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私は目の前に座る婚約者からもう何度目かの、
「俺は運命の女性を見つけた」
「また?」
「信じてないな?今度こそ運命の女性だ」
「そう」
「エマ」
エマと呼ばれる女性が彼の隣に座った。
目の前でベタベタとする彼とエマ…
私は何を見せられているのかしら。
今日は週に一度の婚約者とデートの日。いつも待ちあわせをする喫茶店。
彼も私も子爵家、そして2歳だったか3歳だったかに婚約者になって以来、15年?14年?が経った。
彼、ロニーと、私、ライラは幼馴染みでお互いお腹の中にいる時からの付き合いなの。ロニーが私より1ヶ月早く産まれ、産まれてからほとんど一緒に育ったわ。
お互いの母親同士が親友で家も近くて同じ時期に子を宿し、産まれたのが男の子と女の子、「これは結婚させないと」と張り切ったお母様達のおかげで物心ついた頃にはロニーとの記憶しかないわ。
それでも、張り切ったお母様達が婚約を決めたんじゃないのよ?
2歳だったか3歳だったか、親の真似を多分したのか、偶然か、キスをしたらしいの。覚えていないから分からないけど。一度したら面白くてか何度もしていたらしいの。
それを見たロニーのお父様が、
「嫁入り前の女性の唇を奪い傷物にしてしまった。責任を取らせてほしい。それに、口付けは婚約者とするものだ、ライラをロニーの婚約者にしてはもらえないだろうか」
元々乗り気だったお母様達は喜び、私のお父様もいずれ誰かに嫁ぐなら知り合いの方が良いとなって婚約したみたい。
でも、考えてみて?
17歳にもなれば、結婚する前にキスをする人はいるし、まぁ婚約者とだけど、それでも婚約者以外とする人だっているでしょ?
目の前のロニーも「運命の女性」ときっとキスしてるわよ?その先は知らないけど。
幼い頃から一緒に居すぎてお互い、家族、兄妹、友達、まぁ、恋愛感情は全くないのよね。
ならどうして婚約解消しないのかって?
ロニーは私と婚約解消をしたら家から勘当され、私は窓の外で待ってるロニーの家の騎士を見ていたいから。
13歳年上だから憧れに近いけどね。
「おい、聞いてるのか?ライラ」
「え?何を?」
「今度こそ運命の女性なんだ」
「なら頑張って?」
「ああ」
ロニーが運命の女性を探している間は憧れの人を見れるし、ロニーの事も嫌いじゃない。
でも、どうしてロニーは運命の人を探しているんだろ?
詳しく聞いた事は無かったな…。
エマさんが帰り、
「エマさん良かったの?」
「今日はライラとの時間だろ?」
「そうだけど」
「ライラ、ケーキ食べるか?」
「そうね」
「ライラはチーズケーキだろ?」
「ええ」
「今日は紅茶?それともハーブティー?」
「う~ん、なら紅茶」
「なら俺はハーブティーを頼むよ。どうせ一口飲ませてって言うだろ?」
「言わないわよ」
目の前に運ばれたケーキと飲み物、私はチーズケーキを食べ、
「ロニー」
「なら交換な」
「ありがとう」
ロニーのチョコケーキを食べる。
「ライラはいつも美味しそうに食べるよな?」
「だって美味しいもの」
私達はいつも半分食べたら交換するの。
「ロニー」
「だと思った」
「ありがとう」
私はハーブティーを飲んだ。
「ねぇ、エマさんとは今度はどこで知り合ったの?」
「エマとは本屋で知り合ったんだ。同じ本を取ろうとして、これは運命だって思ったよ」
「そうなんだ」
「さあ、帰ろうか」
「今日はどっち?」
「今日は俺の家」
「ならこの前の本の続き読もうかな?」
「なら俺は少し寝る」
ある時はハンカチを拾った、ある時は回避しようとしたら同じ方に回避した、ある時は席が横になった、ある時は落とした小銭が足元にあった、まだまだ色々あるけど、それでも数ヶ月すると「運命の人とは違った」って言うのよね。「なんで?」って聞くと「しっくりこない」って。
まあ、好きなだけ運命の人を探して?
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