佐々木と吉田     最も安い人気漫画の作り方編

zurvan496

文字の大きさ
18 / 70
絶対にやりません、あくまで空想の話

 プロだから

しおりを挟む
「でもまぁ真面目な話・・・・・真面目な話?」
 吉田は自分の言葉に自分でツッコむ。
「出版社も何か対策してると思いますよ」
「そうかな」

「そもそも論としてね」
 ポリポリと吉田は背中を掻く。
「俺が週刊少年ナニガシで連載している漫画家なら、連載が決まった時に、家族や親戚、友達に電話しまくって、後で必ず返すから、十冊でも二十冊でもいいから漫画買ってアンケートハガキ送って、って頼みますよ」
 ハハハハッと笑い、
「それじゃあ、人気漫画家に必要なのは、絵のうまさでもお話のうまさでもなく、友達の数?」
と佐々木が言う。
 まぁ、そうですね、と吉田も笑いながら頷く。

「要は俺が言いたいのは・・・・」
 吉田が告げる。
「そんな先輩のような怪しい業者に頼まず、知ってる人に頼むって事です」
 うんうん、と佐々木が頷く。
「俺が例えば、甥っ子とかが漫画家になって、おじさん頼むよ、って言われたら、まぁ二千円くらいは・・・」
「かわいい甥っ子のために?十冊?」
「まぁ、十冊・・・・・二千円出すのはいいけど、十冊買うのとハガキを送るのと、十冊処理するのがメンドくさいですね」
「ハハハハッ、漫画家に必要なのは、金持ちで、雑誌を処分するのがめんどくさく無いおじさん」



「でもさぁ吉田」
「はい」
「それだとさぁ、出版社がそのハガキをチェックしている時にさぁ」
「はいはい」
「こいつ作者と同じ苗字だぞ、とか、同じ住所から大量に送られているぞ、ってバレうじゃん」
「そうっすね」
「そのへん、俺プロだから」
「何のプロなんですか?」
 笑いながら吉田が言うと、
「知らん」
と佐々木が応える。

「だからプロの俺に任せてくれれば・・・・・」
「何のプロかわからんけど」
 ハハハハッまぁそうだけど、と言って佐々木は話を続ける。
「電話帳見ながら架空の住所と名前を・・・・」
 ハハハハハッと吉田が笑う。

 違う違う、と吉田が首を振る。
「俺が言いたいのはね、先輩」
「ああっ」
「その家族や友達に頼んだりする奴が絶対居るんだから、毎週必ず編集部で集まって会議すんじゃないんすかねぇ、って話」
 ふんふん、と佐々木が相槌を打つ。
「そこでさぁ、今、この作品に千票も入るなんておかしい、みたいな事になるんじゃなかってこと」
「いや、そこ俺プロだから」
「だから何のプロなんすか」
 吉田が笑う。

「作者が千票頼むね、って依頼が来た時に、今、千票入ると疑われます、五百票にしときましょう」
 ハハハハハッと吉田は笑う。
「ただまぁ、こちらはお客さま第一主義ですから」
「当然、当然」
「先生がどうしても千票にしてくれって言うなら、そうしますけど、って俺は答えるわけじゃん」
 ハハハハハハハハッと吉田は笑いが止まらない。


「あのさぁ」
「はい」
「思うんだけどさぁ」
 軽く笑いながら佐々木が言う。
「お前の言う通り、毎週会議をしてるんだったら、アンケートなんかする必要なくない?」
「でもまぁ、実際の人気を知りたいわけじゃないですか」
「それ単行本の売上でいいじゃん」
「まぁそうですけど・・・・・・でもそれ一緒じゃないですか」
 んん?と佐々木は眉を寄せる。
「だからそれだったら、先輩がアンケートハガキ送るか、単行本買うかの違いだけじゃないですか」
「ああ、そうか一緒か」
 
「だからやっぱり、コンビニで百円でアンケートハガキ売るしかないって」
「そんなもの、先輩しか買わないから」
「俺もこち亀終わっているから、買わねえよ」
「だったら誰も買いません」
「ああそうか」
「そうですよ」
 ハハハハッと二人は笑う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...