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第3章第14節 聖地への旅立ち
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数日後。
王都の正門前には、聖教国へと向かう一団の姿があった。
先頭には、豪華な馬車に乗った聖女エリナ。そして、その隣には、苦虫を噛み潰したような顔のレンがいた。
「……フフフ。……レン様。……ついに念願が叶いましたわね」
エリナが、にこやかに微笑みかけた。
「……ええ。……おかげさまで」
レンは、努めて平静を装って答えた。
(……何が念願だよ。……これは強制連行だよ。……完全に人質じゃん)
レンの周囲には、護衛という名目の聖教国の騎士たちが、数十人も取り囲んでいる。彼らの目は、レンを「未来の聖人」と崇める者もいれば、「得体の知れない異端者」と警戒する者もおり、一触即発の雰囲気が漂っていた。
「……レン様! ……お供させていただきます!」
レンの背後から、セシリアが声をかけてきた。彼女は近衛騎士団の精鋭を引き連れ、レンの「真の護衛」として同行することになったのだ。
「……セシリア。……悪いな。……巻き込んでしまって」
「……いえ! ……レン様のお側こそが、私の居場所です! ……レン様に指一本触れさせません!」
セシリアが、剣の柄に手をかけながら、聖教国の騎士たちを睨みつける。
(……うん。頼もしいけど、頼むから喧嘩はしないでね。……俺の胃が持たないから)
「……ククク。……聖地巡礼とは、なかなか興味深い。……深淵の真理に近づける予感がします」
アリアも、不敵な笑みを浮かべながらついてきている。彼女の周囲には、制御不能な魔力がバチバチと迸っており、聖教国の騎士たちも、流石に彼女には近づこうとしなかった。
(……アリア、お前も頼むから暴走しないでくれよ。……向こうの本拠地で魔法使ったら、即処刑だからな)
レンは、二人の「勘違い弟子」たちを見ながら、深い溜息をついた。
そして、何よりも厄介なのが――。
「……グルルゥ……」
上空には、レンの笛に導かれたドラゴンが、巨大な影を落としていた。
エリナをはじめ、聖教国の騎士たちは、皆、蒼白な顔でドラゴンを見上げている。
「……レ、レン様。……まさか、彼も連れて行くのですか?」
エリナの声が、初めて震えた。
「……ええ。……彼も、神の祝福を受けたいと申しておりまして」
レンは、ニッコリと笑った。
(……嘘だよ。……俺が怖いから連れて行くだけだよ。……お前らに対する最大の抑止力だからな)
エリナは、それ以上何も言えなかった。古龍を従える男。その「力」の前に、彼女は沈黙するしかなかった。
「……さあ、エリナ様。……参りましょう。……教皇猊下がお待ちです」
レンは、不敵な笑みを浮かべて馬車に乗り込んだ。
(……行くぞ、聖地イス。……待ってろよ、教皇。……俺のメンタリズムで、お前らの洗脳を解いてやる!)
レンの決意とは裏腹に、彼の胃袋はすでに限界を迎えようとしていた。
こうして、レンの「地獄の聖地巡礼ツアー」が、幕を開けた。
王都の正門前には、聖教国へと向かう一団の姿があった。
先頭には、豪華な馬車に乗った聖女エリナ。そして、その隣には、苦虫を噛み潰したような顔のレンがいた。
「……フフフ。……レン様。……ついに念願が叶いましたわね」
エリナが、にこやかに微笑みかけた。
「……ええ。……おかげさまで」
レンは、努めて平静を装って答えた。
(……何が念願だよ。……これは強制連行だよ。……完全に人質じゃん)
レンの周囲には、護衛という名目の聖教国の騎士たちが、数十人も取り囲んでいる。彼らの目は、レンを「未来の聖人」と崇める者もいれば、「得体の知れない異端者」と警戒する者もおり、一触即発の雰囲気が漂っていた。
「……レン様! ……お供させていただきます!」
レンの背後から、セシリアが声をかけてきた。彼女は近衛騎士団の精鋭を引き連れ、レンの「真の護衛」として同行することになったのだ。
「……セシリア。……悪いな。……巻き込んでしまって」
「……いえ! ……レン様のお側こそが、私の居場所です! ……レン様に指一本触れさせません!」
セシリアが、剣の柄に手をかけながら、聖教国の騎士たちを睨みつける。
(……うん。頼もしいけど、頼むから喧嘩はしないでね。……俺の胃が持たないから)
「……ククク。……聖地巡礼とは、なかなか興味深い。……深淵の真理に近づける予感がします」
アリアも、不敵な笑みを浮かべながらついてきている。彼女の周囲には、制御不能な魔力がバチバチと迸っており、聖教国の騎士たちも、流石に彼女には近づこうとしなかった。
(……アリア、お前も頼むから暴走しないでくれよ。……向こうの本拠地で魔法使ったら、即処刑だからな)
レンは、二人の「勘違い弟子」たちを見ながら、深い溜息をついた。
そして、何よりも厄介なのが――。
「……グルルゥ……」
上空には、レンの笛に導かれたドラゴンが、巨大な影を落としていた。
エリナをはじめ、聖教国の騎士たちは、皆、蒼白な顔でドラゴンを見上げている。
「……レ、レン様。……まさか、彼も連れて行くのですか?」
エリナの声が、初めて震えた。
「……ええ。……彼も、神の祝福を受けたいと申しておりまして」
レンは、ニッコリと笑った。
(……嘘だよ。……俺が怖いから連れて行くだけだよ。……お前らに対する最大の抑止力だからな)
エリナは、それ以上何も言えなかった。古龍を従える男。その「力」の前に、彼女は沈黙するしかなかった。
「……さあ、エリナ様。……参りましょう。……教皇猊下がお待ちです」
レンは、不敵な笑みを浮かべて馬車に乗り込んだ。
(……行くぞ、聖地イス。……待ってろよ、教皇。……俺のメンタリズムで、お前らの洗脳を解いてやる!)
レンの決意とは裏腹に、彼の胃袋はすでに限界を迎えようとしていた。
こうして、レンの「地獄の聖地巡礼ツアー」が、幕を開けた。
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