殿下は君と恋がしたい!

寝頭ふみんしょー

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数時間後雷鳴が轟き、激しい雨が荷馬車の屋根を酷く打った。
「酷い雨ですね…ジョナサン様には分かっていたのですか?」
「えぇ、先程の大きな雲は入道雲と言いまして、あの雲が見えた時は激しい雨が降る。と、昔旅行先の占い師の方が言っておられました。」
ジョナサンが思い出を語る
「近くに村がございます。雨宿りさせて頂きましょう。」
レイザーが急いで方向転換をして村へと向かった。
「私、宿を探してきます。」
レイザーが雨避けを羽織り外へ足早に出ていった。
「なんだか人気がありませんね…」
ユツキが視界の悪い中外を見回す
家は沢山あるが人の気配は無い
よく見ると家の壁は崩れ内装が見えている
一つや二つではなく苔や蔦がまとわりついているところを見ると恐らく廃村だろう
「申し訳ありません。人っ子一人いませんでした。」
レイザーが村を一周して確認しできたようだがやはり廃村で間違いなかった。
「でも、最新の地図ではここは村として機能していたようです…賊か魔族にでも襲われたのでしょうか…」
ユツキが考え込む
「とにかく屋根はあるんだ。雨宿りだけでもさせてもらおう」
ルイスの決定で近くにあった比較的損傷の少ない家に入る
室内の家具は少し埃をかぶっている
「なんだが、違和感が…」
ネオが喉の奥まで出かかった答えを探すように室内を物色する
「腐敗は酷く進んでいるのに埃や塵がそれほど積もっていませんね」
ユツキの言葉にそれだっ!と言うようにネオが指を弾いた。
「何かがこの村を襲ったとみていいようですね」
レイザーが雨の中、他の家の中もみて来て報告した。
「金品や家具がそのままになっている家もありました。急に村を出なくてはいけなくなったか、あるいは…」
「逃げる前に何かに飲み込まれたか」
ルイスの言葉の後しばしの沈黙
「とにかくここは安全ではありません。雨は酷いですが、出発しましょう」
ジョナサンに促され荷馬車に足早に向かう
「ん?」
ユツキはローブが何かに引っかかり振り向く
すると、急に視界が暗くなった。
ユツキは急に抜けた地面に勢いよく落下していったのだ。
「ユツキ?」
ルイスが振り返るとそこには既にユツキも地面に空いた穴も跡形もなく無くなっていた。
声も上げずに吸い込まれて行ったユツキの居場所を知り得ることは出来ない
「ユツキ?ユツキー」
近くにいるかと思いルイスが声をかけるが一向に返事は無い
「ユツキ!ユツキー!!」
返事がないことに焦り元いた家や裏手まで回って調べるが人影すらない
レイザー達も雨の中ユツキを手当り次第に探す
「ガウッ!ガウガウゥゥ!!」
シロが突然地面に向かって吠えだしルイスのローブを引っ張る
「なんだよ!ユツキが大変な時に!」
「ガウッ!」
シロは地面を引っ掻きここ掘れと言わんばかりに吠えている
「ガウウッ」
シロがルイスを真っ直ぐ見つめ、再び地面を一心に掘り出したのに少し考えたがルイスも一緒になって地面を掘り返した。
掘れば地面に亀裂が生まれルイスとシロは地面の中へと吸い込まれて行った。
「うおっ!?」
土の中はくり抜かれたような空洞が拡がっており今にも崩れそうだ。
穴は直ぐにふさがってしまい真っ暗になる
「ユツキ、いるか?」
何があるか分からないため小声でユツキを呼ぶ
「ライト」
ルイスが魔法を唱え辺りを照らすと人が地面に横たわっていた。
「ユツキ」
ルイスが駆け寄り肩を引くと異様に軽い体がころりとこちらに顔を向けた。
そこにはユツキとは似ても似つかない体から全水分を抜かれたような人間のあられもないものだった。
ライトでさらに奥を探るとごろごろと同じような遺体が溢れていた。
「村の、住人か…?」
ルイスが青ざめて呟く
「ユツキ…ユツキ…!ユツキ…!ユツキ…!ユツキ…!ユツキ…!ユツキ!ユツキ!ユツキ!」
遺体を蹴散らしながら半狂乱で名前を呼ぶ
「クゥン…?」
シロも急な雰囲気の変化に戸惑っているようだ。
ルイスは剣を抜き見えない敵に向かって奥へと進む
ルイスは異常事態に戦地でのことを思い出していた。
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