『狭間に生きる僕ら 第二部  〜贖罪転生物語〜 大人気KPOPアイドルの前世は〇〇でした』

ラムネ

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引き裂かれた双子の宿命

桜の花弁の記憶〜消えていった子供たち〜

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コポコポ…

小さな空気の泡が太陽の光を目指して昇っていく。これは、何かしらの理由で海の底に沈められてからの、今まさに私たちの近くで身体を粉砕された状態で海の底に沈んでいる、真実を示し裁く龍像の記憶だ。

「だいぶ長く記憶を見せちゃったから、ここで今日のところは中断しよう」

随分と長い夢を見ていたような気分。目を開けると、サファイヤは蓮くんが整理していたノートを閉じて右手に持っていた。

そういえば、一裕は?

自分にまつわる壮絶な過去を目の当たりにしたら、自分の娘に関わる不穏な記憶を目にしたら…

「一裕はね、途中で寝たよ」
サファイヤの視線の先には、彗星さんの胸の中で眠っている一裕の姿があった。死んでいるかと勘違いするくらい熟睡している。圭吾くんは、少年の姿でエメラルドに抱かれてスヤスヤと眠っている。エメラルドは圭吾くんの背中を、ウルフは圭吾くんの頭を撫でてあげている。

「ウルフ、現実は今何時だ」
「…午後7時半。そろそろ帰ろう」
サファイヤは持っていたノートを蓮くんに預けると、私たち一人一人の顔を確認するようにゆっくりと顔を回すと、指を鳴らす準備をした。

「…まあ、気になることは大量にあると思うけど、いったん現実に帰ろう。夜ご飯を食べ終えて、りこちゃんと圭吾くんが寝てから、峻兄さんとバットも含めて王国で見た真実の記憶を初めから整理していこう」

コポコポ…

ドーン…

コポコポ…

ドーン…

海の心臓の音みたい。海そのものが、一つの生命体のよう。

パチン

サファイヤが指を鳴らした。

ああ、何だか眠りに落ちる寸前のような快感に包まれる。身体が宙に浮くような感覚。

人間だって、カッコつけて指を鳴らすことくらい、あるんだけどな…何かしらの偶然で異世界に行けちゃったりしてな…。

そんなことを考えているうちに、突然全身が重たくなった。重力が私を地球の中心へと引っ張っている。床が冷たくて硬い。

帰ってきた、アパートに。

「あー、お腹が空いたなー」
ウルフが棒読みで寝室の鍵を開けて扉を開けた瞬間、りこちゃんが台所から走ってきてウルフにピョンと抱きついた。

「沢山寝てたね!夜ご飯、パスタだって」

あ、パスタ。口の中が唾液でいっぱいになる。峻兄ちゃんがパスタ用のお皿を持って、寝室に顔を覗かせた。
「…よう寝たな。冷める前に食え」
彗星さんは、両親が心配するといけないからと言って、運転手さんをアパートに呼ぶと一裕も乗せて帰っていった。

空は黒くなって、三日月が遠慮がちに雲の後ろに隠れている。老朽化して倒れそうになっている街灯が点滅しているのが、窓の外に見える。

「沢山寝たのに、疲れてるの?」
パスタのソースを口の周りに付けたりこちゃんが蓮くんに尋ねると、蓮くんがギクッとしたように、フォークを持っている手を揺らした。
「なんかねー、すごい夢を見ちゃって」
ウルフは大量のトマトが入った真っ赤なパスタを器用な手つきでくるくるとフォークに巻き付けると、大きな口の中に入れた。
「佳奈美」
峻兄ちゃんがりこちゃんの苦手なキノコを自分のお皿に入れてあげている。
「少し相談したいことがあってな…」
「ちょうど良いじゃん」

バットがトマトジュースを飲んでいる。今思うと、やっぱり吸血鬼たちの食事って真っ赤っかだな。

「俺も混ぜてよ。夢の話、気になるもん」
圭吾くんがりこちゃんと一緒に早食い競争をしているのを、エメラルドが喉に詰まらせるといけないからと言って止めさせた。

午後十一時。

圭吾くんとりこちゃんは、既に布団の中で夢の中。

カチ

峻兄ちゃんは台所とリビングの間にある引き戸を、音を立てないようにそっと閉めると、リビングの電気を点けた。

「じゃあ、王国の真実の記憶を皆で一つずつ整理していこうと思う」
サファイヤのささやき声がリビングに、とても静かに響き渡る。
「これ、見て」
蓮くんがノートをリビングの机の真ん中に開けた。

真実は少しずつ、目覚め始めている。

峻兄ちゃんとバットが優先的にノートの内容を見ることが出来るように、蓮くんが二人の前にノートを置いた。峻兄ちゃんとバットの視線は、像の記憶から読み取れた『事実』に集中的に注がれている。

「ふーん、俺たちを守ったあの男、クランシーって名前だったんだ。それで、龍獅国王リオンドールの双子の弟。瞳の色のせいで、初めは兄弟間に確執が生じていたけど、リオンドールの姿勢にクランシーは兄貴、そして王族として受け入れたと」

「クランシーはアンバーっていう女性との間に子供をなしたけど、戦争に行っている間にアンバーが出産直後に亡くなって、クランシーは子供も亡くなったと思い込んだ。だけど、赤ちゃんは無事で伝令に拾われた後、リオンドールの娘として、メイプル第一王女として育っていく。誰も、王女がクランシーの実子だということには気づいていない」

「はあー、なるほどな。圭吾は第一王女の親友ってこういうことだったんだな」


「おい」


二人が交互にノートの内容を声に出して整理していると、峻兄ちゃんがノートのある所を指さした。

『圭吾は桜大の弟だったが、流産してしまって王国に生まれた』

峻兄ちゃんはその行を指さしている。

やっぱり…。

「峻兄ちゃん、桜大兄ちゃんて、あの交通事故で亡くなった…」
峻兄ちゃんの指先が小刻みに震えている。峻兄ちゃんはそれを抑え込むように、数回大きな深呼吸をした。

「実は、相談したいことがある…。圭吾とりこは、本当の兄弟だったかもしれない。りこは…桜大の妹かもしれないんだ…」
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