『狭間に生きる僕ら 第二部  〜贖罪転生物語〜 大人気KPOPアイドルの前世は〇〇でした』

ラムネ

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隠された真実

国王様のおなりだ

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俺達は最初は、アドルフが即位するために第一王女様を襲ったと睨んで獣神国に行った。でも、アドルフはただ、桜大を親友として愛していただけの普通の人だ。アドルフ本人は、初めから悪人でも善人でもなかったのだ。

エメラルドは、アドルフが謎を解く鍵になると言った。一裕の遺骸が、サファイヤの言ったように獣神国にあるのなら、一理ある。

でも、彗星のことは?

第一王女様のことは?

灰色の世界のことは?

ただ、アドルフが鍵の一部分をなしていることは間違いないだろう。

チクタク…チクタク…

時計の針は夜中の1時を過ぎている。気付いたら日にちが変わっていた。

「…あなたのことは私も気になります。しかし、話の続きは明日で宜しいでしょうか。寝室は…一国の王様に雑魚寝をさせるわけにも…」
「気遣い感謝する。案ずるな。私はラルフとともにあちらの雑木林で一夜を明かすとしよう。狼姿になれば夜の寒さなど大差ない」

そう言ってアドルフとエメラルドは狼になると窓から軽々と飛び降りて、雑木林へと走っていった。

「…寝ろ。寝不足は危険だ」
俺達は着替えてもいないのに峻兄さんに寝室に連れて行かれて、敷かれた俺達の布団に押し込まれた。佳奈美も蓮も、一裕も彗星も俺達が帰ってきたことに全く気付いていない。


『彗星、言ってなかったのか。お前が、澄白国の王女だったことを』


エメラルドの昨晩の言葉が脳裏をよぎる。彗星は佳奈美さんと並んで寝ている。彗星と佳奈美の胸が、僅かに上下する。

謎が解けてもいないのに、新たな謎がやって来る。でも俺達は、解いてやる。

謎よ…かかってこい。

俺は高鳴る胸を沈めながら目を瞑った。



「ウルフたちいつ帰ってきたの?」
「真夜中。もう少し寝かせておいてあげようぜ」

台所で佳奈美とバットが話しているのが聞こえる。香ばしい食パンの匂い、まろやかな溶けるチーズの香り。バットが前に俺達に作ってくれたイチゴジュースの匂いもする。

「…もう朝か」
モゾモゾと足を動かして顔に掛かっていた掛け布団を退けると、白い光がカーテンの隙間を抜けて、俺の顔を明るく照らした。

…金太郎?

いや、違うか。サファイヤは金魚姿になって、水槽の中にある拳大の人工石の物陰で眠っている。
「でも、もう10時だけど…」

マジで?

枕元のスマホを手にとってロック画面を開くと9:57と表示されていた。
「やば」

佳奈美たちの会話から察するに、エメラルドとアドルフはまだ雑木林からアパートにやって来てはいないみたいだが、普段のエメラルドの起床時刻を踏まえると、そろそろやって来るはず。

俺は水槽の中のサファイヤを起こして人間姿にさせ、二人で朝の身支度をした。
「あ、起きた」
台所のテーブルに俺達の朝ご飯が用意されていた。丁寧にサランラップがかけられている。現実組と一裕組は既に朝ご飯を食べ終えて、各自学校や塾の課題に取り組んでいる。
「あれ、ウルフ。エメラルドは?」
蓮はエメラルドがまだ寝室にいると思い込んでいるのか、俺とサファイヤの横を通り過ぎて寝室に向かおうとした。
「あ、えっと。エメラルドなんだけど」
サランラップを外しながら、バットが蓮に声を掛けた。峻兄さんは佳奈美と一裕に物理を教えていた。

「ここはフレミングの左手の法則使うんだろ?だから、中指が力で」
「違う。中指は電流の向きだ。力の向きは親指」

ガチャ…

玄関の扉が開く音がする。
「エメラルドがアドルフを連れてきたんだ」
「え?」

俺とサファイヤ、峻兄さん以外が勉強をやめてバットを見た。

「アドルフ様が?!」
彗星は勉強道具を鞄の中に突っ込んで、慌てて自分の身だしなみを整えに洗面所へ向かった。

峻兄さんは勉強を教えるのをやめて、俺達の靴を脇に避けに玄関へ向かった。
「お前ら、勉強やめろ。ウルフとサファイヤは今は朝ご飯を我慢しろ。昼に食べろ。」
峻兄さんは渡り廊下の照明を点けた。

「獣神国王陛下のおなりだ」
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