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伝想
山田目線
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***
「それじゃあ、彼女のことを頼みます」
今川部長に言われ、俺は秘書室に向かった。
買物に行くという朝比奈さんの護衛役を、なぜだか仰せつかってしまった。ちょうど作業が煮詰まってたから空気の入れ替えで、ちゃっかり良かったというべきか。
「……山田先輩」
営業部の前を通りすぎようとしたら、今川くんに声をかけられた。朝比奈さんに絡んでる所に乱入した俺に対して、いい感情を抱くハズはないよな。
「何かな? 今川くん」
「山田先輩って、朝比奈先輩とどういう仲なんですか?」
現在(偽)見合い相手の俺に、大変答えにくい質問をする。
「ただの同期だけど……」
「ただの同期なのに、すっごく仲が良さそうですよね」
「そうかな。意外と気が合うから、そう見えるのかも」
ううっ、早くこの場から立ち去りたい(汗)
「俺、朝比奈先輩のことが好きなんです」
「へえ……」
「この間もう少しのところだったのに、見事に邪魔をしてくれましたよね」
「明らかに彼女、嫌がってたよ」
動きは止まっていたけど、困った顔だったよな。
そう思い出してる俺に、今川くんは不敵な微笑みを浮かべる。
「朝比奈先輩は、ツンデレだから」
「はあ?」
何だそりゃ……。可笑しな思い違いもいいトコだ。
「山田先輩こそ年上の彼女がいるのに、他にも手を出そうとしているのは、どうかと思います」
「…………」
「それとも朝比奈先輩と結婚して、今の彼女を愛人にするっていう魂胆ですか?」
反論したいけど上手い言葉が見つからない。下手に言い訳したら、今川部長との約束が水の泡になりそうだし。むむっ、困った――
「俺は山田先輩のように不純な動機で付き合うつもり、全然ないですから。邪魔しないで下さい」
言うだけ言って、さっさと自分の部署に戻って行った今川くん。
俺だってあんな我が侭で恐喝するような女と、付き合いたくないやい!
そう言いたかったが無理な話。今川一族、恐るべし。どうしてあんな奴が、好きなんだろうか。
うんざりしながら、問題の彼女を迎えに行く。
そんでもって小1時間ほど一緒にいたけど思った通り振り回され、我が侭に付き合わされて、ぐったり疲れきった俺。
朝比奈さんには大人な今川部長が釣り合うんだなぁと、つくづく思い直したのだった。
「それじゃあ、彼女のことを頼みます」
今川部長に言われ、俺は秘書室に向かった。
買物に行くという朝比奈さんの護衛役を、なぜだか仰せつかってしまった。ちょうど作業が煮詰まってたから空気の入れ替えで、ちゃっかり良かったというべきか。
「……山田先輩」
営業部の前を通りすぎようとしたら、今川くんに声をかけられた。朝比奈さんに絡んでる所に乱入した俺に対して、いい感情を抱くハズはないよな。
「何かな? 今川くん」
「山田先輩って、朝比奈先輩とどういう仲なんですか?」
現在(偽)見合い相手の俺に、大変答えにくい質問をする。
「ただの同期だけど……」
「ただの同期なのに、すっごく仲が良さそうですよね」
「そうかな。意外と気が合うから、そう見えるのかも」
ううっ、早くこの場から立ち去りたい(汗)
「俺、朝比奈先輩のことが好きなんです」
「へえ……」
「この間もう少しのところだったのに、見事に邪魔をしてくれましたよね」
「明らかに彼女、嫌がってたよ」
動きは止まっていたけど、困った顔だったよな。
そう思い出してる俺に、今川くんは不敵な微笑みを浮かべる。
「朝比奈先輩は、ツンデレだから」
「はあ?」
何だそりゃ……。可笑しな思い違いもいいトコだ。
「山田先輩こそ年上の彼女がいるのに、他にも手を出そうとしているのは、どうかと思います」
「…………」
「それとも朝比奈先輩と結婚して、今の彼女を愛人にするっていう魂胆ですか?」
反論したいけど上手い言葉が見つからない。下手に言い訳したら、今川部長との約束が水の泡になりそうだし。むむっ、困った――
「俺は山田先輩のように不純な動機で付き合うつもり、全然ないですから。邪魔しないで下さい」
言うだけ言って、さっさと自分の部署に戻って行った今川くん。
俺だってあんな我が侭で恐喝するような女と、付き合いたくないやい!
そう言いたかったが無理な話。今川一族、恐るべし。どうしてあんな奴が、好きなんだろうか。
うんざりしながら、問題の彼女を迎えに行く。
そんでもって小1時間ほど一緒にいたけど思った通り振り回され、我が侭に付き合わされて、ぐったり疲れきった俺。
朝比奈さんには大人な今川部長が釣り合うんだなぁと、つくづく思い直したのだった。
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