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最終章 夢で逢えたら
第9話 交友
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月曜日、昼過ぎに起きて、腹ごしらえをするために近所のファミマへ行き、ジャンプとヤンマガをパラパラめくった。お目当ての漫画はコミックで買っているし、それ以外は読む気がしないのに、小さな頃からの癖なのか、毎週チェックしてしまう。そこで三百円のカレー・ライスと煙草を購入し、家で食べる。そしてひたすらパソコンと睨めっこをする。なんの意味もない時間の使い方だ。途中までプレイしてやめたゲームがたくさんあるのでそれをプレイするが、すぐに飽きる。映画、ドラマ、アニメも借りてHDDに取り込んで、そのほとんどは未視聴なのにも関わらず、一切観る気がしない。なんとか時間を有意義に使いたいと、溜まっていた洗濯物を処理する。小説もたくさんあるな……と本棚を一瞥する。当然読む気はまったくない。
そうやって時間を潰し、夜の八時になったので薬を飲んでのんびりしていると、前回断った女友達Sから、「暇ー」とLINEが来た。面倒くさいので適当に返事すると、「お茶しませんか?」と。「金ないよ」と返すと、「カフェぐらいあるでしょ?」ときたので、「まあそれぐらいなら……」と、押し切られるかたちとなった。
九時半に蒲田駅で待ち合わせとなった。シャワーを浴び、服を着替え、歯を磨き、イヤホンを耳にさして部屋を後にする。結局駅に着いたのは九時四十五分を過ぎていた。Sは待っていた。背は低く、少しぽっちゃりとしており、胸は大きく、まだ若干二十歳なので幼さは残るが、化粧は濃く髪色も派手。ピアスも沢山耳に開いている。
わざわざ歩いて来たのに、数時間お茶するだけというのもなんだなと思い、呑みを提案するも、高い、と断れる。「ていうかお金ないんでしょ?」と言われた。財布には九千円。五千円は来月の支払いで使うため使えないので、四千円で三日まで暮らさなければいけない。
「まああまり使えないね」
「カラオケぐらいだったらどう?」
「まあ平日だしフリー・タイムならいいよ」とカラオケに行くことになった。
ところが結局、フリー・タイムでアルコール呑み放題の二千五百円のコースを選んだ。はっきり言うと、金はないのに、ただ呑みたかった。
二人でカラオケを楽しみながら、呑み放題なので呑みまくる。結局朝の五時までにビール、シャンディ・ガフ、ジンジャー・ハイボール、モヒート、ジャスミン・ハイ、そして緑茶ハイを四杯。こんなにも呑んだのは久々なので、カラオケ後の記憶が全くない。
朝方にいつの間にか眠ってしまい、起きたのは夜の八時半を回っていた。目が覚めるなり煙草をふかしているいると、こんな時間には珍しくインター・フォンが鳴った。インター・ネット回線の案内の男性だった。
「今使っている回線を解約し、私のところを契約すると、月々のインターネット代だけでなく携帯代が、月額にして三千円近く安くなります。そして今使っている回線の解約料も全額私どもが負担します」
と言われたが、面倒くさかったので適当に話を聞き、早々に帰って貰った。すると数分後またインター・フォンが鳴ったので出てみると、男性が階段の下の自動販売機でアイス・コーヒーを買ってきてくれた。ありがたく受け取り、煙草とアイス・コーヒーを嗜んでいると、インター・ネットの会社から電話がかかって来た。相手の長々とした説明が終わるなり、僕は、「面倒くさいんで回線変えません」と伝えると、少し驚かれた。
「安くなるのに、いいんですか?」
「いいですよ」
「わかりました、ではまたよろしくお願いします」と言って電話は終わった。
それから腹が減ったので牛丼を食べに行き、帰って音楽を聞いていた。深夜に、毎週楽しみにしているテレビが放送されているので、それまで時間を潰し、それを観たあとまた適当に過ごし、時間を無駄に使い、朝になり、小説をつらつら書いていると、訪問看護の時間となった。
気の強い看護師がやってきて、事務作業を終わらせると、僕のパソコンをもの珍しそうに見た。
「もしかして、小説書いてるの?」
「あ、はい、そうです」
それから、そういう話の流れになった。驚いたのが、一般人に小説の新人賞の名称を言っても伝わらないことだった。群像新人文学賞は、村上春樹や高橋源一郎が受賞していると言っても、通じない。文藝新人賞に綿矢りさが受賞したと言ったら、ようやく通じた。小説は斜陽産業なんだとつくづく感じた。
「ところで最近喘息出てる?」
「そうですね、何日かに一回出てますね」
「明日せっかくメンタルなんだから、一緒に受診しなよ」
「うーん、面倒くさいし、煙草止めろって言われるだけですよ」
「でも薬は使った方がいいよ」
