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夕食が出来上がったので、外にいるはずのイオたちを呼びに行ったアミッツだったが、外に出て最初に目にした光景に唖然となってしまう。
何故なら……。
「だ~るまさんが~こ~ろん……っだっ!」
イオが壁に前身をつけていたと思ったら、勢いよく振り返った。同時にピタッと、リリとロロが動きを止める。いや、彼女たちだけではなく……。
「おっ、レンジ、今動いたぜ!」
「ええ~、ちゃんととまってたよぉ」
「フッフッフ、オレの目は誤魔化せねえ! 片足で立ってるから動いちまうんだよ」
「ちぇ~」
「ねえねえ、イオにいちゃん、つぎはやくぅ!」
「はやくはやく!」
何故かそこには多くの子供たちの姿があった。
「え、えっと……これはどういう状況……?」
「ハッハッハ、イオの奴、ずいぶんと懐かれてるみたいじゃないか」
そこへマザーも外が気になったのかやって来ていた。
「だ~るま……さんがころんだっ! はいっ、マリィとリック、動いたぜ!」
「あ、はやいよぉっ!」
「あっちゃあ、動いちゃったかぁ」
そこにはアミッツの次に年長の十歳児――リックの姿もあった。悔しそうだが、とても楽しそうである。
「だ~るまさんがぁぁ~…………こ~ろ」
何故か皆がゴクリと喉を鳴らす。アミッツも音を出してはいけないと直感で察した。
「んだっ! っくぅ、さすがは双子、息がピッタリだな!」
残っているのはリリとロロの二人のようだ。
(どうやら先生が振り向いた時に、動いたらダメみたいだけど……)
この遊びのルールを何となく理解することができた。
(けどこの後はどうするんだろ? 何かリリたちは先生に近づいていってるみたいだけど)
そこからどうするのかさすがに分からない。
「だ~」
と、イオが壁側に顔を向けた瞬間――今こそといった感じで、リリたちが素早く間を詰める。
「るまさんがころっ」
といきなり早口になったので、思わずリリたちが足を止めるが、
「ん~~~~~~」
今度はかなり長くタメを作るイオ。リリたちは互いに顔を見合わせ頷いてから、右足を同時に動かした刹那――
「っだっ!」
突然電光石火に振り向いたイオ。ビクッとなってしまったリリとロロは、ほぼ同時にそのまま浮かせた右足をイオが見ている前で、地面についてしまった。
「にっしっしっし。リリ、ロロ、しっか~く!」
「「~~~~~っ!」」
二人は悔しそうに拳を握って強く瞼を閉じている。その姿はとても愛らしい。
他の子供たちも溜め息を吐きガックリと肩を落としてしまっていた。
「カーッカッカッカッカ! どうやらオレに勝つのはまだまだ早いようだね諸君!」
ドーンと胸を張りながら、大人げなく高笑いをするイオ。
子供たちから再戦の要求が放たれる。しかしそこへマザーが手を叩いて、皆の視線を集めた。
「楽しんでるとこ悪いね。でも夕食の時間だよ! さっさと手を洗ってきな!」
「「「「は~い!」」」」
やはりマザーの言うことは絶対。しっかり言いつけを守って、皆がマザーと一緒に教会へと入って行く。
イオもまたゆっくりとした足取りで、その場に残ったアミッツのところへと来る。
「あ、先生。子供たちの面倒をみてくれてありがと」
「おう、別にいいぜ。楽しかったしな」
「けど今のって何?」
「〝だるまさんがころんだ〟っていうガキの遊びだ。オレも小っちゃい頃はよくやったんだ」
「へぇ。初めて見たなぁ」
「結構大人がやっても面白えぞ。特に子供ってのは意外な動きを見せることもあるからな」
「リリとロロだけじゃなくて、リックたちも一緒になってたのはビックリだったよ」
「遊んでたら、やって来てよ。せっかくだからってルール教えてやって、一緒に遊んでたんだよ」
「そうだったんだぁ。あ、でも何となくルールは理解したんだけど、どうやったらリリたちが勝ってたの?」
「勝つってのは微妙な言い方だけど、リリたちがオレが声を出している間に近づいて、オレの身体に触れたらもう一度、失敗した連中も復活させてやり直しだな」
なるほど。だからリリたちは、イオへと近づいていたわけだ。
「もしかして他にもいろいろ遊び知ってるの?」
「まあな。こう見えても遊びの達人だぜ、オレは。何せ世界中を旅してたんだしな」
「ボクにも今度教えてくれる?」
「おう」
彼に了承を貰うと、アミッツはニッコリを微笑んでから、一緒に教会へと入って行った。
