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「――あ、おかえり!」
六十五階層にある六畳一間の我が家に帰還して、眩いほどの笑顔で出迎えてくれたのはニヤだった。
彼女もこの五年で、身長も伸びてさらに可愛さも増している。髪もそのままだと腰まで届くほど長いので、サイドポニーの形に結っていた。
「シンカも、お疲れ様」
「うん、これ戦利品」
「わぁ~、ブラックウルフを狩れたんだね! あれ? でも……これだけ?」
彼女に何があったのか説明すると、子供らしく頬を膨らませながら、
「何それー! せっかくシンカたちが頑張ったのにぃ!」
とバンバンと木製のテーブルを叩き始めた。
「まあでもシンカのお蔭で手ぶらじゃないしさー! あ、そうだそうだ、聞いてくれよニヤ、ジュダってばまた油断してさー」
「ちょ、おいガンッ! それは内緒だって言ったろっ!」
「? 何があったの?」
もう誤魔化すことができないようなので、シンカがブラックウルフとの戦闘時にジュダが死にそうだったことを教える。
「お兄ちゃんのバカ!」
「はぅっ!?」
「お兄ちゃんはわたしたち家族のリーダーなんだよ! ちゃんとしなきゃダメ!」
「うっ……ご、ごめんなさい……」
いつも強気なジュダだが、何年経ってもニヤには頭が上がらない。
「でも……無事でよかったよぉ」
「ニヤ……!」
ニヤがホッとした様子でジュダにそっと抱きつく。彼女にとってこの中で唯一の肉親だ。だからこそジュダには無理はしてほしくないのだろう。
「……悪かった。次は気をつけるから」
「うん……絶対だからね」
本当に仲の良い兄妹である。そんな二人を見ていると、いつもぶっきらぼうのシンカも微笑ましさを感じ、無意識的に頬が緩む。
「よーし! 今日は久しぶりの肉を食うぞ!」
「「「おおー!」」」
シンカも声には出さないが、皆と同じように拳を軽く上げて応えた。
皆で囲む食卓も慣れたもので、肉など特別な食材がある時は、決まってダンとガンが取り合いをして、それをジュダが仲裁する。だが次第にヒートアップして、結局三人で取り合いが始まり、ニヤが泣きそうになって起こるというのが通例だ。
それを一歩引いたところからシンカが見ているのだが、やはり今日も……。
「あーこらガンッ、それは俺んだしーっ!」
「早い者勝ちだもんねーっ」
「こらお前ら、食事は静かに……って、それは俺のだってのダンッ!」
「食べた者勝ちだぁっ!」
「ああもう! このアホ二人組! 今日という今日はぜってー許さねえ!」
またもワイワイガヤガヤと凝りもせずにケンカが始まった。
「……やれやれ」
「あはは、ほんとにしょうがないよねお兄ちゃんたちは」
「へぇ……」
「え? ど、どうしたの?」
「少し前だったらニヤが泣き出して止めるってのが1セットだったんだけどな」
「な、泣いてないもんっ! ていうかそれいつの話なのぉ!」
「あれ? そんな前だったかな?」
「ぶぅ……ほんとにシンカは意地悪だよ!」
「悪い悪い、ほらさっさと食べないとアイツらに食べられるよ?」
「その前にやっぱり止めなきゃ! もう、三人とも! いい加減にしなさーいっ!」
「「「ひえぇっ、ニヤが怒ったーっ!?」」」
実はこの中で怒ると一番怖いのはニヤだ。基本的に全員がフェミニスト気味でもあり、女であり食事係のニヤに歯向かうことができないのである。
シンカはそんな普段通りの彼らの日常を見ながらフッと笑みを浮かべた。
まだ自分が何者なのかハッキリと分かったわけではない。流されるままにジュダたちと生活することになったが、この五年ですっかりこの空気に居心地の良さを感じていた。
もう少し皆が成長し、ある程度の蓄えができたなら、皆で一緒に外の世界へ行こうという約束もしてある。当然それはニヤから皆に伝えられた。
そしてニヤのその夢は、今や全員の夢になっている。
シンカもまた、その日を楽しみに待っているのだ。こんな日がずっと続くことを、顔には出さないが、シンカもまた強く望んでいた。
