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 ペルソナ0

 究極に公平な客観

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「まじんのーくんのお母さんは憶えてないし、まぁ、そういえばそんな人いたね、くらいの記憶しかないのね」
「付き合ってもないし、なんでもないし」
 そうそう、と佐々木が頷く。

「そもそもその先生、童貞だし」
 ハハハハハハハハッと吉田は笑う。

「だから」
 佐々木が手を振る。
「話がどんどん進んでいくと、話に矛盾が生まれてくるのね」
「はい」
「要は、こいつはこう言ってるけど、でもこっちはこう言ってるみたいな食い違いが出てくるのね」


「それもギャルヤンキーと地味子みたいに、それはそっちがそう思ってるだけどよね、って話から、先生の様に完璧妄想のモノまで色々あるのね」
「はいはい」
 苦笑しながら吉田が頷く。
「あくまでその人の主観だよね、その人がそう思ってるって話だよね、ってのが繰り返されるのね」


「それを転校生の主人公が、ただただ見ていくって話」
「主人公は、主人公の視点は客観じゃないんですか?」
「いや、だから」
 佐々木が首を振る。
「さぅきお前、地味子ひどくないですか、って言ったけど、俺はそう思わないのね」
「はい」
「だからいろんな話を見て、それぞれの立場から見て、それを主人公というか、プレイヤーがどう思うかは、それぞれの勝手ってこと」
「なるほど」


「ただそれのつみかせねを見て・・・・・・究極の客観っていうか、全く公平な客観なんてものはなくて、あくまで主観の集合だよね、世の中って、ってなるってこと」
「まぁ、言いたいことはわかりますけどね」
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