1 / 45
1
しおりを挟む
この世界は剣と魔法の国
魔族、妖精族、エルフにドワーフそして人間
ある日、弱くて短命の人間の中に黄金の血液を持つ子供が産まれました。
黄金の血液は魔素が含まれており、体液を摂取することで魔力強化も叶う
万病速攻神の如し、万傷即癒奇跡の如し
魔法を扱う者には喉から手が出るほど欲しいものでした。
ここはマジェステック王国
この国の大公爵家に黄金の血液をもつ公子がおります。
この国では珍しい黒いストレートの髪を後ろに束ね、アンニュイなアイスブルーの瞳をした神秘的な容姿
白い肌にほんのり桜色の唇
白い肌に映える長いまつ毛が瞬きのたびに震える
美しい容姿を持つ彼はユツキ・グランデューク・ローラント
今年17歳のその少年は大公爵ローラント家の次男です。
魔法が好きな彼はよく城にある王国図書館へと出かけるのです。
今この図書館にはユツキしかいない
本を読む彼に近づいてくる金髪碧眼のアーモンド目の甘いマスクの青年
少し長い襟足は縛らずそのまま
180cmは超えるであろう長身に、服の上からでもわかる鍛えられた肉体を持つ
彼はルイス・キング・マジェステック
彼はこの国の第一王子、王位継承権第一位の青年
ユツキは本に集中していてルイスに気がつく素振りは無い
ルイスは隣の席に座り持ってきた花をユツキの髪に生ける
その時、気がついたユツキが顔を上げるとルイスが次の花を用意して髪に生けようとしている途中だった。
「殿下…いらっしゃったのであればお声かけ下されば…」
「いつ気がつくかなぁと思ってさ」
そう言いながらも髪の結び目に花を挿そうとする
「おやめ下さい」
「似合っているよ」
悪戯っ子のような微笑みは並の人間であれば一瞬で恋に落ちていたであろう
「光栄に存じます」
読書の邪魔されたからか不満げな声でユツキは答え、本を閉じた。
本来なら読書に戻りたいところだが、相手はこの国の王子
無下に扱う訳にはいかない
立ち上がり形式的なお辞儀をする
「座っていいよ」
「失礼致します」
椅子に腰掛けると本は無くなっていた。
ルイスを見れば本の中身を苦々しげに見ている
「よくこんなの読んでいられるな…頭が痛くなる。何語だこれ…」
「お言葉ですが、魔法書を学ばねば優秀な魔法騎士にはなれぬのではありませんか」
「うっ…痛いところを突いてくるね…」
ルイスは父親のような優秀な戦王になる事が夢だが魔法学はどうも性にあわないようで避けているのだ。
「ふぅ…とても素晴らしい本でした。この著者の本をまた読みたい…」
「取り寄せてあげようか?」
その言葉にユツキがムッとして答える。
「残念ながらこの本の著者は魔法書を一冊しか書いていないのです。こんなに素晴らしい魔法使いなのに…」
ユツキは本の背表紙をなぞった。
「だ、だったらさ、一緒に城下にでも…!」
ルイスが頬を染めながら話をしようとすると他に誰もいなかった図書館に足音が響いた。
「殿下、やはりこちらにおられましたか」
上品な白髪の初老はルイスの執事であるジョナサン・コリンズ
どっしりとした体つきは安心感がある
歳のせいか身長は若い頃より縮んでいるが160cm後半はあるだろう
黒縁眼鏡に笑いジワが素敵な茶色い細目
博学多才でルイスやユツキの良き相談相手である
「殿下、魔法学のアデレイド先生がカンカンでございます」
「げっ…」
「アデレイド…ってアデレイド・デューク・ベル様ですか?」
「えぇ」
「知っているのか?」
ユツキが少し興奮したように答える
「古の魔法は魔力を大量に使う上、工程が複雑で時間がかかるものが多い
それを魔力を少量に、工程を簡略に改良したのがアデレイド・デューク・ベル様という女性です。」
ルイスが少し押され気味で曖昧な返事をする
「そんな方に享受して頂けるなんて羨ましいです。しっかり励んでくださいませ」
