仮面夫婦で結構です〜もう恋なんてしないと決めたのに〜

ララ

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1話

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コンコンっ

「失礼致します。子爵様、お呼びでしょうか?」

「ああ!ダリア。来たか、実はな。お前に婚約の打診が来ているんだ。」

「婚約‥‥ですか。」

「相手は王国騎士団の団長を務めている公爵令息だ。」

「というとルーカス公子ですか。子爵家になぜ‥‥?」

「ああ、それは私も不思議に思ったんだがな。調べてみたところによるとどんなに高貴で美しい令嬢でもお眼鏡に敵わなかったらしい。特に積極的なアピールをする女性を嫌っているようでな‥‥。正直に言ってこれは愛のない政略結婚になるだろう。ダリアが嫌ならばどうにかして断るよ。」

「子爵様‥‥。お受け致しますわ。ご心配なさらないで。私も結婚願望はなかったのだからお互い様ですわ。」

「ダリア‥‥、これだけは忘れないでくれ。私たちはお前を愛している。だから辛くなったらいつでも帰ってきなさい。お前の幸せを願っているよ。」

「ありがとうございます。では失礼致します。」

パタンっ

私は子爵家の長女。子爵家には2人の男児に私を合わせた子供が3人。けれど私は養子だ。今の当主の兄の子どもである。私の父は放蕩息子と呼ばれて遊び歩いていた。そんな中で平民の母との間にできた子が私だった。父は事故で、母は流行病にかかって幼少の頃に亡くなってしまった。

そんな私を引き取ったのが子爵家の当主。父の弟。引き取られてから私は子爵家の令嬢として何不自由なく育った。本当の娘のように愛情を注いでくれる優しい家族。

凍りついていた私の心はそんな生活を送る中で徐々に溶けていった。

凍りついた心‥‥私には前世の記憶がある。それは幸せとは程遠い記憶。母1人子1人の母子家庭で育った。幸せだったわ。裕福とはいえないけれどささやかな温かい暮らし。それが変わってしまったのは母が癌にかかってしまってから。

いつだって笑顔を絶やさなかった母は泣いていた。私を1人にしてしまうことを悔いて。ステージ4まで進んでいた癌を治すほどの医療は進んでいなかった。

癌が判明してからたったの1年で母は眠りについた。最後の一年は常に一緒で思い出をたくさんくれた。

優しかった母が死んでから全てが変わった。実父が引き取りに来たのだ。父親は有名な御曹司だったのだ。世間的な体裁のために血の繋がった娘を引き取っただけ。引き取られた先に私の居場所なんてなかった。

無関心な父親。意地悪な兄弟。私から全てを奪うことに快感を覚える義妹。

地獄だった。その家では私の持ち物なんてない。見えないところで暴力を振るわれた。学校でも友達なんていなかった。兄弟彼らがあることないこと噂して学校も私にとっては苦痛だった。

でも勉強するためにめげずに通ったわ。成績は常に学年一位。それが気に入らない人からの嫌がらせは多々あったけれどなんとか耐えて高校に進学。

進学と同時に家を出てアルバイトしながら生活することにした。高校で一生涯忘れられない出会いをした。

世界的に有名な御曹司の彼、レオ。アメリカ人と日本人のハーフ。学校ではそんな彼は有名人。媚を売るためにすり寄る人も後を経たない状態だった。

私は近づかないことに決めていた。なぜって?御曹司だなんていい人はいないと思っていたから。

関わりたくなかった。平穏な生活を壊されたくなかった。

だから近づかなかった。でもそれが逆に彼の興味をそそったみたいで付き纏われた。

無視して突き放しても何度でも寄ってくる。最初は気味が悪かったわ。でもある出来事がきっかけで急速に仲良くなった。

そして知った。彼がどんなに誠実で優しい人なのかを。よく一緒に行動するようになった。最初は仲良くなった友達感覚でしかなかった。

それが恋に変わったのはいつだっただろうか‥‥?

気がついたら恋をしていた。高校を卒業して2人で同じ大学を受けた。

何もかもが順調だった。毎日が楽しくて。新鮮で。全てが美しく見えて。

でもそんな順風満帆な日々は壊される。


ーー義妹の手によって‥‥。

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