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 どうせ田舎で壺かパン作るくせに

 歴史は繰り返す

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「でね」
「はい」
「俺が言いたいのは」
「先輩が言いたいのは」

「十年後か十五年後に、インドに浅野アツコみたいな人が現れて」
「はい、現れて」
「インドはいずれ世界の中心になるんだ、アメリカを超えて、西洋を超克して、世界の中心になるんだって言うのね」
「はいはい」
「で、更に十年、十五年経つと」
「はい、経つと」
「日本の様に、中国の様に、経済的にダメになる、まぁ正しく言うと、成長を終える」
「そうですね」
「そしたら、そのインドの浅野アツコは」
「はい、浅野アツコは」
「田舎で、パンだか壺だかを作って」
「はい、作って」
「人生お金じゃないと、本当に大切なものはお金じゃ買えないとかいうの」
 ハハハハハハッ、と吉田が笑う。

「それでインドの大地ヤスオさんは、首を吊ってんの」
「吊ってないから、大丈夫だから」


「つまり俺が言いたいのは」
「先輩が言いたいのは」
「歴史は繰り返すって話」

「・・・・・先輩」
「んんん?」
「やっぱり、後世の歴史家たちじゃないですか」
「ハハハハハハッ、違うって言ってんだろ」
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