何故なら……。
「だ~るまさんが~こ~ろん……っだっ!」
イオが壁に前身をつけていたと思ったら、勢いよく振り返った。同時にピタッと、リリとロロが動きを止める。いや、彼女たちだけではなく……。
「おっ、レンジ、今動いたぜ!」
「ええ~、ちゃんととまってたよぉ」
「フッフッフ、オレの目は誤魔化せねえ! 片足で立ってるから動いちまうんだよ」
「ちぇ~」
「ねえねえ、イオにいちゃん、つぎはやくぅ!」
「はやくはやく!」
何故かそこには多くの子供たちの姿があった。
「え、えっと……これはどういう状況……?」
「ハッハッハ、イオの奴、ずいぶんと懐かれてるみたいじゃないか」
そこへマザーも外が気になったのかやって来ていた。
「だ~るま……さんがころんだっ! はいっ、マリィとリック、動いたぜ!」
「あ、はやいよぉっ!」
「あっちゃあ、動いちゃったかぁ」
そこにはアミッツの次に年長の十歳児――リックの姿もあった。悔しそうだが、とても楽しそうである。
「だ~るまさんがぁぁ~…………こ~ろ」
何故か皆がゴクリと喉を鳴らす。アミッツも音を出してはいけないと直感で察した。
「んだっ! っくぅ、さすがは双子、息がピッタリだな!」
残っているのはリリとロロの二人のようだ。
(どうやら先生が振り向いた時に、動いたらダメみたいだけど……)
この遊びのルールを何となく理解することができた。
(けどこの後はどうするんだろ? 何かリリたちは先生に近づいていってるみたいだけど)
そこからどうするのかさすがに分からない。
「だ~」
と、イオが壁側に顔を向けた瞬間――今こそといった感じで、リリたちが素早く間を詰める。
「るまさんがころっ」
といきなり早口になったので、思わずリリたちが足を止めるが、
「ん~~~~~~」
今度はかなり長くタメを作るイオ。リリたちは互いに顔を見合わせ頷いてから、右足を同時に動かした刹那――
「っだっ!」
突然電光石火に振り向いたイオ。ビクッとなってしまったリリとロロは、ほぼ同時にそのまま浮かせた右足をイオが見ている前で、地面についてしまった。
「にっしっしっし。リリ、ロロ、しっか~く!」
「「~~~~~っ!」」
二人は悔しそうに拳を握って強く瞼を閉じている。その姿はとても愛らしい。
他の子供たちも溜め息を吐きガックリと肩を落としてしまっていた。
「カーッカッカッカッカ! どうやらオレに勝つのはまだまだ早いようだね諸君!」
ドーンと胸を張りながら、大人げなく高笑いをするイオ。
子供たちから再戦の要求が放たれる。しかしそこへマザーが手を叩いて、皆の視線を集めた。
「楽しんでるとこ悪いね。でも夕食の時間だよ! さっさと手を洗ってきな!」
「「「「は~い!」」」」
やはりマザーの言うことは絶対。しっかり言いつけを守って、皆がマザーと一緒に教会へと入って行く。
イオもまたゆっくりとした足取りで、その場に残ったアミッツのところへと来る。
「あ、先生。子供たちの面倒をみてくれてありがと」
「おう、別にいいぜ。楽しかったしな」
「けど今のって何?」
「〝だるまさんがころんだ〟っていうガキの遊びだ。オレも小っちゃい頃はよくやったんだ」
「へぇ。初めて見たなぁ」
「結構大人がやっても面白えぞ。特に子供ってのは意外な動きを見せることもあるからな」
「リリとロロだけじゃなくて、リックたちも一緒になってたのはビックリだったよ」
「遊んでたら、やって来てよ。せっかくだからってルール教えてやって、一緒に遊んでたんだよ」
「そうだったんだぁ。あ、でも何となくルールは理解したんだけど、どうやったらリリたちが勝ってたの?」
「勝つってのは微妙な言い方だけど、リリたちがオレが声を出している間に近づいて、オレの身体に触れたらもう一度、失敗した連中も復活させてやり直しだな」
なるほど。だからリリたちは、イオへと近づいていたわけだ。
「もしかして他にもいろいろ遊び知ってるの?」
「まあな。こう見えても遊びの達人だぜ、オレは。何せ世界中を旅してたんだしな」
「ボクにも今度教えてくれる?」
「おう」
彼に了承を貰うと、アミッツはニッコリを微笑んでから、一緒に教会へと入って行った。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
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