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異世界勇者、世界と強くなる
勇者、魔法を改良する、あと爆発する。
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「だーかーらー、あんなことあったってキヨコに言ってもどうせ与太話かなんかだと思うでしょって話!」
「そこから漏れる秘密もあるから怒ってるんですよ!それにキヨコちゃんの純粋さを甘く見ないでください!キタさんから言われたこと全部信じるんですからね!未だに貴女のバンド空飛ぶって言っているんですから!なんでそんな嘘ついたんですか!」
俺は今、やいやい言う2人を尻目に、久々の魔法研究に勤しんでいる。世界一の魔法使いが隣に来るまでは結構色々していたんだがな、もう一度自分の魔法を見直す日が来るとはな。
現状の札の効率が一番いいとまで思っていたからな。容量の最適化なんて思いつきもしなかった。
「なるほど、燃焼効果を考えると炎、風以外に少量の水と雷があったほうがいいのか」
これだけで劇的に燃焼効率が上がる。すげぇな化学。魔法という力がある以上俺らの世界では軽視されがちだが、こういう搦め手においては無類の力を貸してくれるな。学問としても優秀だ、本格的に授業の改革として入れるべきだよな。
威力を確かめるために札を起動する。魔力量はごく少量で、この程なら危害はないだろう
と思ったら思いのほか威力が大きかった。ちょっと顔が焦げる。あっぶな。あっぶな!こんなに威力上がるのかよ。じゃあ十全に魔力を込めたらどんな攻撃力になるのか。
「あ、そういえばこの衝撃札、前にちょっと解析してみたんですけど、魔力をそのまま運動エネルギーに置換する術式組まれているじゃないですかー」
キタさんとの口論が終わったのか、信吾が話しかけてきた。確かにその通りで、札の耐久力と俺の耐久力の両面から算出されたぎりぎりの威力がこれだ。これ以上威力を上げようものなら打つ瞬間に札がはじけ飛んであらぬ方向に衝撃が飛び、俺の骨もあらぬ方向に飛び出ること間違いなしだ。
「この札、材質変えて威力分散式後ろに組み込んでみたものがこれなんですけど」
「もう既に???」
信吾がパソコン周りをごそごそとして、何枚かの札を差し出してきた。材質は金属、しっかりと衝撃札の術式が、俺の今持っているものの十倍ほどの威力で成り立っている。この術式ならいままでの魔力の倍程度の消費でいけるな。
なんなんだ信吾。俺よりよっぽど魔術の才能あるじゃねぇか。なんでこう、ホントなんなんだお前。
「なんというかまぁ、器用だねぇアンタ。凄いよ。ちょっと今度アタシたちのライブの照明係とかやってみないかい?」
信吾の器用さに目を付けたキタさんが自陣に組み込もうとしている。ダメだぞキタさん。うちの子だから。
「興味ないんでいいですー」
「そりゃ残念」
あっさり断られた。少し嬉しい反面、もう少しかまってあげなよとも思ってしまう。面倒な俺だなぁと我ながら思ってしまった。
「それとほら、キタさん用の札も作ってみましたよ」
「え?アタシ用かい?なんだか悪いねぇ、一体どんな力なんだい?バーッと空を飛べたりする感じ?それとも凄いデカい剣で相手をズバーっと切るとか?」
そう期待するキタさんに渡された札は、え?うわ、こんな
「キタさんの中にあるほぼの魔力を直径一センチの塊に圧縮して打ち出します。マッハ5の速度で打ち出された魔力は対象に接触した瞬間どんなものでも30m単位で完全に消失させます。射程は実質無限ですが、うっかり自分を消してしまわないよう撃ってから30mまでは消失現象が起こらないようになっています」
「……えーと?つまり?」
「一回こっきりですけど、撃ったら敵が死にます」
必殺技ですね。などという信吾の言葉が、部屋の中で空虚に響いた。
この技術は、俺の世界でいう「対国魔法」というもので、通常数百人の魔法使いが数か月かけて城壁に穴をあけるために打ち出す最高にトチ狂ったものだ。
人1人の身で、ということならアージュも使うことが出来たが、せいぜい人間がかがんで通れる穴を作るのが精いっぱい。それを、なんだ、その30倍ほどの威力がでるってことか。マジかよお前。
いや、俺も作ったことはあるよ対国魔法の札。でもこんなに精密に作れなかった。消滅させる塊は射出された瞬間から効果を発揮するから地面に一度でも着いた瞬間その場が消し飛ぶし、そんなもんをソコンのおっさんに使わせたら絶対にミスって自分たちが消えることになるからな。
そんな過剰な切り札を貰ったキタさんは
「……す、すっごー!つっよ!アンタ流石だねぇ!めっちゃ撫でちゃお」
信吾を凄い撫でてた。嫌がりながら、でもまんざらでもなさそうな顔しながら信吾は撫でられる。
でもあれだな、キタさんのその顔、手放しで喜んでいる感じでもないな。
「ま、まだまだこんなもんじゃあないですから!続いて装備品の紹介をさせてもらいますよ!ついてきてください!」
照れくさそうに部屋を出ていく信吾、残された俺とキタさん
「……アタシにこれは過剰すぎる代物だね」
「まぁ、そうかもしれないな」
「だけどアンタのピンチとあらば躊躇なく撃つからねアタシは」
それはそれでキタさんらしいけど、その宣言はどうなんだ……
「だからまぁ、アンタはアタシにコレを撃たせないくらい強い人間になりな。信吾から聞いたよ。頑張ってるんだろ?最近」
「発破の掛け方」
バイオレンスが過ぎるよキタさん……
