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(……! そういやこっちに戻ってくる時に、召喚された時と同じ時間に戻って来られるとは聞いてねえ……な)
だとすれば問題は現在西暦何年なのか気になるところだ。
「一番いいのは生存者から聞くことだけど……。やっぱまずは学校に行ってみっか」
こういう災害時には避難場所となるのが学校だ。もしかしたらまだ生き残っている人がいるかもしれない。
生存者の気配を探りつつゾンビを倒しながら学校の正門へと辿り着く。
「あちゃあ……」
思わず辟易して声が漏れてしまった。
正門だけでなく、塀も壊れていたり穴が開いていたりして、明らかに安全性は低い。それに汚れたり破れたりしていて分かりにくいが、見慣れた制服を着込んでいるゾンビたちもたくさんうろついている。間違いなく生徒だった者たちの成れの果てであろう。
「…………アイツらもこうなってんのかな」
ふとある人達のことが脳裏に過ぎった。
高校一年生の時に入った部活がある。というか無理矢理入らされたといった方が正しいが。
中学の時とは違い、三年間は帰宅部で通そうと思っていたが、一人の先輩に捕まり問答無用で所属させられることになったのだ。
その部活の名は――『異世界研究部』。
実に頭の悪そうなネーミングである。しかも部員が、日門が入るまでたった一人という始末。前までは五人いたらしいが、四人が卒業して一人になったらしい。
この部活では、名前の通り〝異世界〟に関するものを研究すること。異世界小説でも異世界アニメでも何でもいい。とにかく異世界に関わるようなことを研究し、それを一カ月に一度レポートを書いて提出するだけの部活。
ハッキリ言って活動は自由過ぎて、毎日部室に行かずとも良く、日門もたまに顔を出しては、先輩と最近ハマッている異世界ものについて語るという暇潰しに利用していた。
その先輩は中学からの知り合いで、同じ高校に来た日門を見つけてすぐに勧誘したというわけである。
それで日門が高校二年生になると、あと一人後輩が入ってきたのだが、コイツは幼稚園からの幼馴染で、結果的に異世界に行くまで三人だけの部活だった。
同級生に仲の良かった人物はいない。親しい間柄といえば、部活の連中だけだったため、こんな状況になってやはり無事かどうか気にはなってしまう。
「……部室に行ってみっか」
すでに校舎も半壊している中、部室が無事なのかどうかも怪しいが、とりあえず向かうことにする。
適度にゾンビを相手にし、時にはスルーしながら部室棟へと到着すると、そこは意外にも比較的崩壊部分は少なかった。
部室棟は三階建てで、扉や外階段などは潰れてしまっていて、屋上も巨人がひと噛みしたような感じにはなっているものの倒壊だけは避けられていた。
そんな穴の開いている天井部分へと跳躍し、そこから中に入っていく。
部室は反対側の一番奥にある。
「ゾンビはいねえな」
だが気配を感じ取れば、この部室棟内でも複数のゾンビがいることは分かる。しかし残念ながら生存者の気配は無い。
それでも部室の前へと向かい、ドアノブに触れる。どうやら鍵がかかっているようだ。悪いとは思いつつも、力ずくでドアを開けることにした。
「おぉ……懐かしいな」
長机が三つ倒れていて、壁に沿って建てられている幾つかの本棚も前のめりに倒れ中身が辺りに飛び散ってしまっている。
その中身とは、部員たちが部費を使ったり、または自費で購入した異世界ものの小説や資料などだ。それを拾い上げてさらに懐かしさが込み上げてくる。
「はは、このラノベ……先輩が好きだったやつだな。こっちの漫画はアイツが……」
元の世界に戻って来られた実感があって自然と頬が緩む。できれば先輩たちに会いたかったが、本当にあの人たちは無事なのだろうか。
少し冷静になって気づいたことがあった。
(……ん? そんなに埃が被ってるわけでもねえな)
何年も放置されていたとしたら、それ相応に室内に埃が溜まっていただろうが、見た感じ精々数カ月ほどの放置程度にしか思えないほどだった。
「カレンダーは……そういや部室に貼ってなかったっけ」
少なくとも自分が所属していた時はなかった。皆がスマホで確認できるので必要なかったのだ。
「……そういやアレはどこだっけ?」
物が散乱している状況では探し物も大変なので、倒れているものを立て直してから探索を開始する。
それは室内の角に設置されている引き出しのついた小タンスだ。その上にはテレビとブルーレイレコーダーがあるのが常だったが、今は画面が割れたり欠けたりして使い物にならなくなっている。
しかし用事があるのは小タンスの方だ。三つの引き出しがあり、一番上の引き出しを開けると、そこには一冊のファイルがあった。
「お、これだこれ!」
分厚いファイルを手に取り開くと、そこには何冊かのノートや資料などが収められていた。
「……よし、部員表と日誌があった」
それを確認すれば凡その年月を確認することができる。
部員表には、当然部員のプロフィールが書かれているし、日誌には活動した日の記録をつけるのが決まりだ。記録といっても日記のようなもので、活動以外にその日に何を経験したのかなども書かれている。
新しく部員が入っていれば、その名や入部日付も刻まれているし、自分が異世界に行って最低でもどれだけの時間のズレがあるか分かる。ただ、人気のない部活なので入部希望者がいなかったかもしれない。
そこで日誌だ。最終の書き込みを確認すれば、この部活がいつまで活動していたかを確認することができる。それと同時に日門がいなくなってからの部長たちの反応を見ておきたいという好奇心もあった。
