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転んで頭を打った衝撃で人格が変わった。と言う噂が邸の中で広がるのは早かった。
そりゃそうだろ。マークフェン家に来てから無愛想に拍車がかかりグレにグレてヤンキーになる手前だったんだから。
あの優しく人当たりの良いセレスでさえ、俺を避けていたんだから。
メイド達や使用人達には無愛想に振る舞い、義理の両親にもシカト。セレスには怒鳴り散らすなど横暴な態度だった。
セレスの整った顔が苦い顔になる様が、ちょっと興奮していたなんて言えないけど…。
だが前世での大事な事を思い出していた。
セレスを見て…もしかして、ここは…『魔法学園ラビリンス』ってゲームの世界なんじゃないかって。
まだセレスが14歳で少年らしさが残っているから最初は解らなかった。ゲームの時にはセレスは18歳。攻略対象の1人だ。
優しくて紳士。主人公の頼りになる先輩だ。
そこで気がつく。
セレスの従兄弟でヤンキー系のヤツがいた。
小さい時に両親を亡くし、セレスの家に引き取られるが、環境に馴染めずヤンキーになり、主人公に優しくされ惹かれていく。
といったベタな展開。
もしかしなくても俺だ!いや、もうヤンキーになりつつある。
13才だというのにもうピアスをしている。つり目でピアスって…お約束すぎる。
引き取ってくれたマークフェン家の皆は、こんな俺にも優しく接してくれていたのに。
それにフェルドもいる。こんなに恵まれていた事に気付かなかったなんて…。だから罰が当たって転んで頭打ったんだ。
しかも……俺、ゲームの攻略対象じゃね?
攻略されるのか?マジかよ!
それに何故か、大事な事を思い出していないような…
…まぁそのうち思い出すだろう。
それからの俺は別人だった。
まずは皆に、挨拶。廊下ですれ違えば挨拶は基本だよね。
以前のルシオンは「おはよう」さえ言ってないんだよ。
前世ではバイト三昧だった俺としては「おはようございます。」「お疲れさまでした。」は人間関係において円滑にする為のもの。
そう、俺は根っからの小心者でした。邸で働いてくれている人達に、ツンツンオラオラ(チンピラをイメージ)は出来ませんでした。
だからといって元気いっぱいには振る舞えなく、おどおどしてしまうのは元からの性格です。
最初は皆びっくりして固まっていたが、さすが侯爵家の使用人達。即座に笑顔になったよ。教育が行き届いてるね。
もちろん義理の両親は泣いて喜び抱き締めてくれた。
セレスは赤面して、不思議そうな顔をしていた。
(そりゃそうだろな。八つ当たりしていた奴が急に「今までゴメン。」って言ってくるんだもんな。)
俺に悪意がないのが分かると笑顔になった。
将来イケメン確定の少年の笑顔は、まだあどけなくて可愛い。
俺は無意識に顔が赤くなっていたらしく、セレスに「しょうがないな。」と頭を撫でられた。
俺は恥ずかしさで耳が熱いのが解る。
セレスはそんな俺を見て可愛いと抱き締めてくるからビックリ。
優しい兄が出来たようで嬉しかった。
裏の方でメイドさん達が、そんな俺たちを見ながら「美少年二人が抱き締めあってる。萌え!」とはしゃいでいた事を知るよしもなかった。
◆◆◆◆◆
あれから俺はすっかり真面目…?になり、勉強や魔法など義理の兄セレスと一緒に家庭教師に教えてもらうようになった。
グレていた俺は、勉強なんてしないしマナーもなってなく、魔法も使った事がないという残念な子だった。
俺の魔法の属性は…闇属性…
ヤンキーで闇って…テンプレかよ!!
