DEATHGAME~裏切りと信念の姫~

ひいらぎななみ

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三章

ダンスレッスン

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 一人で行動していると、後ろから声をかけられる。
「やぁ、大丈夫?」
 振り返ると、青年がニコニコしながらこちらを見ている。
「……どうにかね」
「そっか。……それにしても、よくここのことが分かったね」
 チラッと、モニターの方を見る。
「まぁ、ね」
「どこまで解いたの?」
「お前には関係ないだろ?」
「フフッ、そうだね。……大丈夫だよ、ずっと味方だからね」
 青年が頬に触れながらそう告げる。それは洗脳のようにも思えたが、安心してしまっている自分もいた。

 三日目、珍しくナシカミがいなくて首を傾げているとシナムキが「きょ、今日はダンスレッスンです……」と言った。まさかスズエさんの言う通り本当にダンスが出てくるとは思わず、ボク達は驚いた。
「それじゃあ、マミとミヒロにお願いしようかなー?」
 ケイさんが言うと二人は頷いた。
 ダンスレッスンの相手は怪物……ではなく普通の女性だった。
「おー、美人だねー」
「本当じゃな」
 ケイさんとゴウさんが呟く。美人……?と首を傾げてしまう。スズエさんの方が美人だと思うけどなぁ……。
「で、では、説明をしますね……この人が先に踊るのでそれをまねてください……ひ、一つでも間違ったら首輪が発動します……」
 シナムキのおどおどした説明を聞き、ダンスレッスンが始まる。
 女性が手始めにとばかりに簡単なダンスをすると、マミさんとミヒロさんも同じダンスをする。
「おー、すごいね!さすが!」
 嬉しそうに女性が笑い、今度は少し難しいダンスをした。さすがと言うべきか、それもマミさんとミヒロさんは完璧に踊ってみせる。
 チラッと、スズエさんの方を見る。彼女は厳しい顔をしていた。
(どうしたんだろう?)
 そう思っていると、「最後はかなり難しいよ!」と女性がニヤリと笑った。
 女性は人間には絶対出来ない動きをしていた。普通の人だと思っていたが、彼女もやはり怪物だった、ということだろう。
「は……?ど、どうしろって言うんだよ?」
 マミさんが戸惑っていると、ミヒロさんが彼女の手を握る。
「スズエ、どうしたらいい?」
 そして、ミヒロさんがスズエさんに尋ねた。彼女は少し考え込み、
「……シナムキ、少し時間をくれる?」
 シナムキに声をかけた。聞かれた彼女は「え、えぇ……大丈夫ですけど……」と頷くと、スズエさんはキョロキョロと何かを探し出す。
 一分も経たないうちに、どうやら目的のものを見つけたようだ。
「シルヤ、ユウヤさん、少し来てくれません?」
 彼女に呼ばれ、ボクとシルヤ君は彼女の近くに行った。
「どうしたの?」
「これ、一緒に壊してくれない?」
 そう言って見せてきたのは何かの機械。壊していいのか……?とは思ったがとりあえずと三人で何とか壊した。残骸があるが、スズエさんはそれを踏んで、
「出来る限りのダンスをしてください」
 そうマミさんとミヒロさんに告げた。二人は首を傾げながら踊り終わると、
「さすがだね!成功だよ!」
 そう言って、女性は笑う。どうやら乗り越えたようだ。
 女性が引っ込んでいくと、「なんで成功したんだ?」と麻実さんが聞いてくる。
「この機械が二人のダンスの判定をしていたんですよ」
 スズエさんが足をどけ、残骸を見せる。なるほど、だから壊したのか。
「で、では、自由に過ごしてください……」
 シナムキもその場を去って行ってしまう。それに従い、会場から出た。
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