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「龍がさっきからエッチな喘ぎ声を出すせいで、俺も感じさせられた」

「そんな変な声、僕は出してないよ」

「出してるってば、ほら」

 頬に触れてる浩司兄ちゃんの片手が、やんわりと外された。その手がワイシャツの隙間から忍び込み、指先が胸の突起を執拗にぐりぐりする。

「あっ…そこやだ、ああっ、んぅっ!」

「やだって言ってるのに、腰がへこへこ動いてる」

 意識していなかった自身の動きにぎょっとし、躰が竦んで固まった。

(これって浩司兄ちゃんの躰に、自分のを擦りつけているみたいな動きになっているじゃないか)

「違っ……浩司兄ちゃんの手がイヤで」

「イヤじゃなくて悦いだろう? このタイミングで嘘をつくのかい?」

 ぴしゃりと告げられたセリフで思い知る。もう僕は浩司兄ちゃんに嘘をつけない。素直に心情を吐露しなければならない立場ということに、この時点で気づいてしまった。

「あっ、くすぐったい感じというか、ゾクゾクするのがイヤで」

「イヤって言ってるけど、陥没してる乳首が、いい感じに勃起してるよ」

「つっ!」

 自分では見えない躰の部分を具体的に指摘されたことは、結構恥ずかしくて堪らない。両手をあげている以上、そこを隠すこともできず、思いっきり狼狽えてしまった。

「……そんなこと言われても――」

「新しい制服の中で窮屈そうにしてるココ、俺の口で気持ちよくしてあげようか?」

 胸に触れていない手が、唐突に僕の下半身を鷲掴みした。

「うっ!」

 カタチの変わったことを確かめるように、浩司兄ちゃんの手がイヤラしい動きで僕自身を刺激する。声をあげそうになり、下唇を噛みしめて我慢する。

「あのときよりも成長してるね。咥えごたえありそうだ」

「やだっ、浩司兄ちゃんにそんなことさせたくない」

「また嘘をつくのかい?」

「嘘じゃない、本心だよ。気持ちいいからって、大事な幼なじみにお願いしちゃダメだ!」

 きっぱりと言いきった僕のセリフを聞いたからか、浩司兄ちゃんの両手が躰から離れたのがわかった。

「浩司兄ちゃん、おしおきはもう終わりだよね?」

 鳥の羽でくすぐったり、嘘をついた舌を食べられたりと、いろいろ変わったおしおきばかりだった。

「龍はこんなもので、おしおきが終了したと思ってるのか。甘いな……」

 首と膝裏に浩司兄ちゃんの二の腕が触れたのがわかった刹那、躰がひょいと持ちあげられた。

「わっ!!」

 驚きの声を出した僕を、浩司兄ちゃんは長テーブルの上に無造作に置く。薄いワイシャツ越しにテーブルの冷たさが伝わり、慌てて起きあがろうとした上半身を、力強い腕が押し留めた。

「おしおきはまだ終わっていない。抵抗するなら縄かなにかで、躰をテーブルに括り付けることになるけど、それでもいいのかい?」

 穏やかな口調で、物騒なことを平然と言い放った浩司兄ちゃん。普段と変わらず優しく告げられたことや、目が見えないからこそ、底の見えないなにかをひしひしと感じ取ったせいで、抵抗することなんてできそうになかった。
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