厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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105:招待状

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 ふがふが、ふんふん、ずーはーずーはー、「ミラベルゥゥ」はぁはぁはぁ、「ミィラァベェルゥゥ」とか聞こえません。
 目覚めの一発でポルターガイスト現象とか気のせいです。
 わさわさと人の体をまさぐっているヤツの脚をガスッと蹴って、布団を頭まで被り、もう一度眠ろうとしました。

「っ、痛い。ミラベル起きたか? アシュリーのやつから招待状が届いているぞ?」
「アシュリー様っ⁉」

 布団を跳ね除け、勢いよく起き上がりましたら、テオ様のお顔が胡乱なものになっていきました。

「おい、私が起こしている時との差が激しすぎやしないか? いま、普通に蹴ったよな?」
「……寝返りです」
「「……」」

 テオ様が持つ招待状にそっと手を伸ばすと、サッと上にあげられてしまいました。
 それを追ってそうっと手を上に動かすと、今度は右に。左に。上に。下に――――。

「お嬢様! セオドリック殿下も。いい加減に遊ぶのはお止めに。朝の支度をしますよ」
「ぅお、すまない」
「はぁい」

 ザラからナチュラルに怒られてしまいました。
 ていうか、ザラがいたのサワサワしてたんですか。変態ですか。



 ザラに体調はどうかと聞くと、昨日はゆっくり眠れたので、随分と調子がいいと言ったので、ホッと一安心です。

「それで、お手紙には何と?」
「あのね、三日後の二時に嫁ぎ先のドゥルイット侯爵家でお待ちしておりますって。あと、テオ様はいらないって」
「何でだ⁉」

 私の髪がゆわれていくのをソファで眺めていたテオ様が、急に立ち上がって不満そうにされていました。

「知りませんよ。ただ、テオ様は邪魔って書いてあったんですもの」
「見せろ」
「どうぞ?」
「クソっ、あの女、本当に邪魔って書いているではないか!」
「お口が悪いですわよー」
「ミラベルが言うな!」

 ――――まぁ、酷い。

 着替えて朝食に向かっている途中で、テオ様が補佐官のコーディに引き摺られて消えていきました。
 どうやらお仕事を溜めてあったようです。
 この日、眠るまでテオ様は帰って来ませんでした。
 翌日も、一日中執務に追われているようで、一人で食事を取らせて申し訳ないという旨を伝えたいのであろう、謎の手紙をいただきました。

『我、インペラトル最高指揮官としての責務あり。我が愛しのアンゲル女神スよ、一人寂しくはあろうが、キブス食事は……何も言わずとも、しっかり取るのであろうな』

 何でしょうね? 普通に書けよ、とかも思いますが。
 そりゃあ、しっかり取りますよ。だって食事はエネルギー、体力の素ですし。残したりは、作って下さった皆様に申し訳ないですし。

 テオ様の手紙を見ながらプチプチと言っていましたら、ザラとリジーが呆れ返った顔をしていました。

「何よ?」
「お嬢様も大概な感じです」
「どちらかといえば、ミラベル様の方が全方向に酷いですよ?」

 どこがよ! と反論しましたら、滅多打ちに合いました。

「「ロブ」」
「あ……うぅ」
「あれだけ分かりやすいのに。ミラベル様、一度私に薦めてきましたからね」
「お嬢様……」
「ちょっ、そんな目で見ないでよぉ! ごめんってば。悪気は無かったのよぉ」
「「なお悪い」」
「だいたいですね――――」

 どうしましょう。
 何だか、段々とザラもリジーもお説教モードになってきてます。

 ――――誰か! 助けてぇ!


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