ステータスなしの元人気メンタリスト、異世界の最強ドラゴンをお手だけで服従させる~目を見ただけで思考が読めるので、魔法使いが詠唱してくれません

マーマー

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第4章第3節 魔女裁判の開廷

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 異端審問官ガイウスの襲撃から一夜が明けた。
 レンは、離宮の自室で、重苦しい朝を迎えていた。左手の薬指には、再びエリナによって「聖縛の鎖」が巻かれ、体の自由を奪われている。

 (……はぁ。……昨日は一時的に解放してくれたのに、またこれかよ。……エリナのやつ、完全に俺をペット扱いしてやがる……)

 レンは、動かない体でベッドに横たわりながら、天井を見つめてため息をついた。胃の奥が、シクシクと痛む。

 コンコン、と控えめなノックの音がして、扉が開いた。
 入ってきたのは、エリナ……ではなく、セシリアだった。彼女の顔は、昨日までの怒りや無力感とは違う、焦燥感に満ちていた。

「……レン様。……起きておられますか?」
「……ああ。……おはよう、セシリア」

 レンは、努めて平静を装って答えた。体が動かないので、首だけを彼女の方に向ける。

「……レン様。……大変です。……アリア殿が……」

 セシリアの声が震えている。

「……今朝早く、異端審問局の者が来て、アリア殿を連行していきました。……正式な『魔女裁判』の召喚状を持って……」

 ――来たか。
 レンの脳裏に、昨日のガイウスの捨て台詞が蘇る。「必ず裁判にかける」という執念が、現実のものとなったのだ。

「……そうか。……エリナ様は?」
「……エリナ様は、教皇猊下に呼び出され、大聖堂へ向かわれました。……おそらく、この件についてかと」

 レンは、瞬時に状況を分析(スキャン)した。
 ガイウスは、エリナが不在の隙を狙ってアリアを連行したのだ。そして、教皇はエリナを呼び出すことで、彼女が直接介入できないように足止めをしている。
 つまり、これは審問局派による、計画的な「聖女派潰し」のクーデターだ。

 (……くそっ。……完全にハメられた。……俺たちが人質にとられている以上、エリナも下手な動きはできない。……このままじゃ、アリアが火炙りに……!)

 レンの胃痛が、限界を超えて悲鳴を上げた。

「……レン様。……どうなさいますか? ……私が騎士団を率いて、審問局へ乗り込みましょうか?」

 セシリアが、剣の柄に手をかけて言った。彼女の目には、決死の覚悟が宿っている。

「……馬鹿を言うな。……そんなことをすれば、それこそ相手の思う壺だ。……我々は『国賓』だぞ。……武力行使は、ロムレスと聖教国の全面戦争を引き起こす」

 レンは、動かない体で精一杯の虚勢を張り、セシリアを止めた。

「……では、どうすれば……! ……このままでは、アリア殿が……!」
「……落ち着け、セシリア」

 レンは、深く息を吸い込み、自分の動揺を鎮めた。
 (……落ち着け、俺。……パニックになるな。……メンタリストだろ。……状況を冷静に分析しろ……)

 レンは、思考を巡らせた。
 武力では勝てない。魔法も使えない。自分は拘束されている。
 だが、彼にはまだ、最強の武器が残されていた。

 「言葉」だ。

「……セシリア。……私の服を持ってきてくれ。……一番、上等なやつを」

 レンは、不敵な笑みを浮かべた。

「……裁判か。……面白いじゃないか。……受けて立とう」

 (……嘘だよ! ……全然面白くないよ! ……行きたくないよ! ……でも、やるしかないだろ! ……アリアを見殺しにはできない!)

 レンの内心は、ビビりまくっていた。だが、その恐怖こそが、彼の脳細胞をフル回転させる原動力となる。

「……レン様……!」

 セシリアの目に、涙が浮かんだ。彼女には、レンの姿が、逆境に立ち向かう真の英雄のように見えているのだ。

「……かしこまりました! ……直ちに準備いたします!」

 セシリアが、部屋を飛び出していった。

 数時間後。
 レンは、セシリアの手を借りて、どうにか身支度を整えた。黒を基調とした、賢者らしいローブ。左手の薬指の鎖は、袖の中に隠した。
 体は依然として重いが、気力だけで立っている。

「……行くぞ、セシリア。……我々の戦場へ」

 レンは、セシリアに支えられながら、離宮を出た。
 目指すは、大聖堂に隣接する、異端審問局の本部。「魔女裁判」が開かれる、狂気の法廷だ。

 (……待ってろよ、ガイウス。……そして、アリア。……俺の『話術』で、この狂った裁判をひっくり返してやる!)

 レンの胃は、今にも破裂しそうだったが、彼の瞳は、戦意に燃えていた。
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