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「クロードは騎士達の憧れだった。獣人、人族共に。俺は人族の騎士に頼み人族に自由に出入り出来る業者を探して貰った。荷を見せず出入り出来る業者をだ」
「はい」
「そしてその業者になり代わり騎士が御者をし荷の中に俺はクロードの亡骸を抱き、隠れ人族街へ入り、伯爵家へ亡骸を渡した」
「はい」
「騎士クロードの死が隠れて夜中に行う事か?違う。騎士クロードとして堂々と帰還するべきだ」
「はい」
「亡骸を渡し俺は復讐を誓った。クロードの剣に、己の剣に。だがクロードは許さなかった」
「どう言う意味ですか?」
「クロードの剣は他国へ向ける剣だ。自国に向ける剣ではない。俺はクロードの剣を穢したくなかった」
「はい」
「夢見に現れるんだ。クロードがいつもの笑顔で、語り合った獣人と人族の共存を。憎しみを許せと語りかけてくる。毎晩毎晩クロードが憎しみを許せ、相手に隙をみせた俺が悪いとな」
「はい」
「俺が心で願った夢かも知れない。だがクロードはいつも笑顔だ」
「はい」
「俺はクロードの死を無駄にしない様に街と詰所の間に騎士の家を建てた。そして酩酊状態の獣人を抑える注射を作らせた。騎士になる者には剣に誓わせた。獣人、人族関係なく助け、人族に手を出さないと」
「はい。俺も誓いました」
「この剣に誓ったな」
「はい」
隊長室に掲げられてる一本の剣。この剣と己の剣に騎士として誓う。詰所に配属された者は皆誓い、誓いを破る事は剣を折る事になる。
「この剣はクロードの剣だ」
「兄上の?」
「そうだ。クロードはいつも剣を振る時は予備の剣で振る。これは他国に向ける剣だからと。アイリス嬢がガイの番となって俺の前に現れた。剣を返す時がきたようだな」
「隊長?」
「クロードの亡骸と剣を伯爵家に渡した時、俺はこの剣を手放せ無かった。伯爵家にはあの日握っていた予備の剣を渡した。
クロードの死を忘れない為に、そして俺がクロードと離れたくなかった。俺の友、仲間、同士、そして愛する人だ」
「え?」
「俺はクロードを愛している。今でも」
「隊長?」
「気持ち悪いか?」
「いえ」
「クロードを一人の人として敬愛している」
「はい」
「なぁガイ」
「はい」
「人族が憎いか?」
「個人の気持ちでは」
「許せ」
「それは…」
「この国の者達を憎んでもクロードは返ってこない。それならクロードが望んだ未来になる様に努力した方がクロードを嘲笑し見捨てた者達への復讐になるんだ」
「なら隊長はこの国の者達を許しましたか?」
「許した。そして俺とクロードの望んだ未来、獣人と人族の共存。共に暮らし手を取り合う。憎しみを許したその先…その先の幸せを手に入れたい」
「あの隊長」
「何だ」
「兄上の夢はまだ見ますか?」
「毎晩な」
「そうですか」
「俺もまだ道半ばという事だ。クロードが俺を許す時はいつだろうな」
「隊長を許す?」
「未だ獣人と人族は憎むべき相手だ」
「はい」
「自国で憎しみ合っていてどうする。他国に攻め入られれば均等の取れてないこの国は敗戦国だ」
「はい」
「多くの犠牲が出る。それから手を取り合っても遅いんだ。そこで初めて獣人、人族共に同じ国の手を取り合う仲間だと気づいても犠牲者は返らない」
「はい」
「ガイ、人族は憎むべき相手ではない。この国に暮らす仲間だ」
「…はい」
「アイリス嬢を嫁に貰いたいならこの事を胸に刻め」
「はい」
◆ 隊長の思い ◇
ガイが部屋を出て行き、窓から見える月を見上げる。あの日もこんな丸い月の日だった。
クロードの知らせを獣人の騎士から聞き、俺は全速力で馬を走らせた。胸騒ぎがし馬に鞭を叩き続けた。