「お二人ともー!早く来てくださいよー!」
「今行くから待ってろー!……頑張るから、マジでそれ使わないでくれよ」
「シモン次第かな」
そういってウインクするキタさんは、とってもとってもかわいく見えた。
「そこから漏れる秘密もあるから怒ってるんですよ!それにキヨコちゃんの純粋さを甘く見ないでください!キタさんから言われたこと全部信じるんですからね!未だに貴女のバンド空飛ぶって言っているんですから!なんでそんな嘘ついたんですか!」
俺は今、やいやい言う2人を尻目に、久々の魔法研究に勤しんでいる。世界一の魔法使いが隣に来るまでは結構色々していたんだがな、もう一度自分の魔法を見直す日が来るとはな。
現状の札の効率が一番いいとまで思っていたからな。容量の最適化なんて思いつきもしなかった。
「なるほど、燃焼効果を考えると炎、風以外に少量の水と雷があったほうがいいのか」
これだけで劇的に燃焼効率が上がる。すげぇな化学。魔法という力がある以上俺らの世界では軽視されがちだが、こういう搦め手においては無類の力を貸してくれるな。学問としても優秀だ、本格的に授業の改革として入れるべきだよな。
威力を確かめるために札を起動する。魔力量はごく少量で、この程なら危害はないだろう
と思ったら思いのほか威力が大きかった。ちょっと顔が焦げる。あっぶな。あっぶな!こんなに威力上がるのかよ。じゃあ十全に魔力を込めたらどんな攻撃力になるのか。
「あ、そういえばこの衝撃札、前にちょっと解析してみたんですけど、魔力をそのまま運動エネルギーに置換する術式組まれているじゃないですかー」
キタさんとの口論が終わったのか、信吾が話しかけてきた。確かにその通りで、札の耐久力と俺の耐久力の両面から算出されたぎりぎりの威力がこれだ。これ以上威力を上げようものなら打つ瞬間に札がはじけ飛んであらぬ方向に衝撃が飛び、俺の骨もあらぬ方向に飛び出ること間違いなしだ。
「この札、材質変えて威力分散式後ろに組み込んでみたものがこれなんですけど」
「もう既に???」
信吾がパソコン周りをごそごそとして、何枚かの札を差し出してきた。材質は金属、しっかりと衝撃札の術式が、俺の今持っているものの十倍ほどの威力で成り立っている。この術式ならいままでの魔力の倍程度の消費でいけるな。
なんなんだ信吾。俺よりよっぽど魔術の才能あるじゃねぇか。なんでこう、ホントなんなんだお前。
「なんというかまぁ、器用だねぇアンタ。凄いよ。ちょっと今度アタシたちのライブの照明係とかやってみないかい?」
信吾の器用さに目を付けたキタさんが自陣に組み込もうとしている。ダメだぞキタさん。うちの子だから。
「興味ないんでいいですー」
「そりゃ残念」
あっさり断られた。少し嬉しい反面、もう少しかまってあげなよとも思ってしまう。面倒な俺だなぁと我ながら思ってしまった。
「それとほら、キタさん用の札も作ってみましたよ」
「え?アタシ用かい?なんだか悪いねぇ、一体どんな力なんだい?バーッと空を飛べたりする感じ?それとも凄いデカい剣で相手をズバーっと切るとか?」
そう期待するキタさんに渡された札は、え?うわ、こんな
「キタさんの中にあるほぼの魔力を直径一センチの塊に圧縮して打ち出します。マッハ5の速度で打ち出された魔力は対象に接触した瞬間どんなものでも30m単位で完全に消失させます。射程は実質無限ですが、うっかり自分を消してしまわないよう撃ってから30mまでは消失現象が起こらないようになっています」
「……えーと?つまり?」
「一回こっきりですけど、撃ったら敵が死にます」
必殺技ですね。などという信吾の言葉が、部屋の中で空虚に響いた。
この技術は、俺の世界でいう「対国魔法」というもので、通常数百人の魔法使いが数か月かけて城壁に穴をあけるために打ち出す最高にトチ狂ったものだ。
人1人の身で、ということならアージュも使うことが出来たが、せいぜい人間がかがんで通れる穴を作るのが精いっぱい。それを、なんだ、その30倍ほどの威力がでるってことか。マジかよお前。
いや、俺も作ったことはあるよ対国魔法の札。でもこんなに精密に作れなかった。消滅させる塊は射出された瞬間から効果を発揮するから地面に一度でも着いた瞬間その場が消し飛ぶし、そんなもんをソコンのおっさんに使わせたら絶対にミスって自分たちが消えることになるからな。
そんな過剰な切り札を貰ったキタさんは
「……す、すっごー!つっよ!アンタ流石だねぇ!めっちゃ撫でちゃお」
信吾を凄い撫でてた。嫌がりながら、でもまんざらでもなさそうな顔しながら信吾は撫でられる。
でもあれだな、キタさんのその顔、手放しで喜んでいる感じでもないな。
「ま、まだまだこんなもんじゃあないですから!続いて装備品の紹介をさせてもらいますよ!ついてきてください!」
照れくさそうに部屋を出ていく信吾、残された俺とキタさん
「……アタシにこれは過剰すぎる代物だね」
「まぁ、そうかもしれないな」
「だけどアンタのピンチとあらば躊躇なく撃つからねアタシは」
それはそれでキタさんらしいけど、その宣言はどうなんだ……
「だからまぁ、アンタはアタシにコレを撃たせないくらい強い人間になりな。信吾から聞いたよ。頑張ってるんだろ?最近」
「発破の掛け方」
バイオレンスが過ぎるよキタさん……
「お二人ともー!早く来てくださいよー!」
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