六十五階層にある六畳一間の我が家に帰還して、眩いほどの笑顔で出迎えてくれたのはニヤだった。
彼女もこの五年で、身長も伸びてさらに可愛さも増している。髪もそのままだと腰まで届くほど長いので、サイドポニーの形に結っていた。
「シンカも、お疲れ様」
「うん、これ戦利品」
「わぁ~、ブラックウルフを狩れたんだね! あれ? でも……これだけ?」
彼女に何があったのか説明すると、子供らしく頬を膨らませながら、
「何それー! せっかくシンカたちが頑張ったのにぃ!」
とバンバンと木製のテーブルを叩き始めた。
「まあでもシンカのお蔭で手ぶらじゃないしさー! あ、そうだそうだ、聞いてくれよニヤ、ジュダってばまた油断してさー」
「ちょ、おいガンッ! それは内緒だって言ったろっ!」
「? 何があったの?」
もう誤魔化すことができないようなので、シンカがブラックウルフとの戦闘時にジュダが死にそうだったことを教える。
「お兄ちゃんのバカ!」
「はぅっ!?」
「お兄ちゃんはわたしたち家族のリーダーなんだよ! ちゃんとしなきゃダメ!」
「うっ……ご、ごめんなさい……」
いつも強気なジュダだが、何年経ってもニヤには頭が上がらない。
「でも……無事でよかったよぉ」
「ニヤ……!」
ニヤがホッとした様子でジュダにそっと抱きつく。彼女にとってこの中で唯一の肉親だ。だからこそジュダには無理はしてほしくないのだろう。
「……悪かった。次は気をつけるから」
「うん……絶対だからね」
本当に仲の良い兄妹である。そんな二人を見ていると、いつもぶっきらぼうのシンカも微笑ましさを感じ、無意識的に頬が緩む。
「よーし! 今日は久しぶりの肉を食うぞ!」
「「「おおー!」」」
シンカも声には出さないが、皆と同じように拳を軽く上げて応えた。
皆で囲む食卓も慣れたもので、肉など特別な食材がある時は、決まってダンとガンが取り合いをして、それをジュダが仲裁する。だが次第にヒートアップして、結局三人で取り合いが始まり、ニヤが泣きそうになって起こるというのが通例だ。
それを一歩引いたところからシンカが見ているのだが、やはり今日も……。
「あーこらガンッ、それは俺んだしーっ!」
「早い者勝ちだもんねーっ」
「こらお前ら、食事は静かに……って、それは俺のだってのダンッ!」
「食べた者勝ちだぁっ!」
「ああもう! このアホ二人組! 今日という今日はぜってー許さねえ!」
またもワイワイガヤガヤと凝りもせずにケンカが始まった。
「……やれやれ」
「あはは、ほんとにしょうがないよねお兄ちゃんたちは」
「へぇ……」
「え? ど、どうしたの?」
「少し前だったらニヤが泣き出して止めるってのが1セットだったんだけどな」
「な、泣いてないもんっ! ていうかそれいつの話なのぉ!」
「あれ? そんな前だったかな?」
「ぶぅ……ほんとにシンカは意地悪だよ!」
「悪い悪い、ほらさっさと食べないとアイツらに食べられるよ?」
「その前にやっぱり止めなきゃ! もう、三人とも! いい加減にしなさーいっ!」
「「「ひえぇっ、ニヤが怒ったーっ!?」」」
実はこの中で怒ると一番怖いのはニヤだ。基本的に全員がフェミニスト気味でもあり、女であり食事係のニヤに歯向かうことができないのである。
シンカはそんな普段通りの彼らの日常を見ながらフッと笑みを浮かべた。
まだ自分が何者なのかハッキリと分かったわけではない。流されるままにジュダたちと生活することになったが、この五年ですっかりこの空気に居心地の良さを感じていた。
もう少し皆が成長し、ある程度の蓄えができたなら、皆で一緒に外の世界へ行こうという約束もしてある。当然それはニヤから皆に伝えられた。
そしてニヤのその夢は、今や全員の夢になっている。
シンカもまた、その日を楽しみに待っているのだ。こんな日がずっと続くことを、顔には出さないが、シンカもまた強く望んでいた。
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