死神に呪われし少女

詩音

文字の大きさ
7 / 15
偽りの少女

兄をいなくさせるために

しおりを挟む
 翔があらわれたことは不都合であるが、逆に好都合である。おそらく翔は自分が普通の生活に戻れたのならいなくなると考えた。つまり翔がいなくなればみんな安心する。そんな中で翔がいなくなったのを理由にすれば誰からもこの生活に文句を言ってくる人はいなくなる。翔という存在を強くすることで自然と引きこもりの生活に戻ることができる。だからこそ今はしつこい翔をを排除するために我慢をして外に出ることにした。一年のリミットがあるということは知らないまま。
 久しぶりに親と会う。それだけでもなぜか恐怖を感じていた。両親はわかってくれているのもわかるし見捨ててるわけでもないのはわかっている。でも怖い。階段をおそるおそる下りてリビングに入るため扉をゆっくり開けた。
「ったく。やっとでてきた」
 そこにいたのは翔だけだった。
「お母さんは?」
「買い物に行った」
 母がいないなら何も悟られずにいなくなる方法が聞き出せる。そう思った奈々は仕掛けることにした。
「翔だって信じるから。私は何をすれば成仏できるの?」
「わからん。まずは俺がお前のことを何も覚えてねーから目的もわからないんだ」
 翔自身が何もわからないとどういう行動をすればいいのかわからない。
「もし記憶が戻らないで達成できなかったらずっとここに入れるの?」
「いやそれでもリミットは一年だけだ」
 一年たてばいなくなるなら一年だけ耐えることでも成功といえる。
「だから、俺はお前と思い出を作りたい。記憶が戻る戻らない関係なく、俺との思い出を死で終わってほしくない」
 
「翔はずるい。結局は自分のためでなく私のためっていうんだ。」
 翔に聞こえないくらいの声で言った。これこそ自分の兄なんだとも思えた。
「まずいな」
 翔の言葉に涙を浮かべそうになっている中、死神の声が聞こえた。それと同時にあたりが真っ黒な空間にいた。
「安心しろ。ここでの会話は俺とお前にしか聞こえん。時が止まったと考えればいい」
「邪魔しないでって言ったよね」
「助言をしに来てやったんだ。感謝しろ」
 いつも通り余裕の顔をしている死神だが、少し困った顔をしている。
「あんたが心配そうな顔をしてるってことは何かあるようね」
「翔は記憶がないなりに色々調べている。お前だって気付いているはずだ」
「もちろん」
 奈々は翔がこの一日であり得ないほどの奈々について調べているのに気付いている。記憶がないのは信じた場合、奈々自身の気持ちを変化させる誘導がうますぎる。記憶があったときではあり得ない行動のとり方をしている。それには警戒しないとならないが、この数分だけで圧倒されてる状況火を重ねればどうなるかわからない。
「だから少し力を貸してやろうあの時みたいに」
 死神は奈々に憑依をする力がある。そうすることで誘導にも負けないようにできる。
「だけどすぐに対策を練ってくるかも」
「神の差し金だしそこまでは予定のうちだ。それよりもここで契約をすればいい状況になったら憑依し状況を壊すことがかってにできてしまう。お前はそれでもいいのか?」
 前回は心が弱くなった時に憑依した。しかし今は正常を保っている。この状態では憑依することができない。だから体を貸す契約をして自由に入れるようにする。つまり死神が望む未来に作り変えるのが簡単になってしまう。
「かまわないわ。どうせ一年たてば引きこもり生活に戻れる。あなただって自由に動きたいんでしょ。ならその時自由に体を使えばいいわ」
 希望である翔はいつか消えもう何も残らない彼女にとって生きることは苦痛になる。翔に助けられた命だからむげにはできないが、楽しいことがない現状を乗り越えることは難しい。もし死神が憑依すればその時間は寝ているのと同じ状態になる。そっちのほうがましになる。
「よかろう。なら体を借りるぞ」
 死神がだんだん薄くなっていく。それに合わせて奈々の体が重くなっていく。そしてだんだん力が抜けて行って眠くなっていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

処理中です...