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ヒュース様と結婚しヒュース様と邸で一緒に暮らし始めた。2階にはお父様とお母様、3階に私達。
お母様は今日もお茶会へ出掛ける。
お母様を乗せた馬車をお父様の執務室で見つめる。
『お父様はお母様が心配ではないんですか?』
『大事だと思うからこそ自由にさせている。あれは自由に羽ばたくからこそ輝く』
お父様はまた不敵な笑みを浮かべた。
夫婦には夫婦にしか分からない事がある、それね。
私はヒュース様を愛して、ヒュース様も私を愛してくれる。
ヒュース様の隣でヒュース様の寝息を聞きながら眠りについて朝目が覚めると真っ先にヒュース様と目が合う。
私を見つめるヒュース様の目、それから重なる唇。包まれるように抱きしめられ、何度も『もう起きないと』『あと少しだけ』それを繰り返し、痺れを切らしたメイドに起こされる。
一緒に朝食を食べお父様の執務室へ行く。昼食後は庭を散歩してヒュース様はお父様と出掛け、私は残りの仕事をこなす。
数ヶ月に一度領地へ行き、途中の街に立ち寄り二人だけの時間を過ごす。離れた所に騎士達がいるとはいえ昔みたいに騎士達に取り囲まれる事は婚約してからなくなった。
毎日楽しくて幸せ、私が望んだ政略結婚の先の愛の物語、それを作り築いた。夫婦として愛するヒュース様と私の愛の物語を。
結婚して2年、私達は順調に愛を育んでいる。夫婦の営みもほぼ毎日。
でも子供は出来なかった…。
メイドが言っていた。『若様は外に子種を放っていると思います』子種を外に放てば子供は出来にくい。確率で言えばであって絶対ではない。それに本当に外で放っているのかは分からない。
営みが終われば湯を一緒に浴びる。その間にシーツは交換され綺麗なシーツで眠る。
営みの最中も確かめる余裕は私にはない。高められる私の体、何も考えられなくなり『気持ちいい』それだけが私を支配する。欲という微睡みの中に溺れていく。そして意識がはっきりするのはいつも一緒に湯に浸かっている時。
ヒュース様本人に確認するのは…、やっぱり恥ずかしい。『子種を外で放っているんですか?』そう聞けばそれはヒュース様を信用も信頼もしていないと言ってるも同然なのではないの?
それにもし子種を外に放っているとして、それには何か理由があるのかもしれない。まだ夫婦の時間を大事にしたいのかもしれない。子供が産まれると夫婦の時間は少なくなると聞いた。
夫婦から家族へ、それはとても幸せな事だけど、今はまだ二人だけの生活を楽しみたいのかもしれない。
私もヒュース様の子供は欲しい。でもヒュース様と二人だけの時間が減るのは嫌だ。
いつか、いつか、子供が欲しいと心から願った時、その時に伝えればいい。
だから今はヒュース様の愛の中で過ごしたい。それが私の本音。
走馬灯のように私の記憶が駆け巡り最後は貴方との思い出を思い出していた。
目を開けてもこれが夢ではないと、今起こっている現実なんだと私に突き付けた。
夜、いつものように眠りについた。ヒュース様の温もりの中でヒュース様の愛を確認して。
『俺の愛しいエリーゼ、愛してる』
何度も聞いた愛の言葉、ヒュース様の声、優しい眼差し、唇に落とされる口付け。
大きな物音で目が覚めるまでこの部屋の中はヒュース様の愛で溢れていた。
それなのに…
「どうぞ私を殺して下さい」
私はもう一度目の前にいる私の愛する人に告げた。
それに分かっていた。
いつか私は誰かに殺されると…。
なら愛する人に殺されるなら本望。
私は抵抗する意思がないとずっと手を広げている。
それに、最後に愛しい人を目に焼き付けられて私は幸せ。
だからひと思いに殺して…
貴方の手で、私を殺して…
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