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課外授業:誉められたい
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平穏な毎日の中に少しだけ、スパイスを加えたみたいな感じと表現すればいいのかな。
――三木先生の課外授業――
ボキャブラリー数は相変わらずだけど、物の見方が変わったのは明らかな事実だった。言葉で表現する前に五感や心で感じて、ほんの少しだけと表現できるようになったと思う。これはこれで感謝しなきゃいけないよね。
「おっはよ、奈美っち!」
「おはよー、今日も寒いね」
白い息を吐きながら生徒玄関でクラスメートに挨拶し、一緒に教室に向かった。
昨日見たテレビのことでキャッキャと盛り上がってると、向かい側から三木先生が眠そうな顔で歩いてきた。
「おはようございます……」
「あー、おはよう」
しっかり頭を下げて、やり過ごそうとしたら……
「ちょっと待て。お前、頭に何つけてるんだ?」
「はい――?」
いきなり頭頂部に指を突っ込み、何かを取ろうとグリグリする。
「いっ、痛い!」
「やっと取れた。奈美の頭から天使の羽、発見!」
目の前に突きつけられた物は、羽毛布団に使われている羽根だった。
「お前、ちゃんと髪の毛を梳かしてるのか? 女子として身だしなみは大事だと思うぞ」
言いながら羽毛布団の羽根を、そのまま背広のポケットにしまう。こういう行動がさっぱり、ワケが分からないんだよね。
「そういう三木先生こそ教師として、そのボサボサした髪型を何とかした方がいいと思いますよ」
「頭にゴミつけてたヤツに、そんな失礼なことを言われたくないね。ボサボサしてるんじゃなく、これは天パなんだよ」
なぜか髪を掻き上げながら、通り過ぎた三木先生。
全然格好良くないから!
内心毒づいてるとクラスメートが、ビックリした顔して聞いてくる。
「奈美っち、さっきNHKが下の名前で呼んでたけど……」
「あ?」
そういえば呼んでいたかもしれない。きっと、いつものクセが出てしまったんだ。
――マズい。
頭の中がパニくって、いいわけにならないものばかりが浮かんでは消えて行く状態。
すべては、三木先生のせいなのに!
三木先生と仲良くしてるなんて知られてしまった日には、率先してバカにしてた分、何かが倍になって返ってきそうだよ。
「坂本さん、おはよう!」
困惑しまくりの私の背後から、いきなり鹿島さんが挨拶してきた。
「おはよう……」
「三木先生の発言、ビックリだよね」
私とクラスメートの顔を見ながら、さりげなく会話に割り込んでくる。
(――もしかして、バラす気なんじゃ……)
ハラハラしまくりの状況で、絶体絶命の文字が大きく頭の中をよぎった。
「坂本さん、みんなから奈美奈美って呼ばれているし、そっちの方が印象が深いから。私みたいに苗字で呼んでる人の方が、圧倒的に少ないよね?」
えっと、これって、助け舟だったりするのかな?
「そうだね、名前が二文字だから呼びやすいのかも――」
「だから三木先生も思わず、呼んじゃったんじゃないかな。ついでに私も名前で呼んでもいい?」
「いっ、いいよいいよ、何か照れちゃうなー。そうださっきまで、テレビの話してたんだけど――」
無理やり方向転換すべく話題をがらりと変えて、クラスメートと鹿島さんの背中を教室に向かって押しながら歩く。
この場は何とかしのげたけど、三木先生にちゃんと注意しないといけないな。
平穏な毎日の中に少しだけ、スパイスを加えたみたいな感じと表現すればいいのかな。
――三木先生の課外授業――
ボキャブラリー数は相変わらずだけど、物の見方が変わったのは明らかな事実だった。言葉で表現する前に五感や心で感じて、ほんの少しだけと表現できるようになったと思う。これはこれで感謝しなきゃいけないよね。
「おっはよ、奈美っち!」
「おはよー、今日も寒いね」
白い息を吐きながら生徒玄関でクラスメートに挨拶し、一緒に教室に向かった。
昨日見たテレビのことでキャッキャと盛り上がってると、向かい側から三木先生が眠そうな顔で歩いてきた。
「おはようございます……」
「あー、おはよう」
しっかり頭を下げて、やり過ごそうとしたら……
「ちょっと待て。お前、頭に何つけてるんだ?」
「はい――?」
いきなり頭頂部に指を突っ込み、何かを取ろうとグリグリする。
「いっ、痛い!」
「やっと取れた。奈美の頭から天使の羽、発見!」
目の前に突きつけられた物は、羽毛布団に使われている羽根だった。
「お前、ちゃんと髪の毛を梳かしてるのか? 女子として身だしなみは大事だと思うぞ」
言いながら羽毛布団の羽根を、そのまま背広のポケットにしまう。こういう行動がさっぱり、ワケが分からないんだよね。
「そういう三木先生こそ教師として、そのボサボサした髪型を何とかした方がいいと思いますよ」
「頭にゴミつけてたヤツに、そんな失礼なことを言われたくないね。ボサボサしてるんじゃなく、これは天パなんだよ」
なぜか髪を掻き上げながら、通り過ぎた三木先生。
全然格好良くないから!
内心毒づいてるとクラスメートが、ビックリした顔して聞いてくる。
「奈美っち、さっきNHKが下の名前で呼んでたけど……」
「あ?」
そういえば呼んでいたかもしれない。きっと、いつものクセが出てしまったんだ。
――マズい。
頭の中がパニくって、いいわけにならないものばかりが浮かんでは消えて行く状態。
すべては、三木先生のせいなのに!
三木先生と仲良くしてるなんて知られてしまった日には、率先してバカにしてた分、何かが倍になって返ってきそうだよ。
「坂本さん、おはよう!」
困惑しまくりの私の背後から、いきなり鹿島さんが挨拶してきた。
「おはよう……」
「三木先生の発言、ビックリだよね」
私とクラスメートの顔を見ながら、さりげなく会話に割り込んでくる。
(――もしかして、バラす気なんじゃ……)
ハラハラしまくりの状況で、絶体絶命の文字が大きく頭の中をよぎった。
「坂本さん、みんなから奈美奈美って呼ばれているし、そっちの方が印象が深いから。私みたいに苗字で呼んでる人の方が、圧倒的に少ないよね?」
えっと、これって、助け舟だったりするのかな?
「そうだね、名前が二文字だから呼びやすいのかも――」
「だから三木先生も思わず、呼んじゃったんじゃないかな。ついでに私も名前で呼んでもいい?」
「いっ、いいよいいよ、何か照れちゃうなー。そうださっきまで、テレビの話してたんだけど――」
無理やり方向転換すべく話題をがらりと変えて、クラスメートと鹿島さんの背中を教室に向かって押しながら歩く。
この場は何とかしのげたけど、三木先生にちゃんと注意しないといけないな。
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