佐々木と吉田 アニメ声優に必要なのは、お約束のギャグ編

世の中、固定観念で出来ている

「まぁ、とにかくさぁ」
「はい、とにかく」
「俺はこの・・・・・・・」
　佐々木が指を回す。
「自分たちのモノ感、その作品が存在する権利を売ったら売れると思うんだけどね」
「うんんんんん、言ってる事は分かります」
「下手したらさぁ、こっちが主流になると思うのね」
「はいはいはい」

「さっきのアニメの話で言えば・・・・」
「はい」
「ハードディスクに録画してるのに、わざわざDVD買う必要ないじゃん」
「そうですね、まして最近は配信サービスもあるのに」
　そうだろ、と佐々木が言う。

「だったらさぁ、欲しいものっていうか・・・・」
　佐々木が首を捻る。
「望みはシーズン2っていうか、続きを観るってことなんだからさぁ」
「そうですね」
「それに直接金払えばいいんじゃないのって話」
「はいはいはいはいはい」
　吉田は苦笑する。

「先輩の言ってる事は分かります」
　苦笑いをしたまま、吉田は言う。
「だけど・・・・これを言うと先輩怒りますけど」
「ああっ」
「世の中固定観念で出来てるから」
　ハハハハハハハハッと佐々木は笑う。怒らずに笑う。
「常識っている固定観念で出来てるから」

「そうだな」
「納得しました」
「納得はしない」
「しないんすか？」
「しないけど・・・・・・」
　ニヤリと佐々木は笑う。
「固定観念で出来てると言うことを、肯定はする」
「納得はしないけど？」
「納得しないけど」
　佐々木は頷き、二人は笑う。