そもそも闇属性って…影を使って物を取るくらいしか使い道がない。いや前世の時に比べれば楽なのだが…。
派手に使えるかと思っていた俺はがっかりする。
残念な俺に比べて凄いのはセレスとフェルドだ。
セレスは風属性だから、そよ風から切り刻む強い風まで使いこなせる。
フェルドは火属性で、ランプの明かりから火炎放射まで難なく出来るらしい。さすがに火炎放射までは見せてくれないが。
そんな二人に手本を見せてもらっても、センスや魔力量が足りない俺はこれ以上やっても能力は上がらない気がする。派手に魔法を使ってみたかったんだけどね。
学力面は前世での時より案外簡単みたいだ。
歴史についても魔法関係が多く学ぶのは楽しい。魔法の実技試験さえなければ余裕だ。
後は剣術。
せっかく生まれ変わった事だし、魔法の世界だしやらなきゃもったいない。
魔法の世界なので、もちろん魔物が出る。まだ出くわした事がないからか実感が湧かないけど。
剣術は剣技場があり、貴族の子息たちはそこで騎士団員に直接教えてもらえるシステムだ。
やるやらないは個人次第で…いわゆる前世での習い事みたいなものだ。
やっていて損はないし、将来騎士になりたければ必要だ。
俺は跡取りでもないし、そんな将来でも良いな…と思い初めていた。魔力は微妙だが…。
騎士は男のロマンだからな。
そりゃそうだろ。マークフェン家に来てから無愛想に拍車がかかりグレにグレてヤンキーになる手前だったんだから。
あの優しく人当たりの良いセレスでさえ、俺を避けていたんだから。
メイド達や使用人達には無愛想に振る舞い、義理の両親にもシカト。セレスには怒鳴り散らすなど横暴な態度だった。
セレスの整った顔が苦い顔になる様が、ちょっと興奮していたなんて言えないけど…。
だが前世での大事な事を思い出していた。
セレスを見て…もしかして、ここは…『魔法学園ラビリンス』ってゲームの世界なんじゃないかって。
まだセレスが14歳で少年らしさが残っているから最初は解らなかった。ゲームの時にはセレスは18歳。攻略対象の1人だ。
優しくて紳士。主人公の頼りになる先輩だ。
そこで気がつく。
セレスの従兄弟でヤンキー系のヤツがいた。
小さい時に両親を亡くし、セレスの家に引き取られるが、環境に馴染めずヤンキーになり、主人公に優しくされ惹かれていく。
といったベタな展開。
もしかしなくても俺だ!いや、もうヤンキーになりつつある。
13才だというのにもうピアスをしている。つり目でピアスって…お約束すぎる。
引き取ってくれたマークフェン家の皆は、こんな俺にも優しく接してくれていたのに。
それにフェルドもいる。こんなに恵まれていた事に気付かなかったなんて…。だから罰が当たって転んで頭打ったんだ。
しかも……俺、ゲームの攻略対象じゃね?
攻略されるのか?マジかよ!
それに何故か、大事な事を思い出していないような…
…まぁそのうち思い出すだろう。
それからの俺は別人だった。
まずは皆に、挨拶。廊下ですれ違えば挨拶は基本だよね。
以前のルシオンは「おはよう」さえ言ってないんだよ。
前世ではバイト三昧だった俺としては「おはようございます。」「お疲れさまでした。」は人間関係において円滑にする為のもの。
そう、俺は根っからの小心者でした。邸で働いてくれている人達に、ツンツンオラオラ(チンピラをイメージ)は出来ませんでした。
だからといって元気いっぱいには振る舞えなく、おどおどしてしまうのは元からの性格です。
最初は皆びっくりして固まっていたが、さすが侯爵家の使用人達。即座に笑顔になったよ。教育が行き届いてるね。
もちろん義理の両親は泣いて喜び抱き締めてくれた。
セレスは赤面して、不思議そうな顔をしていた。
(そりゃそうだろな。八つ当たりしていた奴が急に「今までゴメン。」って言ってくるんだもんな。)
俺に悪意がないのが分かると笑顔になった。
将来イケメン確定の少年の笑顔は、まだあどけなくて可愛い。
俺は無意識に顔が赤くなっていたらしく、セレスに「しょうがないな。」と頭を撫でられた。
俺は恥ずかしさで耳が熱いのが解る。
セレスはそんな俺を見て可愛いと抱き締めてくるからビックリ。
優しい兄が出来たようで嬉しかった。
裏の方でメイドさん達が、そんな俺たちを見ながら「美少年二人が抱き締めあってる。萌え!」とはしゃいでいた事を知るよしもなかった。
◆◆◆◆◆
あれから俺はすっかり真面目…?になり、勉強や魔法など義理の兄セレスと一緒に家庭教師に教えてもらうようになった。
グレていた俺は、勉強なんてしないしマナーもなってなく、魔法も使った事がないという残念な子だった。
俺の魔法の属性は…闇属性…
ヤンキーで闇って…テンプレかよ!!
そもそも闇属性って…影を使って物を取るくらいしか使い道がない。いや前世の時に比べれば楽なのだが…。
派手に使えるかと思っていた俺はがっかりする。
残念な俺に比べて凄いのはセレスとフェルドだ。
セレスは風属性だから、そよ風から切り刻む強い風まで使いこなせる。
フェルドは火属性で、ランプの明かりから火炎放射まで難なく出来るらしい。さすがに火炎放射までは見せてくれないが。
そんな二人に手本を見せてもらっても、センスや魔力量が足りない俺はこれ以上やっても能力は上がらない気がする。派手に魔法を使ってみたかったんだけどね。
学力面は前世での時より案外簡単みたいだ。
歴史についても魔法関係が多く学ぶのは楽しい。魔法の実技試験さえなければ余裕だ。
後は剣術。
せっかく生まれ変わった事だし、魔法の世界だしやらなきゃもったいない。
魔法の世界なので、もちろん魔物が出る。まだ出くわした事がないからか実感が湧かないけど。
剣術は剣技場があり、貴族の子息たちはそこで騎士団員に直接教えてもらえるシステムだ。
やるやらないは個人次第で…いわゆる前世での習い事みたいなものだ。
やっていて損はないし、将来騎士になりたければ必要だ。
俺は跡取りでもないし、そんな将来でも良いな…と思い初めていた。魔力は微妙だが…。
騎士は男のロマンだからな。
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