4 / 61
一章
最初の試練
しおりを挟む
ハッと、ボクは意識を取り戻す。
「……ここは……?」
「ユウヤ、大丈夫ですか?」
男性に声をかけられ、そちらを見る。目の前には、心配そうにボクを見ている黒髪の男性。
彼はボクの友人で、一つ年上の兄のような人だ。東京に出てからもルームシェアしているほどには仲がいいと自負している。
「はい、大丈夫です。エレンさんは……?」
「私も大丈夫ですよ。……それにしても、ここは……」
周囲を見回す彼と同じように、ボクも部屋を見る。
大きなモニターに、棚、机、椅子……ここが見知らぬ部屋ということを除けば、割と普通の場所だった。首に違和感があり、触ってみると首輪をつけられていることに気付く。首輪はエレンさんにもつけられていた。
『祈花 佑夜、七守 恵漣の起床を確認いたしました。これより、最初の試練を開始いたします』
どこからか、そんな放送が流れてくる。最初の試練……?と首を傾げているが、その放送は単純に録音されているだけなのか、話を進めていく。
『お二人には謎解きをしてもらいます。制限時間は十分、時間内に解けなければガスを充満させます』
「……実質の死刑宣告、ね……」
ボクが呟くと、エレンさんは「冷静に分析しましょうか」と見てきた。
モニターのタイマーが動き始める。ボクとエレンさんで手分けして部屋中を見て回ると一枚の紙があることに気付く。
悲嘆の花を探せ。
紙にはそう書かれていた。
「これはどういうことでしょうか……」
ボクが考え込んでしまうと、エレンさんはうなって、
「花言葉に「悲嘆」があるもの、ということですよね?だとしたらキンセンカ、マリーゴールド、イトスギ、ポプラ……まさか本物があると思えませんので、造花を探すべきでしょう」
「なるほど。それならその棚が怪しいですね」
それはエレンさんも思ったようで、一緒に棚を調べる。
棚には小さな金庫があり、きっとここに造花が入っているのだろう。パスワード式で、どこかにヒントがあるのだろう。
そんな金庫の周囲にはライターとノート。ノートを開くけど、何も書かれていない。なんだろうと首を傾げながら机の方を調べてみる。
「……うん?」
机に小さく上矢印が書かれている。それは扉近くの方に向いていた。
ボクが椅子を使ってその方向を見て見ると、絵が描かれていた。火で紙をあぶっている絵……。あぁ、そう言うことか。
「どうしましたか?ユウヤ」
エレンさんが首を傾げるけど、ボクはライターでノートの一ページ目をあぶってみた。すると三桁の数字がじわじわと見えてきた。
「「526」……これを入れたら……」
エレンさんがパスワードを入れると、金庫が開いた。その中には予想通りキンセンカの造花と紙が入っていた。
悲嘆の花を机の上に捧げよ。
紙にはそう書かれていて、指示通りにするとタイマーが止まる。
『最初の試練、成功を確認しました。鍵のロックを解除します』
そのアナウンスとともに、カチャと鍵が開いた音が聞こえてくる、エレンさんがドアノブをひねると、簡単に開く。
「よかった……とりあえず、第一関門は突破したみたいですね」
「そうですね。……しかし、その先が見えないですね……」
扉の先は真っ暗だった。不気味なほど静かで、思わずすくんでしまう。
しかし、進まないと始まらない。顔を見合わせて、ボク達は一歩踏み出した。
「……ここは……?」
「ユウヤ、大丈夫ですか?」
男性に声をかけられ、そちらを見る。目の前には、心配そうにボクを見ている黒髪の男性。
彼はボクの友人で、一つ年上の兄のような人だ。東京に出てからもルームシェアしているほどには仲がいいと自負している。
「はい、大丈夫です。エレンさんは……?」
「私も大丈夫ですよ。……それにしても、ここは……」
周囲を見回す彼と同じように、ボクも部屋を見る。
大きなモニターに、棚、机、椅子……ここが見知らぬ部屋ということを除けば、割と普通の場所だった。首に違和感があり、触ってみると首輪をつけられていることに気付く。首輪はエレンさんにもつけられていた。
『祈花 佑夜、七守 恵漣の起床を確認いたしました。これより、最初の試練を開始いたします』
どこからか、そんな放送が流れてくる。最初の試練……?と首を傾げているが、その放送は単純に録音されているだけなのか、話を進めていく。
『お二人には謎解きをしてもらいます。制限時間は十分、時間内に解けなければガスを充満させます』
「……実質の死刑宣告、ね……」
ボクが呟くと、エレンさんは「冷静に分析しましょうか」と見てきた。
モニターのタイマーが動き始める。ボクとエレンさんで手分けして部屋中を見て回ると一枚の紙があることに気付く。
悲嘆の花を探せ。
紙にはそう書かれていた。
「これはどういうことでしょうか……」
ボクが考え込んでしまうと、エレンさんはうなって、
「花言葉に「悲嘆」があるもの、ということですよね?だとしたらキンセンカ、マリーゴールド、イトスギ、ポプラ……まさか本物があると思えませんので、造花を探すべきでしょう」
「なるほど。それならその棚が怪しいですね」
それはエレンさんも思ったようで、一緒に棚を調べる。
棚には小さな金庫があり、きっとここに造花が入っているのだろう。パスワード式で、どこかにヒントがあるのだろう。
そんな金庫の周囲にはライターとノート。ノートを開くけど、何も書かれていない。なんだろうと首を傾げながら机の方を調べてみる。
「……うん?」
机に小さく上矢印が書かれている。それは扉近くの方に向いていた。
ボクが椅子を使ってその方向を見て見ると、絵が描かれていた。火で紙をあぶっている絵……。あぁ、そう言うことか。
「どうしましたか?ユウヤ」
エレンさんが首を傾げるけど、ボクはライターでノートの一ページ目をあぶってみた。すると三桁の数字がじわじわと見えてきた。
「「526」……これを入れたら……」
エレンさんがパスワードを入れると、金庫が開いた。その中には予想通りキンセンカの造花と紙が入っていた。
悲嘆の花を机の上に捧げよ。
紙にはそう書かれていて、指示通りにするとタイマーが止まる。
『最初の試練、成功を確認しました。鍵のロックを解除します』
そのアナウンスとともに、カチャと鍵が開いた音が聞こえてくる、エレンさんがドアノブをひねると、簡単に開く。
「よかった……とりあえず、第一関門は突破したみたいですね」
「そうですね。……しかし、その先が見えないですね……」
扉の先は真っ暗だった。不気味なほど静かで、思わずすくんでしまう。
しかし、進まないと始まらない。顔を見合わせて、ボク達は一歩踏み出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/15:『ちいさなむし』の章を追加。2025/12/22の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/14:『さむいしゃわー』の章を追加。2025/12/21の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/13:『ものおと』の章を追加。2025/12/20の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/12:『つえ』の章を追加。2025/12/19の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/11:『にく』の章を追加。2025/12/18の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/10:『うでどけい』の章を追加。2025/12/17の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/9:『ひかるかお』の章を追加。2025/12/16の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる