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プロローグ
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――頭上から振り下ろされる凶刃。
避ける暇はない。今の少年の実力では、その一撃は防ぎ切れない。
――ズシュッ!
少年の右肩から左腹部にかけて白い刃が、少年の身体を斬り裂いた。
「がふっ!?」
口と切断面から迸る鮮血。それは明らかな致命傷。即死には至らなかったが、少年は薄れゆく意識の中で、自らにトドメを刺した者の顔を見る。
そこには勝利を得た者の表情があった。しかし人間のそれではなく、ワニを擬人化させたような面相だ。肌は赤色で、尻尾も生えている。二足歩行で手に剣を持っているのだから、初めて見る者にとっては驚きの存在だろう。
名前は――リザードマン(亜種)。
少年は大地に倒れ身動き一つできずにいる。身体から大量の血液が流れ出て、完全に意識が闇の中に沈み込んだ――。
勝利の雄叫びとばかりにリザードマンが咆哮する。
さらに追い打ちとばかりに少年の身体に剣を突き刺すと、そのまま勢いよく剣を抜いて少年を蹴り上げた。
少年は近くにあった木にぶつかり、壊れた人形のように、何の抵抗もなく大地に沈む。
リザードマンが少年を一瞥して、その場から去ろうとする。
しかしリザードマンはまだ気づいていない。
その少年を終わらせるには、その程度の力ではダメだということに。
――――心身状態確認。判別――“死”。
少年の頭の中で、いつものように勝手に少年自身の声が聞こえてくる。続いて……。
――――これより、自己転生の開始。
少年の身体から淡い黄金の光が輝き始める。
――――ユニークスキル――“転生開闢”――発動。
少年の身体が突如として粒子状に霧散し、その粒子がまた一所に集束し始める。
ものの数秒。リザードマンが、少年に興味を失って背中を向け数歩ほど歩いた後……。
「――――――ちょっと待てよ」
リザードマンの背後には、完全に死んでいたはずの少年が立っていた。先程、身体に刻まれた痛々しい傷は全て治癒しており、不敵な笑みを浮かべて佇んでいる。
さすがにリザードマンも、事態を把握し切れていないようで困惑気味に目を見開いている状態だ。それもそのはず。殺したはずの少年が無傷で生き返っているのだから。
「よくも殺してくれたな、代わりにオレが殺してやるよ!」
明らかに動揺しているリザードマンの懐に素早く突っ込む少年。慌ててリザードマンは剣を振るおうとするが一息遅く、少年に剣を持った腕を掴まれ一本背負いで地面に叩きつけられる。
「ギィァッ!?」
少年は相手の剣を奪うと、切っ先を真っ直ぐ相手の顔面に狙いを定めて――ザシュッ!
ピッと少年の顔に緑色の血液が飛び散る。肉と骨を貫いた感触が、少年の手から全身へと伝わった。
ピクピクと痙攣を数秒ほどしたところで、リザードマンは息を引き取る。
少年は大きく肺から空気を吐き出すと、剣から手を離して数歩後退し、地面に尻餅をつく。
「はぁぁぁ~っ」
ドサッと寝転び天を仰ぐ。空は青く戦闘中は気づかなかったが、気持ちの良い風と陽光を少年は感じた。
「ふぅ~、まさかまた死ぬなんてなぁ。やっぱリザードマンの亜種はまだオレには早かったな……」
上半身を起こすと、絶命しているリザードマンに視線を置く。
「……もう慣れたもんだな。モンスター殺しも」
ゆっくりと立ち上がり、自分の身体がちゃんと動くが確かめていく少年。
「…………よし、問題ないな。けどこれでまた上乗せパワーアップができたか。これで何度目だ……? 結構死んでるのに、まだリザードマンに殺されるって。この世界のモンスターどもはインフレが過ぎるだろうが……」
コキコキと首を鳴らしながら、地面に落ちた自分の剣を拾う。
「あ~あ、この剣も刃毀れしてやがる。そろそろ買い替え時か……」
そう言いながらも、腰に背中に携帯している鞘に剣を収めた。
「さて、あと何回死ねば、もう死ななくてもいいようになることやら」
少年は溜め息を一度吐くと、空に浮かぶ――“島”を見つめる。
「まさかここが異世界だっていっても、誰も信じはしないだろうな――」
避ける暇はない。今の少年の実力では、その一撃は防ぎ切れない。
――ズシュッ!
