ＤＥＡＴＨＧＡＭＥ～裏切りと信念の姫～

一章

少女との出会い

　暗い廊下を歩いていると、扉が見えてきた。
「ユウヤ、私が先に行きます」
　エレンさんがボクを庇うようにしながら、恐る恐るその扉を開く。その先は青く広い場所だった。後ろを振り返ると、既に扉は消えていた。
「……進むしかないみたいですね」
「そうですね。……行きましょうか」
　ボク達は顔を見合わせ、広場に向かう。
　しばらくして、ほかの人達も集まってきた。……その中に、茶髪の男女の高校生もいた。全員、同じ首輪がついている。
「全員集まったかなー？」
　金髪の男が全員を見て、そう言う。彼は茶髪の少女を見て笑う。
「君、ちょっと話いいかなー？」
「なんでしょう？」
「その制服、木野山高校だよねー？」
「……そうですが。一体何ですか？」
　その少女は話を振られ、少し不機嫌そうにしている。そりゃあ、知らない人になれなれしく話しかけられたら嫌かもしれない。
　ボクは、その茶髪の男女の名前を知っている。
（スズエさんと、シルヤ君……）
　彼女は、ボクが住んでいた村にいた巫女の家系の血を引いている。そしてボクはその巫女を守る「守護者」だ。スズエさんはボクのことを知らないだろうけどね。
　金髪の男がスズエさんと会話を試みようとしていると、不意に彼女はため息をついた。
「あなたは私に何を求めているんですか？私と話してても何も解決しないと思いますけど……」
「あー、ごめんねー。気に障ったのなら謝るよー。
　――それじゃ、単刀直入に言おうかな？君にまとめてほしいなー」
　その言葉に彼女は「はぁ？」とわけが分からないと言いたげに彼を見た。実際、彼女からしたらなぜ自分がしないといけないのかと思っているだろう。
「なぜ？」
「俺からしたら、君は立場を証明できる」
「証明？」
「隣の子、同じ高校でしょ？それに、友人関係だよね？」
　彼の言葉にシルヤ君の方が目を丸くする。それを見た彼はクスクスと笑った。
「距離感も近いし、信用しあっているよう見える。知り合いと思うのは当然じゃないかなー？」
「……どうする？」
　シルヤ君はスズエさんの方を見る。彼女は考えて、
「……お聞きしますが、あなたは何者なんですか？」
　そう、男に聞いた。
「俺？一応、元おまわりさんだよー」
「え？おまわり……え？」
　まさかのカミングアウトにさすがのスズエさんも固まる。
「……それなら、あなたの方がいいのでは？元とは言え、警察官なのでしょう？」
「でも、俺はそれを証明できない。君達とは違ってねー」
「……だからと言って、私達を信用するに足る人物だと認定するのは早いのでは？」
　彼女の言う通り、制服で友人同士というだけで信用出来るなんて浅はかもいいところだ。
　しかし、彼は「もちろん、それだけで信用できるとは思っていないよー」と笑った。
「君の瞳……真っすぐで強い。君が裏切るとは思えない」
「……ふーん。足元、すくわれないようにしてくださいね？」
　そう言うスズエさんの瞳は鋭いものだった。