クロードの血の匂い…。
押さえられてる獣人の雄達。その近くで震えてる雌猫。その両者達から匂う発情期の独特な匂い。
クロードに駆け寄り抱きあげた。
「クロード!クロード!」
薄目を開けたがもう助からないだろう。息の根が弱い…。
「レ……オ……ン?」
「クロード!」
「やっ…ち……まった……な」
「喋るな!」
「レ……オン、ア…イ……リ……ス…を……ゴボッ………頼む」
「クロード、喋るな!」
「お……前に………な…ら……ア…イ……リ…ス……を……任せ……ゴボッ……ら…れ…る」
「分かった、分かったからもう喋るな!」
「レ……オ…ン、レ…オ……ン」
「何だ!」
クロードの手が俺の頬に触れた。
「泣……く………な…」
「泣いて…な…い」
クロードの左手が俺の左手を握る。
「俺……達…の…………ゴボッ……夢……、お……前…に……ゴボッ……託………す」
「ッ、俺だけでは無理だ。お前がいてこそ俺達の夢だ!」
「人……族…と………ゴボッ………獣………人………、共……に………ゴボッ………手………を……取……り………ゴボッ………合……う」
クロードの左手に少し力が入り俺も握り返した。
「レ……オ………ン、レ………オ……ン………、ゴボッ…………俺………は……………お………前………を………………………………………………」
「クロード?クロード!目を覚ませ!クロード!返事をしろ!クロード!死ぬな!!俺を置いて死ぬなー!! クローーーードーーーー!!」
なぁ、クロード、お前に置いていかれた俺は何に縋ればいい。誰の手を取ればいい。この左手は今もお前を探してる。
お前が毎晩夢に現れるのは俺の心の奥底に憎しみがあるからか? だが悪いな。お前の死を認めたくないんだ。お前の死を何度も侮辱した奴等への憎しみが今の俺を生かし動かしてる。お前との夢を実現する為に…。お前が生きた証を残す為に…。
俺は最期の時まで心の底から許す事はないだろう。それまで毎晩夢に現れてくれ。お前の笑顔だけに縋らせてくれ。
「はい」
「そしてその業者になり代わり騎士が御者をし荷の中に俺はクロードの亡骸を抱き、隠れ人族街へ入り、伯爵家へ亡骸を渡した」
「はい」
「騎士クロードの死が隠れて夜中に行う事か?違う。騎士クロードとして堂々と帰還するべきだ」
「はい」
「亡骸を渡し俺は復讐を誓った。クロードの剣に、己の剣に。だがクロードは許さなかった」
「どう言う意味ですか?」
「クロードの剣は他国へ向ける剣だ。自国に向ける剣ではない。俺はクロードの剣を穢したくなかった」
「はい」
「夢見に現れるんだ。クロードがいつもの笑顔で、語り合った獣人と人族の共存を。憎しみを許せと語りかけてくる。毎晩毎晩クロードが憎しみを許せ、相手に隙をみせた俺が悪いとな」
「はい」
「俺が心で願った夢かも知れない。だがクロードはいつも笑顔だ」
「はい」
「俺はクロードの死を無駄にしない様に街と詰所の間に騎士の家を建てた。そして酩酊状態の獣人を抑える注射を作らせた。騎士になる者には剣に誓わせた。獣人、人族関係なく助け、人族に手を出さないと」
「はい。俺も誓いました」
「この剣に誓ったな」
「はい」
隊長室に掲げられてる一本の剣。この剣と己の剣に騎士として誓う。詰所に配属された者は皆誓い、誓いを破る事は剣を折る事になる。
「この剣はクロードの剣だ」
「兄上の?」
「そうだ。クロードはいつも剣を振る時は予備の剣で振る。これは他国に向ける剣だからと。アイリス嬢がガイの番となって俺の前に現れた。剣を返す時がきたようだな」
「隊長?」
「クロードの亡骸と剣を伯爵家に渡した時、俺はこの剣を手放せ無かった。伯爵家にはあの日握っていた予備の剣を渡した。