だとすれば問題は現在西暦何年なのか気になるところだ。
「一番いいのは生存者から聞くことだけど……。やっぱまずは学校に行ってみっか」
こういう災害時には避難場所となるのが学校だ。もしかしたらまだ生き残っている人がいるかもしれない。
生存者の気配を探りつつゾンビを倒しながら学校の正門へと辿り着く。
「あちゃあ……」
思わず辟易して声が漏れてしまった。
正門だけでなく、塀も壊れていたり穴が開いていたりして、明らかに安全性は低い。それに汚れたり破れたりしていて分かりにくいが、見慣れた制服を着込んでいるゾンビたちもたくさんうろついている。間違いなく生徒だった者たちの成れの果てであろう。
「…………アイツらもこうなってんのかな」
ふとある人達のことが脳裏に過ぎった。
高校一年生の時に入った部活がある。というか無理矢理入らされたといった方が正しいが。
中学の時とは違い、三年間は帰宅部で通そうと思っていたが、一人の先輩に捕まり問答無用で所属させられることになったのだ。
その部活の名は――『異世界研究部』。
実に頭の悪そうなネーミングである。しかも部員が、日門が入るまでたった一人という始末。前までは五人いたらしいが、四人が卒業して一人になったらしい。
この部活では、名前の通り〝異世界〟に関するものを研究すること。異世界小説でも異世界アニメでも何でもいい。とにかく異世界に関わるようなことを研究し、それを一カ月に一度レポートを書いて提出するだけの部活。
ハッキリ言って活動は自由過ぎて、毎日部室に行かずとも良く、日門もたまに顔を出しては、先輩と最近ハマッている異世界ものについて語るという暇潰しに利用していた。
その先輩は中学からの知り合いで、同じ高校に来た日門を見つけてすぐに勧誘したというわけである。
それで日門が高校二年生になると、あと一人後輩が入ってきたのだが、コイツは幼稚園からの幼馴染で、結果的に異世界に行くまで三人だけの部活だった。
同級生に仲の良かった人物はいない。親しい間柄といえば、部活の連中だけだったため、こんな状況になってやはり無事かどうか気にはなってしまう。
「……部室に行ってみっか」
すでに校舎も半壊している中、部室が無事なのかどうかも怪しいが、とりあえず向かうことにする。
適度にゾンビを相手にし、時にはスルーしながら部室棟へと到着すると、そこは意外にも比較的崩壊部分は少なかった。
部室棟は三階建てで、扉や外階段などは潰れてしまっていて、屋上も巨人がひと噛みしたような感じにはなっているものの倒壊だけは避けられていた。
そんな穴の開いている天井部分へと跳躍し、そこから中に入っていく。
部室は反対側の一番奥にある。
「ゾンビはいねえな」
だが気配を感じ取れば、この部室棟内でも複数のゾンビがいることは分かる。しかし残念ながら生存者の気配は無い。
それでも部室の前へと向かい、ドアノブに触れる。どうやら鍵がかかっているようだ。悪いとは思いつつも、力ずくでドアを開けることにした。
「おぉ……懐かしいな」
長机が三つ倒れていて、壁に沿って建てられている幾つかの本棚も前のめりに倒れ中身が辺りに飛び散ってしまっている。
その中身とは、部員たちが部費を使ったり、または自費で購入した異世界ものの小説や資料などだ。それを拾い上げてさらに懐かしさが込み上げてくる。
「はは、このラノベ……先輩が好きだったやつだな。こっちの漫画はアイツが……」
元の世界に戻って来られた実感があって自然と頬が緩む。できれば先輩たちに会いたかったが、本当にあの人たちは無事なのだろうか。
少し冷静になって気づいたことがあった。
(……ん? そんなに埃が被ってるわけでもねえな)
何年も放置されていたとしたら、それ相応に室内に埃が溜まっていただろうが、見た感じ精々数カ月ほどの放置程度にしか思えないほどだった。
「カレンダーは……そういや部室に貼ってなかったっけ」
少なくとも自分が所属していた時はなかった。皆がスマホで確認できるので必要なかったのだ。
「……そういやアレはどこだっけ?」
物が散乱している状況では探し物も大変なので、倒れているものを立て直してから探索を開始する。
それは室内の角に設置されている引き出しのついた小タンスだ。その上にはテレビとブルーレイレコーダーがあるのが常だったが、今は画面が割れたり欠けたりして使い物にならなくなっている。
しかし用事があるのは小タンスの方だ。三つの引き出しがあり、一番上の引き出しを開けると、そこには一冊のファイルがあった。
「お、これだこれ!」
分厚いファイルを手に取り開くと、そこには何冊かのノートや資料などが収められていた。
「……よし、部員表と日誌があった」
それを確認すれば凡その年月を確認することができる。
部員表には、当然部員のプロフィールが書かれているし、日誌には活動した日の記録をつけるのが決まりだ。記録といっても日記のようなもので、活動以外にその日に何を経験したのかなども書かれている。
新しく部員が入っていれば、その名や入部日付も刻まれているし、自分が異世界に行って最低でもどれだけの時間のズレがあるか分かる。ただ、人気のない部活なので入部希望者がいなかったかもしれない。
そこで日誌だ。最終の書き込みを確認すれば、この部活がいつまで活動していたかを確認することができる。それと同時に日門がいなくなってからの部長たちの反応を見ておきたいという好奇心もあった。
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