ユツキに叱られ子犬のようにしゅんとしたルイスはとぼとぼと図書館から出ていくのであった。
「…おや?それはミドリの魔法書ではありませんか?」
「えぇ、そうです。ご存知なんですか?」
「はい。昔、陛下が読んでいたことがございます。しかし、そのような難しい魔法書をもう読めるようになられたのですね。陛下はその本を読むのに一年以上かかっておられました。」
ユツキにジョナサンは優しい言葉をかける
「虚弱な身ですので本を読むくらいしかすることが無いだけです。」
平静を取り繕っていたがジョナサンがいなくなったところでユツキは小さなため息をついたのだった。
「ジョナサン…ユツキを、で、で、デートに誘うにはどうしたらいい…」
ルイスはアデレイド先生に出された山のような課題を仕上げているところだ。
本来なら彼は家庭教師をすでに卒業している予定だったが魔法学のみ、一年オーバーした今も終わらずにいるのだ。
ジョナサンは首を傾げながら
「普通に誘うのではダメなのですか?」
「それが出来たら苦労してないんだ…!」
ルイスが頭を抱える
「明日から城下では春祭りがあるんだ。そこにユツキと行きたいんだ」
「そのために課題に取り組んでおられるのですね?課題が終わらねばアデレイド先生が部屋から意地でも出さないと仰ておりましたから」
ルイスは紙にぐるぐると落書きをする
「ユツキは今までまともに祭りを見たことがないんだ…だから、連れて行ってやりたい」
「左様でございますね」
ジョナサンは微笑みがら紅茶を机に置いた。
魔族、妖精族、エルフにドワーフそして人間
ある日、弱くて短命の人間の中に黄金の血液を持つ子供が産まれました。
黄金の血液は魔素が含まれており、体液を摂取することで魔力強化も叶う
万病速攻神の如し、万傷即癒奇跡の如し
魔法を扱う者には喉から手が出るほど欲しいものでした。
ここはマジェステック王国
この国の大公爵家に黄金の血液をもつ公子がおります。
この国では珍しい黒いストレートの髪を後ろに束ね、アンニュイなアイスブルーの瞳をした神秘的な容姿
白い肌にほんのり桜色の唇
白い肌に映える長いまつ毛が瞬きのたびに震える
美しい容姿を持つ彼はユツキ・グランデューク・ローラント
今年17歳のその少年は大公爵ローラント家の次男です。
魔法が好きな彼はよく城にある王国図書館へと出かけるのです。
今この図書館にはユツキしかいない
本を読む彼に近づいてくる金髪碧眼のアーモンド目の甘いマスクの青年
少し長い襟足は縛らずそのまま
180cmは超えるであろう長身に、服の上からでもわかる鍛えられた肉体を持つ
彼はルイス・キング・マジェステック
彼はこの国の第一王子、王位継承権第一位の青年
ユツキは本に集中していてルイスに気がつく素振りは無い
ルイスは隣の席に座り持ってきた花をユツキの髪に生ける
その時、気がついたユツキが顔を上げるとルイスが次の花を用意して髪に生けようとしている途中だった。
「殿下…いらっしゃったのであればお声かけ下されば…」
「いつ気がつくかなぁと思ってさ」
そう言いながらも髪の結び目に花を挿そうとする
「おやめ下さい」
「似合っているよ」
悪戯っ子のような微笑みは並の人間であれば一瞬で恋に落ちていたであろう
「光栄に存じます」
読書の邪魔されたからか不満げな声でユツキは答え、本を閉じた。
本来なら読書に戻りたいところだが、相手はこの国の王子
無下に扱う訳にはいかない
立ち上がり形式的なお辞儀をする
「座っていいよ」
「失礼致します」
椅子に腰掛けると本は無くなっていた。
ルイスを見れば本の中身を苦々しげに見ている
「よくこんなの読んでいられるな…頭が痛くなる。何語だこれ…」
「お言葉ですが、魔法書を学ばねば優秀な魔法騎士にはなれぬのではありませんか」