そういった話も終わり、「金曜日はAが来る……いや、違ったっけ……」と言いながら書類に目を通した。僕は心の中で、いるのかいないのかわからない神様とやらにお願いした。「……うん、Aが来る」願いが通じた。「でも前の人が重症の人だから、ちょっと時間過ぎるかもしれない」とのことだった。金曜日はいつもどおり真理さんが来る。安心した。看護師には、カラオケに行ったことも呑んだことも、当然ながらまったく言っていない。
五月も終盤戦に入り、暑い日が続いている。なにも進んではいない。
そうやって時間を潰し、夜の八時になったので薬を飲んでのんびりしていると、前回断った女友達Sから、「暇ー」とLINEが来た。面倒くさいので適当に返事すると、「お茶しませんか?」と。「金ないよ」と返すと、「カフェぐらいあるでしょ?」ときたので、「まあそれぐらいなら……」と、押し切られるかたちとなった。
九時半に蒲田駅で待ち合わせとなった。シャワーを浴び、服を着替え、歯を磨き、イヤホンを耳にさして部屋を後にする。結局駅に着いたのは九時四十五分を過ぎていた。Sは待っていた。背は低く、少しぽっちゃりとしており、胸は大きく、まだ若干二十歳なので幼さは残るが、化粧は濃く髪色も派手。ピアスも沢山耳に開いている。
わざわざ歩いて来たのに、数時間お茶するだけというのもなんだなと思い、呑みを提案するも、高い、と断れる。「ていうかお金ないんでしょ?」と言われた。財布には九千円。五千円は来月の支払いで使うため使えないので、四千円で三日まで暮らさなければいけない。
「まああまり使えないね」
「カラオケぐらいだったらどう?」
「まあ平日だしフリー・タイムならいいよ」とカラオケに行くことになった。
ところが結局、フリー・タイムでアルコール呑み放題の二千五百円のコースを選んだ。はっきり言うと、金はないのに、ただ呑みたかった。
二人でカラオケを楽しみながら、呑み放題なので呑みまくる。結局朝の五時までにビール、シャンディ・ガフ、ジンジャー・ハイボール、モヒート、ジャスミン・ハイ、そして緑茶ハイを四杯。こんなにも呑んだのは久々なので、カラオケ後の記憶が全くない。
朝方にいつの間にか眠ってしまい、起きたのは夜の八時半を回っていた。目が覚めるなり煙草をふかしているいると、こんな時間には珍しくインター・フォンが鳴った。インター・ネット回線の案内の男性だった。
「今使っている回線を解約し、私のところを契約すると、月々のインターネット代だけでなく携帯代が、月額にして三千円近く安くなります。そして今使っている回線の解約料も全額私どもが負担します」
と言われたが、面倒くさかったので適当に話を聞き、早々に帰って貰った。すると数分後またインター・フォンが鳴ったので出てみると、男性が階段の下の自動販売機でアイス・コーヒーを買ってきてくれた。ありがたく受け取り、煙草とアイス・コーヒーを嗜んでいると、インター・ネットの会社から電話がかかって来た。相手の長々とした説明が終わるなり、僕は、「面倒くさいんで回線変えません」と伝えると、少し驚かれた。
「安くなるのに、いいんですか?」
「いいですよ」
「わかりました、ではまたよろしくお願いします」と言って電話は終わった。
それから腹が減ったので牛丼を食べに行き、帰って音楽を聞いていた。深夜に、毎週楽しみにしているテレビが放送されているので、それまで時間を潰し、それを観たあとまた適当に過ごし、時間を無駄に使い、朝になり、小説をつらつら書いていると、訪問看護の時間となった。
気の強い看護師がやってきて、事務作業を終わらせると、僕のパソコンをもの珍しそうに見た。
「もしかして、小説書いてるの?」
「あ、はい、そうです」
それから、そういう話の流れになった。驚いたのが、一般人に小説の新人賞の名称を言っても伝わらないことだった。群像新人文学賞は、村上春樹や高橋源一郎が受賞していると言っても、通じない。文藝新人賞に綿矢りさが受賞したと言ったら、ようやく通じた。小説は斜陽産業なんだとつくづく感じた。
「ところで最近喘息出てる?」
「そうですね、何日かに一回出てますね」
「明日せっかくメンタルなんだから、一緒に受診しなよ」
「うーん、面倒くさいし、煙草止めろって言われるだけですよ」
「でも薬は使った方がいいよ」
そういった話も終わり、「金曜日はAが来る……いや、違ったっけ……」と言いながら書類に目を通した。僕は心の中で、いるのかいないのかわからない神様とやらにお願いした。「……うん、Aが来る」願いが通じた。「でも前の人が重症の人だから、ちょっと時間過ぎるかもしれない」とのことだった。金曜日はいつもどおり真理さんが来る。安心した。看護師には、カラオケに行ったことも呑んだことも、当然ながらまったく言っていない。
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