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第一章
力の測定②
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「はっ!惨めだな。お前はどうせ盾になるしかないんだよ」
「はぁ?何それ、あんただって大したステータスでもないのに一人舞い上がって馬鹿みたいよ」
「なんだよそれ!俺のステータスはお前みたいなクズと天と地ほどの差があるんだよ!」
中冨と鳴宮の争いに、父様たちは驚きを隠せないようだった。
さっきまで、完璧な礼儀作法が嘘のように口調が汚い。
まるで、別人のように見えるだろう。
「二人とも、落ち着いて。鳴宮さん言い過ぎよ。中冨さん、きっとこの力はあなたがみんなを守るためにあるの。神様が決めたことなのよ」
「だからって!そもそもこの世界に来たのはその神のせいじゃないんですか?どうなんです、国王様」
中冨は意見を求めるにはやや高圧的な態度で父様に聞いた。
「確かにこの世界に呼んだのは女神ルルーユかもしれない。が、防御加護というのは一千年に一人といない貴重なものだ」
「だからって!私がどうして護る側なのはおかしいです!例えそれが貴重な加護であったとしても私は護られるべき存在なんです!」
父様の返しに中冨は淑女らしからぬ大声で反論した。
「そうか。だがこの世界ではそんな甘い考えは通用しない。この世界において女神がもたらす加護は絶対だ。王族であっても女神の加護があるならばその名の下に有事の際、戦地に赴き戦いに身を置く。それが現実なのだ。そちらの世界がどうかは分からないが、護られるべき存在はそれと同時に護る側にもなりえるということだ」
父様は中冨にというより僕たち全員に訴えているようだった。
この世界に王族として生まれて今まで過ごしてきた父様の言葉はどことなく経験談のような風に聞こえ、父様は少し怒っているように感じた。
「そんなこと‥‥、私には関係ないでしょ。だって、それはこの世界の話であって私はこの世界の人間じゃない」
中冨は父様の雰囲気で何かを察したのか、少し弱々しく呟いた。
「そうだな。だが、この世界にきた以上はこの世界の人間だ。きみたちには最大限、快適に過ごせるように取り計らうが、こちらとしても守ってもらわなければならないものがあることを忘れぬようにしてもらいたい」
「‥‥‥はい」
中冨は下を向き微かに返事をした。
「では測定を再開する。次の者は前へ」
微妙な空気感の中、父様の声が響き、次の先生が来るように促された。
「あ、はい」
先生は慌てて水晶の前まで行き触れた。
名前 ツキカ・シグレ
レベル 6
年齢 三十二歳
種族 人族
職業 ?
魔法属性 無属性
固有スキル 全言語理解 発明の才
加護 女神ルルーユの加護 精錬加護
称号 女神の寵愛を受けし者 異世界人
転移者 生み出すもの
「生み出すもの?」
「錬金術ですかね」
「え?あ、マユリ様」
先生がはてな顔で結果を見ていると母様が部屋に入ってきて言った。
「マユリどうかしたか」
「いえ、特には。ただこの方たちの力を見にきたのです」
「それはまたどうしてだ?」
父様は不思議そうに聞いた。
「私たちはこの方たちと過ごす身。信用をしていないわけではないですが、万が一ということもありますので、様子を見にきたのです」
「なるほどな。しかし言ってくれれば全ての結果を伝えたものを。それに測定は半分は終わっているぞ」
「あら、そうですの?実を申しますと、息子の成長を見にきたのです。陛下ばかりずるいですもの」
母様は父様にだけ聞こえるように小声で不満そうに言った。
俺には丸聞こえなんだけど。
雫たちが聞こえてないか確認したが、聞こえてないらしく安心した。
「まったく‥‥‥」
父様は母様の言葉に少し呆れたように呟いた。
「あの、話を挟んで申し訳ないのですが、錬金術とは一体?」
先生は恐る恐るといった感じで母様に聞いていた。
「そうですわね、錬金術とは魔硝と呼ばれる鉱物を任意な形、性能に作り変えることが出来ます」
「凄い‥‥‥!あ、でも魔硝ってどこにでも手に入るものなんですか?」
「えぇ、比較的簡単に。城下にも売っていると聞きますし、王家の倉庫にもありますよ」
先生はびっくりしたような感動したような、感情が追いついていないようだった。
「次の者は前へ」
父様は母様と先生の会話がひと段落したところを見計らって言った。
「悠弥、お前だろ?」
「あ、うん。そうだな」
雫に促され俺は水晶の前まで行った。
俺の力は父様たちにも雫たちにも全ては見せられない。
俺は転生者で、「異世界渡り」を経験し者。
隠さなければ色々とまずい。
「ハルヤか。成長した姿が楽しみだ」
水晶の前行くと父様が微かに微笑んで言った。
隠していることの申し訳なさを感じながら俺は水晶に手を触れた。
名前 ハルヤ・シノミヤ
《ハルヤ・シーリス》
レベル 7《15》
年齢 十六歳
種族 人族
職業 ?《王族》
魔法属性 五属性《無属性+付属性》
固有スキル 全言語理解 魔力増大
《魔法剣 隠蔽》
加護 女神ルルーユの加護 魔法加護
《刀剣加護》
称号 女神の寵愛を受けし者 異世界人
転移者
《転生者 異世界渡りを受けし者》
カッコで示されているのは隠されている本当の力なんだろう。
にしても、結構隠さなきゃいけないみたいだな。
「ふむ、これは。女神ルルーユの計らいか。本当の成長したものは見れないが、昔より強くなったな。ハルヤ」
父様は俺の力を見て驚いたように息を吐くと、すぐに思い直したように俺に微笑みながら言った。
