僕らの青

MA

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第5章:眩い青

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 静寂の中に、微かに機械音のようなものが響いている。

 暗がりの奥で、ぽうっと青白い光が灯った。

「……え、なにこれ」

 目を凝らすと、壁一面に映し出された映像。
 夜空を飛ぶ飛行機、流れる雲。
 その下には古びたソファと、小さなテーブル。

「簡易映画館。ほら、今日お互い退屈でしょ?」

 玲央がリモコンを操作すると、映像が切り替わり、タイトルロゴが浮かび上がった。
 プロジェクターの光が空気の粒を照らし出す。
 その青白い光の中で、玲央が笑った。

「俺、映画好きなんだ。夜にひとりで観るの、落ち着くんだよね」
「へぇ……意外です」
「でしょ?でも、今日はひとりじゃないから、特別」

 “特別”という言葉が、胸の奥に静かに沈んだ。
 玲央はソファの端に座り、脚を組む。
 颯真は少し間をあけて、隣に腰を下ろした。

 スクリーンには、広い空と、少年が走る姿。
 青が画面いっぱいに広がる。

 映画の中の青と、プロジェクターの青。
 その二つの光が混ざり合って、ガレージ全体がやわらかく染まっていた。

 玲央は肘をついて、頬杖をつきながら見ている。
 横顔が、スクリーンの光に照らされて淡く浮かび上がる。
 その姿が、映画のどの場面よりも綺麗に見えた。

 映画の中の光が強くなり、画面の青がふたりの頬を照らした。
 玲央が少し前に身を乗り出した拍子に、肩がかすかに触れる。
 颯真の呼吸が浅くなった。
 わざと視線をスクリーンに固定する。
 でも、視界の端に見えるのは、ほんの数センチ隣の横顔。
 まばたきすら、もったいないと思った。 

 心臓の鼓動が、映画のBGMに溶けていく。
 退屈だったはずの夏が、静かに色を変えていく。

 ――退屈しない。
 この人といると、本当に。

 そう思った瞬間、スクリーンの中で青空がまぶしく広がった。

 ◇

 映画のクライマックスで、少年が海へ走り出す。
 スクリーンの中で青空と波が溶け合い、ガレージの壁いっぱいに光が揺れた。

「……すげぇ」

 思わず声が漏れる。
 玲央は横で、うっすら笑っていた。
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