symbolic【短文・詩】

琥珀

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落とし穴

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あの時は気づかなかった

遥か先まで見通せる
平坦な直線の舗装された道に
大きな落とし穴があるなんて

一度堕ちたら
抜け出すのは困難で
それでも もがいて もがいて 声を張る
空洞の中 響き渡る
崖下の虚しい反響

自分以外に誰が救うの
誰もこないよ
心の叫びは 血を溢して
黒い滲みは 身体を汚して
無気力を垂れ流した 奇妙な生き物に変わる

頭から角が生えてきた
落とし穴を作った人々に対する憎悪が体現しただけ

そうか
この空間は

君の心の中だったんだ


(2021年 作)

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