「うっ…痛いところを突いてくるね…」
ルイスは父親のような優秀な戦王になる事が夢だが魔法学はどうも性にあわないようで避けているのだ。
「ふぅ…とても素晴らしい本でした。この著者の本をまた読みたい…」
「取り寄せてあげようか?」
その言葉にユツキがムッとして答える。
「残念ながらこの本の著者は魔法書を一冊しか書いていないのです。こんなに素晴らしい魔法使いなのに…」
ユツキは本の背表紙をなぞった。
「だ、だったらさ、一緒に城下にでも…!」
ルイスが頬を染めながら話をしようとすると他に誰もいなかった図書館に足音が響いた。
「殿下、やはりこちらにおられましたか」
上品な白髪の初老はルイスの執事であるジョナサン・コリンズ
どっしりとした体つきは安心感がある
歳のせいか身長は若い頃より縮んでいるが160cm後半はあるだろう
黒縁眼鏡に笑いジワが素敵な茶色い細目
博学多才でルイスやユツキの良き相談相手である
「殿下、魔法学のアデレイド先生がカンカンでございます」
「げっ…」
「アデレイド…ってアデレイド・デューク・ベル様ですか?」
「えぇ」
「知っているのか?」
ユツキが少し興奮したように答える
「古の魔法は魔力を大量に使う上、工程が複雑で時間がかかるものが多い
それを魔力を少量に、工程を簡略に改良したのがアデレイド・デューク・ベル様という女性です。」
ルイスが少し押され気味で曖昧な返事をする
「そんな方に享受して頂けるなんて羨ましいです。しっかり励んでくださいませ」
ユツキに叱られ子犬のようにしゅんとしたルイスはとぼとぼと図書館から出ていくのであった。
「…おや?それはミドリの魔法書ではありませんか?」
「えぇ、そうです。ご存知なんですか?」
「はい。昔、陛下が読んでいたことがございます。しかし、そのような難しい魔法書をもう読めるようになられたのですね。陛下はその本を読むのに一年以上かかっておられました。」
ユツキにジョナサンは優しい言葉をかける
「虚弱な身ですので本を読むくらいしかすることが無いだけです。」
平静を取り繕っていたがジョナサンがいなくなったところでユツキは小さなため息をついたのだった。
「ジョナサン…ユツキを、で、で、デートに誘うにはどうしたらいい…」
ルイスはアデレイド先生に出された山のような課題を仕上げているところだ。
本来なら彼は家庭教師をすでに卒業している予定だったが魔法学のみ、一年オーバーした今も終わらずにいるのだ。
ジョナサンは首を傾げながら
「普通に誘うのではダメなのですか?」
「それが出来たら苦労してないんだ…!」
ルイスが頭を抱える
「明日から城下では春祭りがあるんだ。そこにユツキと行きたいんだ」
「そのために課題に取り組んでおられるのですね?課題が終わらねばアデレイド先生が部屋から意地でも出さないと仰ておりましたから」
ルイスは紙にぐるぐると落書きをする
「ユツキは今までまともに祭りを見たことがないんだ…だから、連れて行ってやりたい」
「左様でございますね」
ジョナサンは微笑みがら紅茶を机に置いた。
10
あなたにおすすめの小説
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
大事な呼び名
夕月ねむ
BL
異世界に転移したらしいのだが俺には記憶がない。おまけに外見が変わった可能性があるという。身元は分からないし身内はいないし、本名すら判明していない状態。それでも俺はどうにか生活できていた。国の支援で学校に入学できたし、親切なクラスメイトもいる。ちょっと、強引なやつだけどな。
※FANBOXからの転載です
※他サイトにも投稿しています
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる