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赤に囚われる
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額にじんわりと滑った汗が滲む。
拭う事も出来ずに、その場に立ち竦んでいた。
気づいた時には、空虚な白い箱の中に居た。
ボクの心を支配しているのは虚無だけだったのに。
何が始まるんだ。
「さぁ、どの赤い紐を引く?」
響き渡る誰かの声が、脳幹を刺激する。
気づくと、目の前に無数の赤い紐が、ぶら下がっていた。
見上げても、靄に覆われて見通せない。
褪せてくすんだ朱色の紐は、ずっと誰も引かなかったのだろうか?
紛れるように真新しい鮮やかな赤い紐も点在している。
赤に覆われて、息苦しさを覚え、目を背けたくなる。
得体の知れない恐怖心が込み上げ、胸が一層締め付けられる。
『怖い、またあんな想いはしたくない。裏切られたくない──』
この『想い』とは何だろうか?
知らない。分からない。
記憶が、無い。
目の前にある無数の赤い紐たちに問う。
過去に此処へ訪れた者達は、選択した紐に何を感じて決断したのだろうか?
ぼんやりと全体を見回してみると、ふと目に止まった紐があった。
紐の先端には、長く透き通る程に艶やかな毛髪が螺旋状に絡まっていた。
どうしても気になってしまう。
吸い込まれるように惹かれてしまう。
そっと、手を伸ばして触れた瞬間、ボクの全身が光に包まれた。
「いってらっしゃい。今度こそは、良い人生を──」
拭う事も出来ずに、その場に立ち竦んでいた。
気づいた時には、空虚な白い箱の中に居た。
ボクの心を支配しているのは虚無だけだったのに。
何が始まるんだ。
「さぁ、どの赤い紐を引く?」
響き渡る誰かの声が、脳幹を刺激する。
気づくと、目の前に無数の赤い紐が、ぶら下がっていた。
見上げても、靄に覆われて見通せない。
褪せてくすんだ朱色の紐は、ずっと誰も引かなかったのだろうか?
紛れるように真新しい鮮やかな赤い紐も点在している。
赤に覆われて、息苦しさを覚え、目を背けたくなる。
得体の知れない恐怖心が込み上げ、胸が一層締め付けられる。
『怖い、またあんな想いはしたくない。裏切られたくない──』
この『想い』とは何だろうか?
知らない。分からない。
記憶が、無い。
目の前にある無数の赤い紐たちに問う。
過去に此処へ訪れた者達は、選択した紐に何を感じて決断したのだろうか?
ぼんやりと全体を見回してみると、ふと目に止まった紐があった。
紐の先端には、長く透き通る程に艶やかな毛髪が螺旋状に絡まっていた。
どうしても気になってしまう。
吸い込まれるように惹かれてしまう。
そっと、手を伸ばして触れた瞬間、ボクの全身が光に包まれた。
「いってらっしゃい。今度こそは、良い人生を──」
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