少年の右肩から左腹部にかけて白い刃が、少年の身体を斬り裂いた。
「がふっ!?」
口と切断面から迸る鮮血。それは明らかな致命傷。即死には至らなかったが、少年は薄れゆく意識の中で、自らにトドメを刺した者の顔を見る。
そこには勝利を得た者の表情があった。しかし人間のそれではなく、ワニを擬人化させたような面相だ。肌は赤色で、尻尾も生えている。二足歩行で手に剣を持っているのだから、初めて見る者にとっては驚きの存在だろう。
名前は――リザードマン(亜種)。
少年は大地に倒れ身動き一つできずにいる。身体から大量の血液が流れ出て、完全に意識が闇の中に沈み込んだ――。
勝利の雄叫びとばかりにリザードマンが咆哮する。
さらに追い打ちとばかりに少年の身体に剣を突き刺すと、そのまま勢いよく剣を抜いて少年を蹴り上げた。
少年は近くにあった木にぶつかり、壊れた人形のように、何の抵抗もなく大地に沈む。
リザードマンが少年を一瞥して、その場から去ろうとする。
しかしリザードマンはまだ気づいていない。
その少年を終わらせるには、その程度の力ではダメだということに。
――――心身状態確認。判別――“死”。
少年の頭の中で、いつものように勝手に少年自身の声が聞こえてくる。続いて……。
――――これより、自己転生の開始。
少年の身体から淡い黄金の光が輝き始める。
――――ユニークスキル――“転生開闢”――発動。
少年の身体が突如として粒子状に霧散し、その粒子がまた一所に集束し始める。
ものの数秒。リザードマンが、少年に興味を失って背中を向け数歩ほど歩いた後……。
「――――――ちょっと待てよ」
リザードマンの背後には、完全に死んでいたはずの少年が立っていた。先程、身体に刻まれた痛々しい傷は全て治癒しており、不敵な笑みを浮かべて佇んでいる。
さすがにリザードマンも、事態を把握し切れていないようで困惑気味に目を見開いている状態だ。それもそのはず。殺したはずの少年が無傷で生き返っているのだから。
「よくも殺してくれたな、代わりにオレが殺してやるよ!」
明らかに動揺しているリザードマンの懐に素早く突っ込む少年。慌ててリザードマンは剣を振るおうとするが一息遅く、少年に剣を持った腕を掴まれ一本背負いで地面に叩きつけられる。
「ギィァッ!?」
少年は相手の剣を奪うと、切っ先を真っ直ぐ相手の顔面に狙いを定めて――ザシュッ!
ピッと少年の顔に緑色の血液が飛び散る。肉と骨を貫いた感触が、少年の手から全身へと伝わった。
ピクピクと痙攣を数秒ほどしたところで、リザードマンは息を引き取る。
少年は大きく肺から空気を吐き出すと、剣から手を離して数歩後退し、地面に尻餅をつく。
「はぁぁぁ~っ」
ドサッと寝転び天を仰ぐ。空は青く戦闘中は気づかなかったが、気持ちの良い風と陽光を少年は感じた。
「ふぅ~、まさかまた死ぬなんてなぁ。やっぱリザードマンの亜種はまだオレには早かったな……」
上半身を起こすと、絶命しているリザードマンに視線を置く。
「……もう慣れたもんだな。モンスター殺しも」
ゆっくりと立ち上がり、自分の身体がちゃんと動くが確かめていく少年。
「…………よし、問題ないな。けどこれでまた上乗せパワーアップができたか。これで何度目だ……? 結構死んでるのに、まだリザードマンに殺されるって。この世界のモンスターどもはインフレが過ぎるだろうが……」
コキコキと首を鳴らしながら、地面に落ちた自分の剣を拾う。
「あ~あ、この剣も刃毀れしてやがる。そろそろ買い替え時か……」
そう言いながらも、腰に背中に携帯している鞘に剣を収めた。
「さて、あと何回死ねば、もう死ななくてもいいようになることやら」
少年は溜め息を一度吐くと、空に浮かぶ――“島”を見つめる。
「まさかここが異世界だっていっても、誰も信じはしないだろうな――」
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