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「し、仕方ないから僕も――」
「あー男はいーや」
気が無さそうに言うと、男は「んなっ!?」とショックを受けた表情を見せる。
「はは、冗談冗談。見たところ、そっちの子の兄ちゃんか?」
「っ……おほん! そうさ、僕は理九。春日咲理九だ! た、助けてくれたのは感謝てしてるけど、こういうご時世なんだ。それ以上、妹に近づかないでくれ!」
「もうっ、お兄ちゃん! 失礼でしょ!」
「け、けど小色! お前だってキャンプで見てきただろ! 男ってのがどういう生き物なのか!」
今の発言で、何となく理九の懸念も理解することができた。
こういった終末世界ものの創作では、治安など崩壊し無秩序になったことから犯罪が横行し始めることが多い。その中で最もポピュラーなのは、やはり男による女への暴行だろう。タガが外れた男ほど、女にとって怖いものはない。
キャンプという言葉で、恐らく生存者たちが集う場所があり、そこで横行していた男たちの横暴さを嫌というほど目にしたのかもしれない。
「そ、それは……でもこの人は助けてくれたもん!」
「それだって下心あってのことかもしれないだろ! いいか、お前は人を疑うってことを知った方が良い!」
「お兄ちゃんは頑な過ぎるよ! そんなんだと本当に信頼できる仲間なんてできないよ!」
「こんな世の中になって信頼できる仲間なんてできるわけがないだろ!」
「そんなの分からないもん! お兄ちゃんの分からず屋!」
「僕はお前のためを思って言ってるだけだ!」
顔を突き合わせ、互いに譲らない二人。このままだと埒が明きそうにない。
「……もういいか?」
時間の無駄になるのもどうかと思い声をかけると、小色の方がハッとして、恥ずかしそうにまた頭を下げた。
「ご、ごめんなさい! 変なところを見せてしまって!」
「別にそれはいいけどよ。あと春日咲兄、安心しろ。これでも俺はもうすぐ二十歳だしガキには興味ねえよ。相手すんなら、せめて結婚できるくれえの年齢じゃねえとな」
「だったらやっぱりダメじゃないか!」
「……ん? いや、俺の話聞いてたか? 一応この国の法律上じゃ、女が結婚できるのは十六歳以上だろ?」
「ああ、その通りだ」
「……? いやいや、だから安心だろ」
「どこがだ! だから危ないと言ってるんだよ!」
「……んん?」
何だか話が嚙み合っていないような。
プチパニックになる思考のまま、視線を小色へと移すと、彼女は申し訳なさそうに小さくなりながら告げてきた。
「あ、あのぅ……わたし、こう見えてもその…………十六歳です」
……………………………………はい?
完全に思考が止まった。
数秒後、意識が再動した日門は、改めて小色の発言を反芻する。
「……えっと、十六? お前さんが?」
「は、はい……」
反射的に嘘だろと思ってしまった。
何故なら、どう高く見積もっても中学一年生くらいにしか見えないからだ。ていうかパッと見ただけでは、本気で小学生かと思う。
(確かに見た目の割に、表情がどこか大人びて見えたけども!)
それがまさかこの真実に繋がっているとはと、地球が終末化していた次くらいに驚いた。
(なるほど。これがいわゆる合法ロリというやつか……なるほど)
異世界には確かにそういう存在はいた。しかしそういう奴らは決まって長命種(エルフや獣人など)で、純粋な人間では対面したことはなかったのだ。
だがその時、本能がそうさせたのか、疑問を確実にするためにと自然と視線が彼女の胸元へと向かった。
意識してそこを見てギョッとする。何せ、ふくよか過ぎると思われるほどの二つの膨らみが存在を主張していたからだ。
「…………なるほど」
「なぁにがなるほどだよ! どこを見て納得してるんだこの変態!」
これはいかん。ついつい男の夢がいっぱい詰まった彼女のソレを凝視して呟いてしまっていた。当然とばかりに理九が怒鳴り声を上げる。
対して小色はというと、「えうぅ」と恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。
しかしその時だ。気配を感じて周囲を見回すと、いつの間にかそこにはゾンビたちが集まってきていた。
「あーあ、春日咲兄が大声なんか出すから」
「なっ!? そ、それは君のせいだろ!」
「まあまあ、そんなに怒ると血圧上がるぜ?」
「誰が上げさせてると思ってるんだ!」
「も、もうお兄ちゃん、静かにしてよぉ」
「こ、小色、悪い……!」
やはり可愛い妹には逆らえないようだ。
(っと、いけねえな。まずはこっちを何としねえと)
理九をからかうのも面白いが、このままだと二人も危険な目に遭ってしまう。さすがにそれでは寝覚めは悪いので、問題を先に処理することにする。
「つっても、いちいちこの数を相手にすんのも面倒だし」
「え、おい! いきなりなにを!?」
「ひゃっ!?」
日門が二人を両脇に抱えたことで、二人はそれぞれ反応を返すが今は無視する。
「いいから黙ってなって。舌噛むぞ」
そのまま両足に力を入れて軽く跳躍すると、バイクの前方を塞いでいた巨大な瓦礫をヒョイと跳び越えた。
そしてそのまま適当にゾンビどもを蹴り飛ばしながらその場から離脱していく。理九の悲鳴をBGMにしながら……。
