佐々木と吉田     最も安い人気漫画の作り方編

zurvan496

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自分たちのモノ感を売る

 アンケートハガキ

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「例えばの話ね」
「例えばの話」
「ウソんこの話」
「ウソんこの話・・・・って自分でも言ってるじゃ無いですか」
 吉田が苦笑する。
「こち亀が終わる前にさぁ、俺がこのシステム知ってて、もっと言えば、こち亀が終わるかもしれないってこと知ってたとしてな」
「はいはい」
「俺はこち亀終わって欲しくないからさぁ、週刊少年ナニガシをさぁ、四万円出して二百冊買うのね」
「買うんすか?」
「仮にの話ね」
「ウソんこの話で」

「で、その二百冊のアンケートハガキを取って、こち亀最高、終わるなんてあり得ない、ってハガキを送るわけじゃん」
「ハハハハッ、はいはいはい」
「それでね、こち亀が順位一位になったとは、俺も思わん」
「はい」
「ただ打ち切りは回避出来たんじゃないのかぁぁ、と思うのね」
「どうでしょう」
 腕を組みながら吉田は眉を寄せる。
「システム分かんないから、なんとも言えませんけど俺は無理だと思いますよ」
「まぁいいよ」
 佐々木が首を振る。
「俺はイケると思うのね」
「うぅんん、はい」

「でね」
「はい」
「ここで重要なのは・・・」
 佐々木が指をクルクル回す。
「漫画雑誌っているのは、漫画を読むってことに二百円払っているわけじゃん」
「そうですね」
 吉田は同意して頷く。
「ただそれは出版社側の意図というか、望みな訳じゃん」
「うんうん、はいはいはい」
「別にこっちがそれに従う必要はないじゃん」
「そうっすね」

「例えば漫画家になりたい子供が、漫画を模写しても良いじゃん」
「はい、そうですね」
「なんか焚き火をするのに燃やす物が無いから、買って来て燃やしても良いじゃん」
「まぁ、そうですけど」
 ハハハハッと吉田は笑う。
「他で言うと、テレビの高さが低いなぁ、って思ったら、下に敷けば良いじゃん」
「テレビ台買えよ」
 呆れて吉田が繰り返す。
「それはテレビ台を買って下さい」

「まぁそうだけど」
 一度佐々木が首を回す。
「とにかくさぁ、二百円で買った漫画雑誌を何に使おうと、それはこっちの自由じゃん」
「そうですね」
「敢えて言うと、コピーして売るとかしない限り」
「コピーって・・・」
 原始人だな、と吉田が笑う。
「ネットに違法にアップするといか言って下さいよ」
「まぁまぁまぁ、なんでもいいけどさぁ」

「で、その違法で無い範囲で自由にしていい事の一つとして、俺は二百円で読むって行為じゃなく、こち亀を、大好きな漫画を存在させるって行為に、二百円使う訳じゃん」
「はいはいはい、意味わかりました」
「でさぁ」
「はい」
「これから今言った事と矛盾すること言うんだけどさぁ」
「なんで?」
 ハハハハハッ吉田が笑う。
「矛盾すること言わないで下さい」
「仕方ない」
「いや、仕方なく無いですよ」
 いやいやいやいや、と佐々木は首を振る。
「世の中矛盾の塊だから」
「・・・・・まぁもう、なんでもいいですよ」
 吉田は苦笑する。
「好きにして下さい」
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