「は、はい。ありがとうございます」
俺は隠さなければならない申し訳なさで、一瞬、言葉に詰まってしまった。
「はぁ?何それ、あんただって大したステータスでもないのに一人舞い上がって馬鹿みたいよ」
「なんだよそれ!俺のステータスはお前みたいなクズと天と地ほどの差があるんだよ!」
中冨と鳴宮の争いに、父様たちは驚きを隠せないようだった。
さっきまで、完璧な礼儀作法が嘘のように口調が汚い。
まるで、別人のように見えるだろう。
「二人とも、落ち着いて。鳴宮さん言い過ぎよ。中冨さん、きっとこの力はあなたがみんなを守るためにあるの。神様が決めたことなのよ」
「だからって!そもそもこの世界に来たのはその神のせいじゃないんですか?どうなんです、国王様」
中冨は意見を求めるにはやや高圧的な態度で父様に聞いた。
「確かにこの世界に呼んだのは女神ルルーユかもしれない。が、防御加護というのは一千年に一人といない貴重なものだ」
「だからって!私がどうして護る側なのはおかしいです!例えそれが貴重な加護であったとしても私は護られるべき存在なんです!」
父様の返しに中冨は淑女らしからぬ大声で反論した。
「そうか。だがこの世界ではそんな甘い考えは通用しない。この世界において女神がもたらす加護は絶対だ。王族であっても女神の加護があるならばその名の下に有事の際、戦地に赴き戦いに身を置く。それが現実なのだ。そちらの世界がどうかは分からないが、護られるべき存在はそれと同時に護る側にもなりえるということだ」
父様は中冨にというより僕たち全員に訴えているようだった。
この世界に王族として生まれて今まで過ごしてきた父様の言葉はどことなく経験談のような風に聞こえ、父様は少し怒っているように感じた。
「そんなこと‥‥、私には関係ないでしょ。だって、それはこの世界の話であって私はこの世界の人間じゃない」
中冨は父様の雰囲気で何かを察したのか、少し弱々しく呟いた。
「そうだな。だが、この世界にきた以上はこの世界の人間だ。きみたちには最大限、快適に過ごせるように取り計らうが、こちらとしても守ってもらわなければならないものがあることを忘れぬようにしてもらいたい」
「‥‥‥はい」
中冨は下を向き微かに返事をした。
「では測定を再開する。次の者は前へ」
微妙な空気感の中、父様の声が響き、次の先生が来るように促された。
「あ、はい」
先生は慌てて水晶の前まで行き触れた。
名前 ツキカ・シグレ
レベル 6
年齢 三十二歳
種族 人族
職業 ?
魔法属性 無属性
固有スキル 全言語理解 発明の才
加護 女神ルルーユの加護 精錬加護
称号 女神の寵愛を受けし者 異世界人
転移者 生み出すもの
「生み出すもの?」
「錬金術ですかね」
「え?あ、マユリ様」
先生がはてな顔で結果を見ていると母様が部屋に入ってきて言った。
「マユリどうかしたか」
「いえ、特には。ただこの方たちの力を見にきたのです」
「それはまたどうしてだ?」
父様は不思議そうに聞いた。
「私たちはこの方たちと過ごす身。信用をしていないわけではないですが、万が一ということもありますので、様子を見にきたのです」
「なるほどな。しかし言ってくれれば全ての結果を伝えたものを。それに測定は半分は終わっているぞ」
「あら、そうですの?実を申しますと、息子の成長を見にきたのです。陛下ばかりずるいですもの」
母様は父様にだけ聞こえるように小声で不満そうに言った。
俺には丸聞こえなんだけど。
雫たちが聞こえてないか確認したが、聞こえてないらしく安心した。
「まったく‥‥‥」
父様は母様の言葉に少し呆れたように呟いた。
「あの、話を挟んで申し訳ないのですが、錬金術とは一体?」
先生は恐る恐るといった感じで母様に聞いていた。
「そうですわね、錬金術とは魔硝と呼ばれる鉱物を任意な形、性能に作り変えることが出来ます」
「凄い‥‥‥!あ、でも魔硝ってどこにでも手に入るものなんですか?」
「えぇ、比較的簡単に。城下にも売っていると聞きますし、王家の倉庫にもありますよ」
先生はびっくりしたような感動したような、感情が追いついていないようだった。
「次の者は前へ」
父様は母様と先生の会話がひと段落したところを見計らって言った。
「悠弥、お前だろ?」
「あ、うん。そうだな」
雫に促され俺は水晶の前まで行った。
俺の力は父様たちにも雫たちにも全ては見せられない。
俺は転生者で、「異世界渡り」を経験し者。
隠さなければ色々とまずい。
「ハルヤか。成長した姿が楽しみだ」
水晶の前行くと父様が微かに微笑んで言った。
隠していることの申し訳なさを感じながら俺は水晶に手を触れた。
名前 ハルヤ・シノミヤ
《ハルヤ・シーリス》
レベル 7《15》
年齢 十六歳
種族 人族
職業 ?《王族》
魔法属性 五属性《無属性+付属性》
固有スキル 全言語理解 魔力増大
《魔法剣 隠蔽》
加護 女神ルルーユの加護 魔法加護
《刀剣加護》
称号 女神の寵愛を受けし者 異世界人
転移者
《転生者 異世界渡りを受けし者》
カッコで示されているのは隠されている本当の力なんだろう。
にしても、結構隠さなきゃいけないみたいだな。
「ふむ、これは。女神ルルーユの計らいか。本当の成長したものは見れないが、昔より強くなったな。ハルヤ」
父様は俺の力を見て驚いたように息を吐くと、すぐに思い直したように俺に微笑みながら言った。
「は、はい。ありがとうございます」
俺は隠さなければならない申し訳なさで、一瞬、言葉に詰まってしまった。
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