呆れる」「ヒーローきどりか」と散々言われた。
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私は涙を流した…。
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