能天気男子の受難

いとみ

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抱き締められていると、尻の辺りにマクビルの股間が当たる。
その感触に驚いて、俺は逃げ腰になってしまった。マクビルのそこが硬くなっていたからだ。

「…マクビル………俺、もう体力の限界。」
「お前のせいだ。もう少し付き合え。」

熱情を孕んだ瞳をしながら、爽やかな笑顔で言われる。
その表情は反則だ。

「…挟んで。」

俺の腰を掴んで内ももに陰茎を当ててくる。せっかく綺麗にした尻穴を、もう一度使われなくて助かった。俺の身体を気遣ってくれたのか解らないが、この体勢はマクビルの陰茎が俺の玉に当たって擦れて感じる。

「お前も…立ってる。」

かすれたような低い声音で言われると、腰にくる。
マクビルは俺の股で擦りながら動き、そして俺の陰茎をも擦ってくるから堪らない。

「やっ、あっ、…んんっ、ぁっ、ん。」

もう何度もイキすぎたせいか、気持ちいいのになかなか達する事が出来なくて辛い。

もう頭がふらふらして、体力の限界がきたらしく、俺は気を失ってしまった。

「ルシオン!」




喉が張り付くような渇きを覚え、目が覚めた。
(あれ?今何時だ?)
辺りは真っ暗で、月明かりがうっすらと部屋を照らしている。
サイドテーブルに置かれてある、水差しをグラスに注ごうと動くと、隣にマクビルが眠っているのに気づいた。しかもお互い裸で。
そのとたん、昨夜の事を思い出して顔が熱くなる。

雰囲気に流されて、気持ち良くされたとはいえ、友人とやってしまった事が、凄く恥ずかしい。
入学式の日に、身体が熱くなって、マクビルに助けてもらった時は、酔っ払ったような感覚だったし、薬のせいに出来たが、今回はしらふだ。

気持ちを落ち着かせる為、グラスの水を一気に飲んだ。
喉の渇きが癒え落ち着くと、また眠くなりそして布団に潜り込んだ。

そしてもう一度目が覚めるた時には、外は明るくなっていた。
今が何時なのか時計を見ると驚いた。昼前になっていて、完全に学園は遅刻だ。
隣で寝ていたマクビルはいない。あんなエロい事をした後で、どういう顔をして良いか解らなかったから少しほっとする。

もうこれから学園に行っても、遅すぎるくらいだからと、俺はずる休みを決め、もう一度布団に倒れこむ。ふかふかの布団に包まれ、俺はまた眠りについた。


そんな事があった日から、マクビルは毎日俺の部屋に泊まりに来ようとしていた。

「マクビル…俺もう1人でも大丈夫だと思う。」
「いやダメだ。心配だ。」

実際、俺の部屋が危険にさらされた事はない。1番安全な場所と言えるかもしれない。

「うーん…でも、俺1人部屋じゃないし…。」
「お前の寝顔は無防備だ。悪い虫を寄せ付ける。」

誰でも寝顔は無防備じゃないか?そもそもそんな虫、入って来ないから。

「マクビル、学園はともかく、寮の自室は大丈夫だろ?」

何を言っても納得してくれず困っていた俺に、テオルドが助け船を出してくれた。やっぱりテオルドは女神だ。

「それに………(しつこい男は嫌われるぞ。)」

???
テオルドはマクビルの耳元で何かを言ったようだが、俺には聞こえなかった。

マクビルは眉間にシワを寄せ固まっているし、テオルドは何事も無かったかのように、涼しい顔をしてお茶を飲んでいる。何を言ったんだ?
マクビルは、難しい顔で考え込んだ後、ようやく答えを導き出したのかボソリと言った。

「解った…。」

「え?」
「解ったよ。泊まるのは無しだ。」

渋々と言った風に納得してくれたようだった。

しかし、ほっとしたのはその時だけだった。寮の自室を出ればどこで嗅ぎ付けたのか、いつの間にかそばにいて離れることは無い。俺が部屋から出て、入るまで。
学園ではトイレも勿論、個別の学習講座や、自分の委員会をサボってまで、一緒にいる始末。

いつかの『守る』という約束を、忠実に果たしてくれているんだろうけど…
何だかマクビルは…俺を、お姫様扱いしているようで、気にくわない。
一応これでも、俺は将来騎士になりたい普通の男子だ。マクビルから見たら俺なんて、ひ弱なんだろうけど。

マクビルは背も高く、肩幅も広く、筋肉が程よくついていて、将来有望の騎士だから格好いいし、イケメンだし、誰から見ても皆の憧れの存在だ。

ましてや、マクビルがテオルドと一緒に並ぶと『美少年と騎士』という言葉が似合う2人で、学園では有名だった。

去年はテオルドとマクビルが同室と言うこともあり、2人は一緒にいる事が多かったが、最近マクビルは俺にべったりくっついているから、周りの視線が痛い。

テオルドは生徒会の仕事で忙しいらしいらしく、なかなか会えない。セレスに会えない理由も同じだ。
寂しい気がするのは、仕方ない事ない。

だがそんな時、事件は起こった。

学園の北側の階段で、リビアンが誰かに突き落とされて、意識がないという情報で、昼休憩の学園は大騒ぎになっていた。


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