東天紅鶏と路地裏

レーズン

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旅と唐揚げ

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「愛ちゃん待った?」
「待ってない。さっき来た。」
「そっか。なら良かった。」
「じゃ、行こうか。」
「頑張るぞーえいえいおー。ほらほら、行くぞー!」
「そういえば、乗り物酔いとかは大丈夫?」
「が、頑張るぞー…」
「乗り物酔いに効くツボ押しとこうか?」
「いや、良いよ。大丈夫…のはず。」
「よし、行こうか。久々の長旅だぁ。」

 私は月子つきこ。そして、隣でスマホをいじってるのがあいちゃん。(なんで乗り物の中でスマホとかいじって気持ち悪くならないだろ…)
 愛ちゃんの考えてることは分からないけど、すごく頼りになる。見た目モデル。
 私は乗り物にとても弱い。オエッ。多分ナマズが腹の中で暴れたらこうなるだろう。ウェッ。
 さてと、あと三時間ぐらいかな。寝よう。
「愛ちゃんついたら起こして…」
「おけ。そこのイカしたお兄さん私も寝てたら起こしてください。」
『!?』
「…起きとくわ。オニーサンすいません…。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
「すいません…」

 まぁ、そんなこんなで無事終点。かなり気まずかったが、オニーサン途中で降りました。

「あぁ、長かった…」
「ふむ如何にも。」
「でもさぁここどこ?」
「◎駅。降りる所間違えちゃったね。」(元々降りる所は◆△駅)
「どうしよう…」
「次来るのは三日後。まぁ歩いてみようか。さすれば活路が拓けるだろう。」
「何その言い方めちゃくちゃカッコいいじゃん。」
「私は元々かっこいいからね。」( ・´ー・`)どや

 三十分ぐらい歩いただろうか。真冬だけど、すごく暑いけど汗がすごい冷たい。

「つっちゃん、休憩する?」
「いや、大丈夫…。愛ちゃんは?」
「んー、休憩する。あ、喉乾いたからちょっと自販機探してくるわ。あたたかいのがいい?つめた~いのがいい?」
「あたたか~いで。」
「おけ。」

 ふう、愛ちゃんが自販機で飲み物買ってきてくれるその間に、スマホで現在位置を確認しよう。どれどれ?
表示出来ません。酷いっ!じゃなくて。表示出来ません。表示出来ません。もういいわ。

「スマンつっちゃん。自販機無かった…」
「いや、良いよ大丈夫。それより、スマホがおかしい。」
「お前もかブルータス。そう、私もスマホおかしい。地図表示されないんだよね」
「なんでだろ?」
「…オカルト的に考えると、異世界に迷いこんだのかも…」
「えぇ?じゃあエルフとかスライムとかいるのかな?」
「そういう異世界じゃないんだ。きさらぎ駅知ってる?」
「前テレビでやってたけど怖くて観てない。」
「そうか。なんか時空の歪みだったかで存在しない駅に迷いこんだだっけな~。
 まぁ、電波とかが入ってきてないだけかもしれないし気にせずに行こうか。」
「愛ちゃんがそう言うなら安心だね。」
「馬鹿か、私は穴だらけの船みたいなものだぞ。」
「前言撤回する。安心じゃなかった。」
「分かった。さてと、歩こうか。」
「えいえいおー!」
 
 そうやって私達は歩いた。歩き回った。めちゃくちゃ歩き回った…!(主に海が見える道路)
でもそうやっても…
「ここどこーッ!」
 迷った。
「つっちゃん、まだ日は落ちてないよ。そして良い事に住宅が見えてきた。」
「えっマジ?」
「うんマジ。ちょっと聞き込みを開始しよう。」

 コンコン「すいませ~ん。お聞きしたいことがあるんですが、ちょっとお時間頂いてもよろしいでしょうか?」
『なんですか!?うちの主人も娘も悪いことなんてしてません!』
 ありゃ悪い事してるな。

 別の家
コンコン「すみませ~ん。お聞きしたいことがあるんですが~。」
『新規の者か?ならばロモノテの誓いを立てよ!それとも、小生が慕ってやまないケチャップ・モンキー・ウデムシ・メロウ様になにか用か?』
「失礼しました。」

 別の家
コンコン「すいませ~ん。ちょっとお尋ねしたい事がありまして~、お時間頂いてもよろしいでしょうか?」

『あぁ?なんだ~?』
「つかぬ事をききますがここどこですか~?」
ガチャ「おい、ちょっと来い」
「あの、ここはどこなんですか?」
「いいか、ここはな心の隙間なんだ。」
コソッ「つっちゃん逃げよう。」
コソッ「大丈夫だ」「あの、心の隙間とは、どういう意味でしょうか?」
「っ~!また明日でいいか?」
「まぁ、明日でも構いませんが…最後に一つ聞いていいですか?」
「なんだ?」
「この近辺に泊まる所ないですか?」
「無い。」
コソッ「どうしよう…」
コソッ「野宿で頑張ろう。案外いいものだぞ。」
「お前ら泊まる所探してんのか?」
「えっと、まぁはいそうですね…」
「家でよけりゃ泊まっていくか?」
「えっ!いいんですか?」
「ああ。でも条件がある。なんか料理作ってくれ。男一人じゃ何も分からん。あと掃除してくれ。そして教えてくれ。」
「ありがとうございます。任せてください。」

 中は完全和風。昭和感溢れる家である。

「荷物は適当な所に置いてくれ。」
「はーい。ありがとうございます」

 そうやって、なんだかんだあって?打ち解けた。只今、愛ちゃんはカブトムシの良さを力説している所だ。男の人、(武志たけしだが、愛ちゃんはおっちゃんと呼んでいる。)はゾウリムシの良さを力説している。そして私はタマイタダキイソギンチャクの危険を5歳児でも分かるように解説している。もう言わなくても分かるが皆の心がバラバラになっている気がする。そんな皆を繋ぎ止める為か愛ちゃん
「そろそろ、唐揚げ揚げますね。」と言って台所へ行ってしまった。
 そして残ったおっちゃんと私は、唐揚げに檸檬をかけるか、オーロラソースをかけるか議論した。うぅむ甲乙付けがたい。
 
「おっちゃん、つっちゃん唐揚げ出来たよー。」
『はーい。』
ザクッ「うめぇ~。」
ザクッ「檸檬でもオーロラソースでもなくてご飯が一番唐揚げに合うなぁ。」
ザクッ「なら良かった。沢山お食べ。」
  「太る未来しか見えない。」
  「そういえば、お前ら着替えとか歯ブラシとか持ってきたか?」
「元々一泊する予定やったんで、歯磨きセットと一日分の着替えは持ってきました。」
「寝る所は2階でいいか?」
「寝れればどこでも」
「畳ベットだが寝れるか?」
「おばあちゃん家のベットはそれだったので大丈夫です。」
「トイレは一階廊下の突き当りにある。」
「はーい。」

 一日終わり。唐揚げおいしかった。お風呂で一回コケた。元の所に戻れるかな。






 



    
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