「あー男はいーや」
気が無さそうに言うと、男は「んなっ!?」とショックを受けた表情を見せる。
「はは、冗談冗談。見たところ、そっちの子の兄ちゃんか?」
「っ……おほん! そうさ、僕は理九。春日咲理九だ! た、助けてくれたのは感謝てしてるけど、こういうご時世なんだ。それ以上、妹に近づかないでくれ!」
「もうっ、お兄ちゃん! 失礼でしょ!」
「け、けど小色! お前だってキャンプで見てきただろ! 男ってのがどういう生き物なのか!」
今の発言で、何となく理九の懸念も理解することができた。
こういった終末世界ものの創作では、治安など崩壊し無秩序になったことから犯罪が横行し始めることが多い。その中で最もポピュラーなのは、やはり男による女への暴行だろう。タガが外れた男ほど、女にとって怖いものはない。
キャンプという言葉で、恐らく生存者たちが集う場所があり、そこで横行していた男たちの横暴さを嫌というほど目にしたのかもしれない。
「そ、それは……でもこの人は助けてくれたもん!」
「それだって下心あってのことかもしれないだろ! いいか、お前は人を疑うってことを知った方が良い!」
「お兄ちゃんは頑な過ぎるよ! そんなんだと本当に信頼できる仲間なんてできないよ!」
「こんな世の中になって信頼できる仲間なんてできるわけがないだろ!」
「そんなの分からないもん! お兄ちゃんの分からず屋!」
「僕はお前のためを思って言ってるだけだ!」
顔を突き合わせ、互いに譲らない二人。このままだと埒が明きそうにない。
「……もういいか?」
時間の無駄になるのもどうかと思い声をかけると、小色の方がハッとして、恥ずかしそうにまた頭を下げた。
「ご、ごめんなさい! 変なところを見せてしまって!」
「別にそれはいいけどよ。あと春日咲兄、安心しろ。これでも俺はもうすぐ二十歳だしガキには興味ねえよ。相手すんなら、せめて結婚できるくれえの年齢じゃねえとな」
「だったらやっぱりダメじゃないか!」
「……ん? いや、俺の話聞いてたか? 一応この国の法律上じゃ、女が結婚できるのは十六歳以上だろ?」
「ああ、その通りだ」
「……? いやいや、だから安心だろ」
「どこがだ! だから危ないと言ってるんだよ!」
「……んん?」
何だか話が嚙み合っていないような。
プチパニックになる思考のまま、視線を小色へと移すと、彼女は申し訳なさそうに小さくなりながら告げてきた。
「あ、あのぅ……わたし、こう見えてもその…………十六歳です」
……………………………………はい?
完全に思考が止まった。
数秒後、意識が再動した日門は、改めて小色の発言を反芻する。
「……えっと、十六? お前さんが?」
「は、はい……」
反射的に嘘だろと思ってしまった。
何故なら、どう高く見積もっても中学一年生くらいにしか見えないからだ。ていうかパッと見ただけでは、本気で小学生かと思う。
(確かに見た目の割に、表情がどこか大人びて見えたけども!)
それがまさかこの真実に繋がっているとはと、地球が終末化していた次くらいに驚いた。
(なるほど。これがいわゆる合法ロリというやつか……なるほど)
異世界には確かにそういう存在はいた。しかしそういう奴らは決まって長命種(エルフや獣人など)で、純粋な人間では対面したことはなかったのだ。
だがその時、本能がそうさせたのか、疑問を確実にするためにと自然と視線が彼女の胸元へと向かった。
意識してそこを見てギョッとする。何せ、ふくよか過ぎると思われるほどの二つの膨らみが存在を主張していたからだ。
「…………なるほど」
「なぁにがなるほどだよ! どこを見て納得してるんだこの変態!」
これはいかん。ついつい男の夢がいっぱい詰まった彼女のソレを凝視して呟いてしまっていた。当然とばかりに理九が怒鳴り声を上げる。
対して小色はというと、「えうぅ」と恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。
しかしその時だ。気配を感じて周囲を見回すと、いつの間にかそこにはゾンビたちが集まってきていた。
「あーあ、春日咲兄が大声なんか出すから」
「なっ!? そ、それは君のせいだろ!」
「まあまあ、そんなに怒ると血圧上がるぜ?」
「誰が上げさせてると思ってるんだ!」
「も、もうお兄ちゃん、静かにしてよぉ」
「こ、小色、悪い……!」
やはり可愛い妹には逆らえないようだ。
(っと、いけねえな。まずはこっちを何としねえと)
理九をからかうのも面白いが、このままだと二人も危険な目に遭ってしまう。さすがにそれでは寝覚めは悪いので、問題を先に処理することにする。
「つっても、いちいちこの数を相手にすんのも面倒だし」
「え、おい! いきなりなにを!?」
「ひゃっ!?」
日門が二人を両脇に抱えたことで、二人はそれぞれ反応を返すが今は無視する。
「いいから黙ってなって。舌噛むぞ」
そのまま両足に力を入れて軽く跳躍すると、バイクの前方を塞いでいた巨大な瓦礫をヒョイと跳び越えた。
そしてそのまま適当にゾンビどもを蹴り飛ばしながらその場から離脱していく。理九の悲鳴をBGMにしながら……。
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