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本編
1。ゼミ合宿
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「何なんだ、この騒ぎは……」
築島将吾は部屋に入るなりげんなりした。
大学生の合宿では定番な光景なのかもしれないが、まさか自分のゼミでこうなるとは思わなかった。
「すみません、女子三人がこんなにお酒弱いとは思わなくて、」
そう頭を下げるのは、ゼミ長の小沢宏だ。
確かに、見ると男子生徒はさほど酔っていない。ひどく出来上がっているのは中西英里香と松下華。白井蛍はうつ伏せて寝ている。
「たかやまー! もっとお酒~」
「英里香ちゃん、もう飲まない方がいいよ」
「ちょっとっ、どこ触ってんのよ!」
「肩だよ、華ちゃん。倒れるって」
生徒たちの酒乱を呆れながら見ていたら、築島は蛍を部屋まで運んでくれないかと頼まれた。
「なぜ僕なんだ?」
「その、さっきみんなで話し合ったんですけど……誰も自信ないって」
小沢は半分気まずそうに言った。
築島はすぐに理解した。中西・松下はサバサバした性格で、かつ彼氏持ちなので、大人しくて浮いた話しと無縁な蛍は、紅一点可愛がられていた。だから誰も酔った蛍を、襲わない、自信がないのだろう。
築島はため息をついて、寝ている蛍を抱き上げた。
「ありがとうございます。これ、蛍ちゃんの部屋の鍵です。英里香ちゃんと華ちゃんはこっちでなんとかしておくので」
女性を運ぶ男性なら誰もがそうするように、築島は蛍を横にして抱きかかえ、部屋まで運んだ。
しかし、両手がふさがっていては鍵を開けることができない。彼は部屋の前で、赤子を抱くように蛍を持ち直した。そうして空いた右手でドアを開ける。
「おい、着いたぞ」
部屋に入れたはいいが、今度は蛍がしっかりと抱きついていて離れない。揺さぶっても、離れる気配がしない。築島は仕方なくそのまま彼女をベッドに降ろし、前かがみのまま自身の首に巻き付いた彼女の手を解いた。
「つきしま、せんせい……」
耳元で蛍がそうつぶやいたのを境に、彼のなかの何かが切れた。
* * *
築島将吾は部屋に入るなりげんなりした。
大学生の合宿では定番な光景なのかもしれないが、まさか自分のゼミでこうなるとは思わなかった。
「すみません、女子三人がこんなにお酒弱いとは思わなくて、」
そう頭を下げるのは、ゼミ長の小沢宏だ。
確かに、見ると男子生徒はさほど酔っていない。ひどく出来上がっているのは中西英里香と松下華。白井蛍はうつ伏せて寝ている。
「たかやまー! もっとお酒~」
「英里香ちゃん、もう飲まない方がいいよ」
「ちょっとっ、どこ触ってんのよ!」
「肩だよ、華ちゃん。倒れるって」
生徒たちの酒乱を呆れながら見ていたら、築島は蛍を部屋まで運んでくれないかと頼まれた。
「なぜ僕なんだ?」
「その、さっきみんなで話し合ったんですけど……誰も自信ないって」
小沢は半分気まずそうに言った。
築島はすぐに理解した。中西・松下はサバサバした性格で、かつ彼氏持ちなので、大人しくて浮いた話しと無縁な蛍は、紅一点可愛がられていた。だから誰も酔った蛍を、襲わない、自信がないのだろう。
築島はため息をついて、寝ている蛍を抱き上げた。
「ありがとうございます。これ、蛍ちゃんの部屋の鍵です。英里香ちゃんと華ちゃんはこっちでなんとかしておくので」
女性を運ぶ男性なら誰もがそうするように、築島は蛍を横にして抱きかかえ、部屋まで運んだ。
しかし、両手がふさがっていては鍵を開けることができない。彼は部屋の前で、赤子を抱くように蛍を持ち直した。そうして空いた右手でドアを開ける。
「おい、着いたぞ」
部屋に入れたはいいが、今度は蛍がしっかりと抱きついていて離れない。揺さぶっても、離れる気配がしない。築島は仕方なくそのまま彼女をベッドに降ろし、前かがみのまま自身の首に巻き付いた彼女の手を解いた。
「つきしま、せんせい……」
耳元で蛍がそうつぶやいたのを境に、彼のなかの何かが切れた。
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