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act:意外な一面
鎌田目線2
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***
翌朝、彼女と一緒に出社した。君の髪には、プレゼントした髪飾りが付けられている。そんな君に見とれていると、背中を強く叩かれた。引っ掻き傷に響く――
「鎌田先輩っ、おはようございます!」
――諸悪の根源の小野寺だ。
「小野寺先輩、おはようございます」
ムッとしながら挨拶をした俺とは対照的に、飛び切りの笑顔で君は挨拶する。
――こんなヤツに、笑顔で接しなくていい!
そう思っていると、小野寺が君の首元を指差す。
「愛し合った痕跡を発見っ、鎌田先輩も男だったんですねぇ」
無邪気に手を叩いて喜ぶ仕草をした。その態度がいかにもバカにした感じがしたので睨んでやり過ごしたら、俺たちの顔を交互に見ながら口を開く。
「今度からはもう少し目立たない場所に付けないと、みんなにつっ込まれますよ。それからお友達の山田さんに、宜しく言っておいて下さいね!」
もう一度俺の背中をバシーンと叩いて、小野寺はどこかに行ってしまった。
「お友達の山田さんって?」
君がきょとんとして聞いてくる。
「俺の幼馴染で取引先に勤めている、バンド仲間――」
顎に手を当ててこれまでの経緯を考えてみたのだが、全てがけん坊によって仕組まれたことだったのは後日、明るみになるのだった。
翌朝、彼女と一緒に出社した。君の髪には、プレゼントした髪飾りが付けられている。そんな君に見とれていると、背中を強く叩かれた。引っ掻き傷に響く――
「鎌田先輩っ、おはようございます!」
――諸悪の根源の小野寺だ。
「小野寺先輩、おはようございます」
ムッとしながら挨拶をした俺とは対照的に、飛び切りの笑顔で君は挨拶する。
――こんなヤツに、笑顔で接しなくていい!
そう思っていると、小野寺が君の首元を指差す。
「愛し合った痕跡を発見っ、鎌田先輩も男だったんですねぇ」
無邪気に手を叩いて喜ぶ仕草をした。その態度がいかにもバカにした感じがしたので睨んでやり過ごしたら、俺たちの顔を交互に見ながら口を開く。
「今度からはもう少し目立たない場所に付けないと、みんなにつっ込まれますよ。それからお友達の山田さんに、宜しく言っておいて下さいね!」
もう一度俺の背中をバシーンと叩いて、小野寺はどこかに行ってしまった。
「お友達の山田さんって?」
君がきょとんとして聞いてくる。
「俺の幼馴染で取引先に勤めている、バンド仲間――」
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