こんなに好きなのに伝わらないのなら――

相沢蒼依

文字の大きさ
28 / 114
弟の悦び

しおりを挟む
「辰之、なんて顔してんだ……」

「あ、兄貴?」

「物欲しそうな顔しやがって。ナカに出してほしかったんだろ」

 弟が考えそうなことを口にした途端に、太ももにぎゅっと縋りつかれた。

「兄貴こんなことしたらの太くて硬いの、ほしくなるに決まってるでしょ。僕だって気持ちよくなりたい」

「なに言ってんだ、おまえ。好きでもないヤツとそんなこと、ヤるわけないだろ」

 縋りついた弟の両腕を手荒に振り解き、強引に床へ押し倒した。

「俺のがほしけりゃ、せいぜい今のように奉仕してから、頭を下げてお願いしてみろ。気が向いたら相手をしてやるよ」

 無様に横たわる弟の下半身を、足で容赦なく踏みつけてやった。そこはカタチがすでに変わっていたため、かなりの苦痛を与えたことになる。

「いっ、いたぃっ!」

「おまえには足で踏みつけて感じさせるご褒美で、ちょうどいいだろ」

 荷重をかけた足裏を、ちょっとだけ左右に動かしてやる。

「痛っ! はぁっ、兄貴っ」

 下半身を踏みつける足に、弟は震える両手をかけて退かせようとしつつ、小刻みに腰を上下させた。しかも口の端からヨダレを滴らせる姿に鳥肌が立つ。

「おまえ、こんなことされて感じてるのかよ。この変態!」

 より一層荷重をかけたあとに脇腹を蹴りあげ、さっさと下着を身につけ制服に着替える。弟は声を出さずに、くの字に躰を曲げて痛みに耐えているようだった。

(苦痛を与えたはずが、なぜだか悦ばせてしまった……。これじゃあ嫌われるどころか、さらに好かれてしまうだろ)

「兄貴、もうおしまいなの?」

 蹴られた脇腹を押さえたまま上半身を起こした弟の顔は、白濁とヨダレで汚れたままで、わざとその状態をキープするメンタルに俺は顔を歪ませた。

「辰之とはしないって言っただろ、しつこいな!」

 素早くカバンを手にして、弟から逃げるように保健室をあとにした。帰り道は嫌われる作戦その2を必死に考える。

 俺よりも狡猾で弟を手篭めにできる知人に、協力をお願いすることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

処理中です...