佐々木と吉田     最も安い人気漫画の作り方編

zurvan496

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自分たちのモノ感を売る

 ウソんこの話

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「俺、こち亀好きじゃん」
「好きですねぇ」
 ていうか・・・・と吉田は続ける。
「こち亀以外の漫画、読まないじゃないですか」
「まぁ、そうやね」

「でね」
「はい」
「俺がこんなにこち亀好きにも関わらず、こち亀という漫画は終わってんじゃん」
「こち亀も終わって結構経ちますよね」
 それで・・・・と佐々木は首を回す。
「仮にの話」
「はい」
「たとえばの話」
「はいはい、たとえば」
「もしもの話」
「ウソんこの話ですね」
「・・・・四十過ぎたおっさんが、ウソんことか言うな」
「いいじゃないですか別に、というか、むしろ若者の方がウソんこって言わないですよ」

「まぁ、とにかくウソんこの話、本当じゃない話」
「はい」
「こち亀の作者が、こち亀を再開すると」
「はい」
「で、それをネットで再開して、さっきのなんだっけ?ウエブ漫画?えっと・・・」
「ツイッター漫画」
「そうそう、そのツイッター漫画で再開すると」
「はい」
「それで描くのに金がかかると」
「はい、そうっすね」
「でそれを、クラウドファウンディングって言うの?なんかそう言うのあるじゃん」
「はいはいはい」
 ハハハハッと吉田は笑う。
「そう言うので、まぁ三百万、集まったらこち亀を描くって言うのね」
「はい・・・・例えばですね」
「そうそうそう、もちろんこんな話、本当は無いよ」

 でね、と佐々木が話を続ける。
「そしたら俺は、ああっ、じゃぁ三百円ぐらいお金出す訳ね」
「はい・・・・もうちょっと出しましょうよ」
「まぁまぁいいじゃん」
「まぁいいですけど」
「で、こち亀好きな好きな人って多いじゃん」
「多いですね」
「で熱狂的な人が、一人で十万とか出すわけじゃん」
「そうですね・・・・でもそれって不公平ですよね」
「んん?」
 佐々木は首を傾げる。
「いや、先輩は三百円しか出してないのに、十万出してる人と同じように読めるのって不公平じゃ無いですか」
「いやいや、違うって」
 佐々木は首を振る。
「読みのはタダだよ」
「はぁ?」
「読むのはタダで読めるんだよ」
「・・・・・・じゃな何にお金払っているんですか?」
「こち亀がこの世に存在するっていう事に、俺は三百円、熱狂的な人は十万払ってるんだよ」
「・・・・・・そんな事にお金払う人、いないでしょう」
「じゃぁなんで、応援上映の腐のつくお姉さんは金払うんだよ」
「あっそうか」
 そうそうそう、と佐々木が手を振る。

「そう言う話ですか」
「そう、今俺はそういう話をしてるのね」
 はいはいはい、と吉田が頷く。
「でね、話変わるんだけど」
「変わるんだ」
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