クロードの死を忘れない為に、そして俺がクロードと離れたくなかった。俺の友、仲間、同士、そして愛する人だ」
「え?」
「俺はクロードを愛している。今でも」
「隊長?」
「気持ち悪いか?」
「いえ」
「クロードを一人の人として敬愛している」
「はい」
「なぁガイ」
「はい」
「人族が憎いか?」
「個人の気持ちでは」
「許せ」
「それは…」
「この国の者達を憎んでもクロードは返ってこない。それならクロードが望んだ未来になる様に努力した方がクロードを嘲笑し見捨てた者達への復讐になるんだ」
「なら隊長はこの国の者達を許しましたか?」
「許した。そして俺とクロードの望んだ未来、獣人と人族の共存。共に暮らし手を取り合う。憎しみを許したその先…その先の幸せを手に入れたい」
「あの隊長」
「何だ」
「兄上の夢はまだ見ますか?」
「毎晩な」
「そうですか」
「俺もまだ道半ばという事だ。クロードが俺を許す時はいつだろうな」
「隊長を許す?」
「未だ獣人と人族は憎むべき相手だ」
「はい」
「自国で憎しみ合っていてどうする。他国に攻め入られれば均等の取れてないこの国は敗戦国だ」
「はい」
「多くの犠牲が出る。それから手を取り合っても遅いんだ。そこで初めて獣人、人族共に同じ国の手を取り合う仲間だと気づいても犠牲者は返らない」
「はい」
「ガイ、人族は憎むべき相手ではない。この国に暮らす仲間だ」
「…はい」
「アイリス嬢を嫁に貰いたいならこの事を胸に刻め」
「はい」
◆ 隊長の思い ◇
ガイが部屋を出て行き、窓から見える月を見上げる。あの日もこんな丸い月の日だった。
クロードの知らせを獣人の騎士から聞き、俺は全速力で馬を走らせた。胸騒ぎがし馬に鞭を叩き続けた。
クロードの血の匂い…。
押さえられてる獣人の雄達。その近くで震えてる雌猫。その両者達から匂う発情期の独特な匂い。
クロードに駆け寄り抱きあげた。
「クロード!クロード!」
薄目を開けたがもう助からないだろう。息の根が弱い…。
「レ……オ……ン?」
「クロード!」
「やっ…ち……まった……な」
「喋るな!」
「レ……オン、ア…イ……リ……ス…を……ゴボッ………頼む」
「クロード、喋るな!」
「お……前に………な…ら……ア…イ……リ…ス……を……任せ……ゴボッ……ら…れ…る」
「分かった、分かったからもう喋るな!」
「レ……オ…ン、レ…オ……ン」
「何だ!」
クロードの手が俺の頬に触れた。
「泣……く………な…」
「泣いて…な…い」
クロードの左手が俺の左手を握る。
「俺……達…の…………ゴボッ……夢……、お……前…に……ゴボッ……託………す」
「ッ、俺だけでは無理だ。お前がいてこそ俺達の夢だ!」
「人……族…と………ゴボッ………獣………人………、共……に………ゴボッ………手………を……取……り………ゴボッ………合……う」
クロードの左手に少し力が入り俺も握り返した。
「レ……オ………ン、レ………オ……ン………、ゴボッ…………俺………は……………お………前………を………………………………………………」
「クロード?クロード!目を覚ませ!クロード!返事をしろ!クロード!死ぬな!!俺を置いて死ぬなー!! クローーーードーーーー!!」
なぁ、クロード、お前に置いていかれた俺は何に縋ればいい。誰の手を取ればいい。この左手は今もお前を探してる。
お前が毎晩夢に現れるのは俺の心の奥底に憎しみがあるからか? だが悪いな。お前の死を認めたくないんだ。お前の死を何度も侮辱した奴等への憎しみが今の俺を生かし動かしてる。お前との夢を実現する為に…。お前が生きた証を残す為に…。
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