『狭間に生きる僕ら 第二部  〜贖罪転生物語〜 大人気KPOPアイドルの前世は〇〇でした』

ラムネ

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王国の真実

眠れる真実を探しに王国へ〜俺はお前のこと、忘れたくなかった〜

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空の色が黒くなって、星がいくつか浮かび始めた。

王国に行くのは、ウルフの方になった。理由は、バットはウルフよりも感情的になりやすいから。二人には王国で処刑されたという残酷な過去がある。あの日、バットに王国に連れていかれた時、バットが自分の処刑される場面を見ていた時、強く手を握りしめすぎて、爪が手の平に食い込んでしまって、血が流れていたのを私は今でも覚えている。

「行くぞ、お前ら」
ウルフが私たちを寝室に連れて行って、夜空に光る青い星を見つめながら、指を鳴らす準備をした。りこちゃんには、刺激を与えるといけないから、「しばらく寝る」と適当にごまかした。別に死ぬわけではないけれど、目の前にいた人たちが急に意識を失って倒れる姿をりこちゃんに見せるわけにはいかない。

「準備はいい?」
彗星さんが一裕を抱きしめる。エメラルドは、青い星を見つめている。蓮くんが私の右手を強く握る。私も強く握り返す。

「行くぞ!」

パチン!

ウルフが指を強く鳴らした。

彗星さんたちが、お互いに抱き合ったまま床に倒れた。

床がグニャグニャする。

天井が回っている。

蓮くんが先に意識を失って、引っ張られるように私も床に倒れた。

朦朧とした意識の中、ぼやけた視界に大きな体のウルフが倒れるのがうっすらと見えた。

私は怖くない。

みんながいるから。

蓮くんが手を握っていてくれるから。


真実への旅が、今、始まった。

✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮✮

「峻お兄さん、お姉さんたち、どこに行った?」

りこに夜ご飯のオムレツを食べさせているときに、皆が倒れる音が寝室から聞こえた。寝室には鍵をかけてある。りこは鍵にはまだ届かない。りこが寝室の方を気にしている。バットはひたすらオムレツを口の中にかき込んでいる。

本当に皆と再会できるのか。

その不安を必死に隠そうとしているように、俺には見えた。
「疲れたから寝るって」
「…お姉さんたち、起きる?」

グワン

なんだ、地震か?

俺は咄嗟にりこの頭を両手で守ったけれど、電気の紐が揺れていない。

気のせいか?

「お姉さんたちと、またお話しできる?」

グワン

また揺れた。
「峻兄さん、先に寝な」
バットが俺をリビングのソファに無理やり座らせた。
「りこの面倒は、俺が見ておいてやるから」
そう言ってバットは、ベランダに干してあった俺の掛布団を取ってきて、ソファに俺を無理やり横たわらせた。
「多分だけど、思い出してほしいんだと思うよ?」
「何を」
バットは俺のことが聞こえなかったのか、いや、聞こえないふりをしてリビングから台所に行ってしまった。

バットがテレビを点けたようだ。りこと一緒に俺の知らないアニメか何かを見始めた。ギャグシーンが多いのか、二人の笑い声がずっと聞こえてくる。
「寝れそうにないんだけどな…」
俺はリビングの電気を消して、全く眠くない眼を無理やりつぶって、ソファに横になった。バットの言葉が気になる。俺は何を思い出さないといけないんだ?

『起きる?』

グワン

誰かの声が頭の中に響いた。頭痛がする。目隠しをしてメリーゴーラウンドに乗っているように、空間が揺れる感じがする。でも、スマホは静かだ。緊急地震速報のアラームはならない。

めまいか?

『またお話しできる?』

グワン

また揺れた。誰が俺の中で話しているんだ。

『ねえ、峻兄ちゃん?』

幼少期の佳奈美の声?
どうして…。

『桜大兄ちゃん、起きるかな?』



…思い出した。

寝室の時計の針が夜を刻んでいく。

りこの言葉を聞いて、めまいがした理由が分かった。りこの言葉が、佳奈美の言葉とそっくりだったから。

佳奈美と一緒に桜大の…たった一人の幼馴染の…お葬式に参列した時の言葉だ。

桜大……俺はお前を忘れていないのに。

『思い出してほしいんだと思うよ?』

バットの言葉を心の中で反芻する。

俺はお前の、何を忘れてしまってたっけ?

俺は目を開けた。なんとなく桜大の気配を感じたから。でも、電気が消えて暗いリビングの天井しか見えない。りこたちの楽しそうな話声が、遠いところから聞こえてくる感じがする。
「夢に…出てくるんか?」
声も顔も笑顔も口癖も、全部覚えているつもりなのに。リビングの窓の外を一筋の光が走った。
「りこちゃん、流れ星だよ。ほら、お願い事言って」
バットたちの声が、俺が水中にいるみたいに、ぼわんぼわんと聞こえた。


何かが窓の外をヒラヒラと舞っている。白にもピンクにも見える。

蝶か?蛾?それか、ただのナイロン袋の破片?

俺は目を細めた。少しだけ何かの輪郭がはっきりした。何かの花びらだ…まさか、いや、今は夏だ。散っているわけがない。


『しゅーん!こっち来いって!』


目の前で誰かが叫んだ。俺は昔から急な物音に弱い。びっくりして顔をあげた。



桜の木…?
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