23 / 61
三章
バトルロイヤル
しおりを挟む
次の日、ナシカミが笑顔で「よー、辛気くさい顔だなぁ」と言いながらボク達を会場に集める。今度は闘技場みたいな場所だけど、もしかして……?
嫌な予感は的中するもので、
「今日はバトルロイアルだぞ」
ご機嫌な様子でそう言われた。まさかここで来るとは思わず、顔を見合わせる。
「参加者は……そうだなぁ、三人で行くか?」
三人……とボクは考え込んでしまう。
今、参加していないのはボクとエレンさん、シルヤ君、スズエさんだ。ボクは確実に参加するとして、参加できるのはあと二人だ。
「……スズ、ここで参加していいか?」
シルヤ君に聞かれ、スズエさんは「あぁ、いいぞ」と頷いた。
そうなると、あとはエレンさんとスズエさんだ。……明日は確実に一人だけで参加することになる。そう考えたら、エレンさんを残した方がいいのかもしれないけど。
「さすがに、高校生二人を守りながらは厳しいですよね……」
スズエさんが呟く。どんな怪物が出てくるか分からない以上、実力の分かっているエレンさんと一緒の方がいいというのは確かだ。
「……エレンさん、お願いします」
スズエさんがエレンさんに頭を下げる。それに彼は目を丸くした。
「スズエさん、いいのですか?明日、一人で立ち向かうことになりますが……」
「大丈夫ですよ。シルヤを守ってください」
彼女のその言葉に、エレンさんは頷く。
三人で闘技場に入ると、ボク達に拳銃が渡された。それを使って倒していけということだろう。
「シルヤ君は後ろに下がってて」
ボクが言うと、シルヤ君は頷いて一歩引いた。
怪物が六体出てくる。図体がでかく、軽く三メートルはありそうだ。
「それじゃあ、始めるぞー。せいぜい足掻いてくれよ?」
ナシカミの言葉を合図に、怪物達はボク達に襲いかかってくる。何とか避けることが出来たが、かなり強かったらしく地面がへこんでいた。
「シルヤ君、私の後ろにいてくださいね」
エレンさんがシルヤ君を守ろうと前に立つ。彼が守ってくれるのなら、ボクもやりやすい。
ボクが威嚇するように一発銃弾を撃つ。その音に反応して、怪物達はボクに狙いを定めた。エレンさんが拳銃を構え、遠くから狙っている。
怪物が襲い掛かってくる。それを見て、ボクはニヤリと笑みを浮かべた。
「『狐火』」
そう唱えると、周囲に炎が出てくる。ボクはそれを怪物に向けて放った。
これが、ボクが戦闘向きである理由だ。ボクは妖狐の血を濃く引いているから狐火を使うことが出来る。だから絶対に勝てると確信していた。
エレンさんも、その百発百中の腕前で怪物を撃ち抜く。シルヤ君も足を狙って撃ってくれた。そのおかげで、戦闘もかなり楽になった。
「ちぇ……つまんねぇの」
倒しきると、ナシカミは本当につまらなそうにつぶやいた。そんな中、スズエさんがシルヤ君とエレンさんに近付いた。
「お疲れ。大変だったな。エレンさんも、ありがとうございます」
「いえ、これぐらいならお安い御用ですよ」
「すっげぇ怖かったけどな……」
少し二人と話して、彼女はボクのところに来る。そして、
「ユウヤさんも、シルヤを守ってくれてありがとうございます」
そう言って、頭を下げてきた。
「これぐらい、当たり前だよ」
小さく笑いながらスズエさんを見る。……何か企んでいるという様子はなさそうだ。
それなら、もう少し様子見でいいだろうとそのまま部屋に戻った。
嫌な予感は的中するもので、
「今日はバトルロイアルだぞ」
ご機嫌な様子でそう言われた。まさかここで来るとは思わず、顔を見合わせる。
「参加者は……そうだなぁ、三人で行くか?」
三人……とボクは考え込んでしまう。
今、参加していないのはボクとエレンさん、シルヤ君、スズエさんだ。ボクは確実に参加するとして、参加できるのはあと二人だ。
「……スズ、ここで参加していいか?」
シルヤ君に聞かれ、スズエさんは「あぁ、いいぞ」と頷いた。
そうなると、あとはエレンさんとスズエさんだ。……明日は確実に一人だけで参加することになる。そう考えたら、エレンさんを残した方がいいのかもしれないけど。
「さすがに、高校生二人を守りながらは厳しいですよね……」
スズエさんが呟く。どんな怪物が出てくるか分からない以上、実力の分かっているエレンさんと一緒の方がいいというのは確かだ。
「……エレンさん、お願いします」
スズエさんがエレンさんに頭を下げる。それに彼は目を丸くした。
「スズエさん、いいのですか?明日、一人で立ち向かうことになりますが……」
「大丈夫ですよ。シルヤを守ってください」
彼女のその言葉に、エレンさんは頷く。
三人で闘技場に入ると、ボク達に拳銃が渡された。それを使って倒していけということだろう。
「シルヤ君は後ろに下がってて」
ボクが言うと、シルヤ君は頷いて一歩引いた。
怪物が六体出てくる。図体がでかく、軽く三メートルはありそうだ。
「それじゃあ、始めるぞー。せいぜい足掻いてくれよ?」
ナシカミの言葉を合図に、怪物達はボク達に襲いかかってくる。何とか避けることが出来たが、かなり強かったらしく地面がへこんでいた。
「シルヤ君、私の後ろにいてくださいね」
エレンさんがシルヤ君を守ろうと前に立つ。彼が守ってくれるのなら、ボクもやりやすい。
ボクが威嚇するように一発銃弾を撃つ。その音に反応して、怪物達はボクに狙いを定めた。エレンさんが拳銃を構え、遠くから狙っている。
怪物が襲い掛かってくる。それを見て、ボクはニヤリと笑みを浮かべた。
「『狐火』」
そう唱えると、周囲に炎が出てくる。ボクはそれを怪物に向けて放った。
これが、ボクが戦闘向きである理由だ。ボクは妖狐の血を濃く引いているから狐火を使うことが出来る。だから絶対に勝てると確信していた。
エレンさんも、その百発百中の腕前で怪物を撃ち抜く。シルヤ君も足を狙って撃ってくれた。そのおかげで、戦闘もかなり楽になった。
「ちぇ……つまんねぇの」
倒しきると、ナシカミは本当につまらなそうにつぶやいた。そんな中、スズエさんがシルヤ君とエレンさんに近付いた。
「お疲れ。大変だったな。エレンさんも、ありがとうございます」
「いえ、これぐらいならお安い御用ですよ」
「すっげぇ怖かったけどな……」
少し二人と話して、彼女はボクのところに来る。そして、
「ユウヤさんも、シルヤを守ってくれてありがとうございます」
そう言って、頭を下げてきた。
「これぐらい、当たり前だよ」
小さく笑いながらスズエさんを見る。……何か企んでいるという様子はなさそうだ。
それなら、もう少し様子見でいいだろうとそのまま部屋に戻った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/15:『ちいさなむし』の章を追加。2025/12/22の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/14:『さむいしゃわー』の章を追加。2025/12/21の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/13:『ものおと』の章を追加。2025/12/20の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/12:『つえ』の章を追加。2025/12/19の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/11:『にく』の章を追加。2025/12/18の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/10:『うでどけい』の章を追加。2025/12/17の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/9:『ひかるかお』の章を追加。2025/12/16の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる