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三章
犠牲者ビデオに映っていたのは?
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少しいろんな部屋を探索していると、「あ、あの」とシナムキが声をかけてきた。
「どうしたの?」
「そ、その……少し、お話しませんか?」
まさかシナムキがそう言ってくるとは思っていなかったボクは驚く。
シナムキに連れられ、ボクは医務室に通される。そこで彼女はCDを二枚渡してきた。
「これは?」
「その……犠牲者ビデオです……ナナミさんと、アリカさんの……」
ナナミさんとアリカさんって誰だ?と首を傾げていると、
「ナナミさんは、その……キナさんのお姉さんです……アリカさんは、ケイさんの元上司で……」
なるほど。その二人がどうやって死んでしまったのか分かる、ということか……。
「……ありがとう、あとで見てみるよ」
それだけ言って、ボクは一度医務室から出た。そして自室に戻り、パソコンでそのCDを見てみる。
一枚目はナナミさんであろう中学生が横に拘束されていた。近くにはキナちゃんがいる。
『お、お姉ちゃん……!どうしたらいいの……!?』
キナちゃんは泣きながら、ナナミさんに尋ねていた。
『キナ、落ち着いて……よく周囲を見て』
青い顔しながらナナミさんはキナちゃんをなだめている。でも、非常事態だ、中学生にとって冷静になれるわけもなく。
『……時間切れです。佐藤 菜々美の処刑を開始します』
無機質な声とともに、ナナミさんが寝かされているベッドが折りたたむように動き出す。
『や、やめて……!』
キナちゃんが懇願するけど、止まることはなく……ナナミさんは潰されてしまった。
「……酷い……」
そりゃあ……キナちゃんも恐怖で震えるに決まっている。目の前で姉があんな残忍に殺されたんだから。
二枚目はアリカさんが暗闇で歩いているところだった。
『こ、ここは……?』
戸惑いながらも警戒し、ゆっくり周囲を見て回っているらしい。ボクからも何も見えないから、本当に真っ暗なのだろう。
やがて、カチッと音が聞こえたかと思うと下から何かが出てきた。間一髪、アリカさんは避けたけど腕を怪我してしまったらしい。
『な、何?これ……』
恐怖で顔を引きつらせながらも、彼女は出口を探して進んでいく。
やがて、明るいところが見えてきた。それに希望を持ったであろうアリカさんは走っていったけど……。
――おなかを貫かれて、血が飛び散った。
『え……そん、な……』
そんな小さな絶望の声が聞こえ、彼女はその場に倒れてしまった。
少しして、光の先に誰かが立っているのが見えた。誰だろうとよく見ると、ボクは目を見開いた。
(え……!?)
――そこに立っていたのは、冷たい目をしているスズエさんだった。
(なんでスズエさんがそこにいるの?)
意味が分からなかった。
まさか、スズエさんは黒幕側だというのか?
信じたくない。でも……どうしても、疑ってしまう。
(……守護者、失格だな……)
そんな自分に嫌気がさして、嘲笑してしまう。こんな時、あいつらはなんて言うだろうか?
「……今日はもう寝よう……」
CDと取り出して、ボクはベッドに横になった。
「どうしたの?」
「そ、その……少し、お話しませんか?」
まさかシナムキがそう言ってくるとは思っていなかったボクは驚く。
シナムキに連れられ、ボクは医務室に通される。そこで彼女はCDを二枚渡してきた。
「これは?」
「その……犠牲者ビデオです……ナナミさんと、アリカさんの……」
ナナミさんとアリカさんって誰だ?と首を傾げていると、
「ナナミさんは、その……キナさんのお姉さんです……アリカさんは、ケイさんの元上司で……」
なるほど。その二人がどうやって死んでしまったのか分かる、ということか……。
「……ありがとう、あとで見てみるよ」
それだけ言って、ボクは一度医務室から出た。そして自室に戻り、パソコンでそのCDを見てみる。
一枚目はナナミさんであろう中学生が横に拘束されていた。近くにはキナちゃんがいる。
『お、お姉ちゃん……!どうしたらいいの……!?』
キナちゃんは泣きながら、ナナミさんに尋ねていた。
『キナ、落ち着いて……よく周囲を見て』
青い顔しながらナナミさんはキナちゃんをなだめている。でも、非常事態だ、中学生にとって冷静になれるわけもなく。
『……時間切れです。佐藤 菜々美の処刑を開始します』
無機質な声とともに、ナナミさんが寝かされているベッドが折りたたむように動き出す。
『や、やめて……!』
キナちゃんが懇願するけど、止まることはなく……ナナミさんは潰されてしまった。
「……酷い……」
そりゃあ……キナちゃんも恐怖で震えるに決まっている。目の前で姉があんな残忍に殺されたんだから。
二枚目はアリカさんが暗闇で歩いているところだった。
『こ、ここは……?』
戸惑いながらも警戒し、ゆっくり周囲を見て回っているらしい。ボクからも何も見えないから、本当に真っ暗なのだろう。
やがて、カチッと音が聞こえたかと思うと下から何かが出てきた。間一髪、アリカさんは避けたけど腕を怪我してしまったらしい。
『な、何?これ……』
恐怖で顔を引きつらせながらも、彼女は出口を探して進んでいく。
やがて、明るいところが見えてきた。それに希望を持ったであろうアリカさんは走っていったけど……。
――おなかを貫かれて、血が飛び散った。
『え……そん、な……』
そんな小さな絶望の声が聞こえ、彼女はその場に倒れてしまった。
少しして、光の先に誰かが立っているのが見えた。誰だろうとよく見ると、ボクは目を見開いた。
(え……!?)
――そこに立っていたのは、冷たい目をしているスズエさんだった。
(なんでスズエさんがそこにいるの?)
意味が分からなかった。
まさか、スズエさんは黒幕側だというのか?
信じたくない。でも……どうしても、疑ってしまう。
(……守護者、失格だな……)
そんな自分に嫌気がさして、嘲笑してしまう。こんな時、あいつらはなんて言うだろうか?
「……今日はもう寝よう……」
CDと取り出して、ボクはベッドに横になった。
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