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一章
終わりの始まり
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「う……」
いつの間に寝てしまっていたのだろう?私が身を起こして窓の外を見ると、雪が降っていた。
「もう、こんな時間か……」
冬だからか、外は既に暗くなっている。そろそろ学校から出ないと、先生にも迷惑だろう。机に散らかったスケッチブックと鉛筆を片づけ、机にかけておいたカバンを持って靴箱に向かう。
今日は、珍しく普段はいない両親が帰ってくる日だ。だから本当は早めに帰りたかったのだけど……普段の寝不足がたたったのかもしれない。
靴を履き、そのまま校門まで向かうと茶髪の男子高校生が立っていた。
「お、スズ!やっぱまだ学校にいたんだな」
「シルヤ。先に帰っていたんじゃないのか?」
彼はシルヤ。私の幼馴染で生まれた時からの知り合いだ。彼が私の隣に立ち、「一緒に帰ろうぜ」と手を握ってきた。
「テニス部の練習は?」
「大丈夫だぜ!オレがテニス得意だってこと、知ってるだろ?」
「フフッ、そうだな」
「スズは?もうすぐ絵の提出があるんだろ?」
「ある程度描き終わってる。あとは細かいところを塗るだけだよ」
そんな会話をしながら歩いていると、電柱に不審者注意のポスターが目に入った。それを見て、私達は黙り込む。
最初に口を開いたのはシルヤだった。
「なぁ、スズ。ぶっちゃけた話さ……恋人、作ってもいいんじゃね?」
「急にどうした?」
「だって、悩んでるんだろ?……その、ストーカー被害」
その言葉に、うつむく。なんとなくだけど、彼は気付いているのだろうと思っていたからだ。
「恋人、ねぇ……私が恋人になっても楽しくないだろ」
「そんなことねぇって。スズは美人だし、あこがれている奴なんて結構いるんだぜ?」
「そんなわけないだろう?」
その会話をしていると、胸に重くのしかかるような何かが抜けていく気がする。
その時だった、目の前の電柱に、人影が見えたのは。ドクン、と心臓が跳ねる。
私はシルヤの腕を掴み、その人影の横を走り抜ける。
「ど、どうしたんだよ!?スズ!」
シルヤが慌てた声を出すが、気にせず私の家まで走り抜ける。そして玄関を締めた。
「何があったんだよ、スズ……」
「……いたんだよ、ストーカーが……」
「え」
私の言葉に、何事か分かっていなかった彼も顔を青ざめさせた。それもそうだろう、まさかストーカーと対峙するとは思っていなかっただろうし。
しかし、家の様子が少しおかしいことに気付く。それはシルヤも感じたようで、同時に顔を見合わせた。
「……様子、見て見るか?」
「……あぁ、そうだな」
二人で頷きあい、私達は恐る恐るリビングに入る。両親がいるはずなのに、電気がついていなかった。シルヤが震える手で電気をつけると――中心で、両親が倒れていた。
「お父さん!?お母さん!?」
「ちょ、救急車……!」
私が両親に近付き、シルヤがスマホで救急車を呼ぼうとする……直前、二人して頭を殴られて気を失ってしまった。
いつの間に寝てしまっていたのだろう?私が身を起こして窓の外を見ると、雪が降っていた。
「もう、こんな時間か……」
冬だからか、外は既に暗くなっている。そろそろ学校から出ないと、先生にも迷惑だろう。机に散らかったスケッチブックと鉛筆を片づけ、机にかけておいたカバンを持って靴箱に向かう。
今日は、珍しく普段はいない両親が帰ってくる日だ。だから本当は早めに帰りたかったのだけど……普段の寝不足がたたったのかもしれない。
靴を履き、そのまま校門まで向かうと茶髪の男子高校生が立っていた。
「お、スズ!やっぱまだ学校にいたんだな」
「シルヤ。先に帰っていたんじゃないのか?」
彼はシルヤ。私の幼馴染で生まれた時からの知り合いだ。彼が私の隣に立ち、「一緒に帰ろうぜ」と手を握ってきた。
「テニス部の練習は?」
「大丈夫だぜ!オレがテニス得意だってこと、知ってるだろ?」
「フフッ、そうだな」
「スズは?もうすぐ絵の提出があるんだろ?」
「ある程度描き終わってる。あとは細かいところを塗るだけだよ」
そんな会話をしながら歩いていると、電柱に不審者注意のポスターが目に入った。それを見て、私達は黙り込む。
最初に口を開いたのはシルヤだった。
「なぁ、スズ。ぶっちゃけた話さ……恋人、作ってもいいんじゃね?」
「急にどうした?」
「だって、悩んでるんだろ?……その、ストーカー被害」
その言葉に、うつむく。なんとなくだけど、彼は気付いているのだろうと思っていたからだ。
「恋人、ねぇ……私が恋人になっても楽しくないだろ」
「そんなことねぇって。スズは美人だし、あこがれている奴なんて結構いるんだぜ?」
「そんなわけないだろう?」
その会話をしていると、胸に重くのしかかるような何かが抜けていく気がする。
その時だった、目の前の電柱に、人影が見えたのは。ドクン、と心臓が跳ねる。
私はシルヤの腕を掴み、その人影の横を走り抜ける。
「ど、どうしたんだよ!?スズ!」
シルヤが慌てた声を出すが、気にせず私の家まで走り抜ける。そして玄関を締めた。
「何があったんだよ、スズ……」
「……いたんだよ、ストーカーが……」
「え」
私の言葉に、何事か分かっていなかった彼も顔を青ざめさせた。それもそうだろう、まさかストーカーと対峙するとは思っていなかっただろうし。
しかし、家の様子が少しおかしいことに気付く。それはシルヤも感じたようで、同時に顔を見合わせた。
「……様子、見て見るか?」
「……あぁ、そうだな」
二人で頷きあい、私達は恐る恐るリビングに入る。両親がいるはずなのに、電気がついていなかった。シルヤが震える手で電気をつけると――中心で、両親が倒れていた。
「お父さん!?お母さん!?」
「ちょ、救急車……!」
私が両親に近付き、シルヤがスマホで救急車を呼ぼうとする……直前、二人して頭を殴られて気を失ってしまった。
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